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特集:JA全農米穀事業

2018.03.09 
【JA全農米穀事業部】コメの実需者直接販売125万t目標一覧へ

・生産提案型事業の拡大に全力
・直接商談でニーズを把握

 JA全農はこのほど「30年産米生産・集荷・販売基本方針」を決めた。30年産米から行政による生産数量目標の配分が廃止されるが、JAグループは需要に応じた計画生産に取り組むこととしている。そのなかでJA全農は実需者との直接商談を積極的に展開して実需者ニーズをつかみ、それにもとづく米づくりを産地に提案し、生産・集荷・販売へと展開していく「生産提案型事業」の拡大に全力をあげる方針だ。こうした事業方式によって生産者の所得向上と営農の安定に貢献し、実需者・消費者への米の安定供給を促進していく。29年産米の取り組み結果と、30年産の重点取り組み事項などを紹介する。

◆29年産米の取り組み 事前契約131万tに拡大

toku1803091010.jpg 29年産米は飼料用米など非主食用米の生産拡大に引き続き取組んだ結果、主食用米の作付面積は生産数量目標面積比▲1.7万haの137万haとなり、3年連続で過剰作付けが解消された。
 これによって主食用米の需給が改善したことから、前年産を上回る水準の概算金設定で集荷推進に取組んだ。ただ、生産量の減少に加え、ふるい下米の増加と集荷競争の激化などによって、主食用米の集荷見込みは前年を下回る見込みとなっている。
 販売・流通面では、安定的な取引きを拡大するため、事前契約(播種前・収穫前・複数年契約)の目標を130万tとして推進した結果、買い手からの積極的な申込みもあって目標を上回る前年比10万t増の131万tの成約数量となった。なかでも複数年契約は前年比23万t増の75万tと大きく伸びた(図1)。

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◆事業方式の抜本見直し

 こうした取り組みに加えて、JA全農は自己改革の取り組みも進め、米穀事業については事業方式の抜本的な見直しに取組んできた。事業改革のポイントは▽生産者に対しては需要に応じた米づくりの支援、▽実需者に対しては価格と数量の安定的な供給の実現、である。
 具体的な目標として29年産では実需者への直接販売100万tを掲げており、昨年9月に新設した営業開発部と連携した推進等により達成が見込まれている。また、買取販売の年次計画30万tも達成の見込みとなっている。
 実需者への直接推進の取り組みでは、主要実需者30社程度と商談を開始している。またパール卸・パートナー卸とともに実需者を含めた3者契約を推進している。
 そのほか、直販関連のインフラ整備として29年度では広域集出荷施設を全国3か所(岩手、新潟、山口)で新設した。30年度は富山、石川、千葉、31年度は山形で新設を予定している。

 

◆30年産米の取組み方針 計画生産で需給環境維持

 30年産米は行政による生産数量目標の配分が廃止されるなか、今後も計画生産よって需給環境を維持し、実需者との安定的取引の一層の拡大を図ること、安定供給の前提となる集荷を確保することが課題となる。
 そのための具体的な取り組みの柱は、実需者に軸足をおき実需者との直接商談を積極的に展開するとともに実需者ニーズをふまえた「生産提案型事業の拡大」をはかっていくことにある。
 これまでの米の生産・流通は生産者が生産した米をJAが集荷し、それを全農に委託、その後、米卸を通じて実需者に販売するというのが一般的なルートだった。
 「最初に実需者との直接商談があり、実需者ニーズをJAを通じて生産者に提案して栽培してもらう。それを可能な限り事前契約とすることによって、契約に基づいたJAへの出荷となる。それを全農がパール卸や実需者への安定的な販路を確立している米卸業者(パートナー卸)とも連携して実需者との直接取引を拡大していく。さらに、こうした実需と結びついた取引が拡大すれば生産者からの買取販売の拡大もできる。これが今後目指すべき事業の姿です」と山本貞郎JA全農米穀部長は話す(図2)。

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 30年産はこうした基本方針のもと、▽実需者への直接販売=125万t、▽買取販売=50万t、▽事前契約取引=140万t、▽集荷量=305万tを目標に掲げている(表1)。
 以下、これらの目標実現に向けた重点取組事項の柱を紹介する。

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【実需者(販売推進)対策】
営業開発部を中心に展開

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 すでに触れたように実需者直接販売の拡大に向けて昨年9月、JA全農は営業開発部を設置した。同部は新規実需者(量販店、生協、CVS、外食、中食、ネット通販など)の開発と、既存実需者の取扱品目拡大に向け実需者との直接商談を展開する。
 また、営業開発部の活動に加え、実需者と安定的な取引関係にあるパール卸・パートナー卸と連携しながら、最も安定的で効率的な実需者との取引ルートを構築する(図4)。

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 また、実需者直接販売を拡大するため需要動向調査などをもとに、実需者別販売計画を策定のうえ、直接またはパール卸・パートナー卸と連携して実需者推進を展開し、実需者を明確にした特定契約を積み上げる。さらに推進活動を通じて得られた実需者ニーズの情報等をふまえて、販売計画は適宜見直しをおこない、JAとの共有・連携を図る。
 このほか、実需者直接販売の拡大につながる主要実需者や米卸と関係を強化するため資本・業務提携は引き続き推進していく。
 合理化による流通コストの削減と精米取扱数量の拡大を通じた競争力強化のため、パールライス事業の体制整備を図り、統合などの選択肢を再編が必要な地域に示し検討を進める。
 また、より加工度の高い分野での米販売を展開するため炊飯事業の強化も図る。
 30年産の生産対策の基本は、国が基本指針で主食用米生産量を29年産と同水準の735万tと示したことから、JAグループも昨年と同様に引き続き計画生産に取組む。あわせて加工用米や飼料用米など水田活用米穀も需要に応じた作付確保を徹底する(図5)。

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 その際、加工用米は複数年契約など既契約分から最優先に作付けを確保したうえで、政府が推進するコメ海外市場拡大戦略プロジェクトに対応して輸出米の作付を推進するなど需要に応じた品目別の作付を確保する取組みを進める。
 また、主食用米では、実需者との直接商談などでつかんだ実需者ニーズをふまえJAと連携し生産者へ生産提案を行う「生産提案型事業」を積極的に拡大する。
 とりわけ、業務用に向けた、多収品種等の契約栽培について、その拡大をめざし、30年産では取扱い目標を1万tとしている。種子確保・供給体制も構築し、営農・肥料農薬部門と連携した栽培フォローや、JA・生産者との複数年・買取契約にも積極的に取り組み、長期安定的な取引を構築する(図6)。
 そのほか、生産コスト削減については、鉄コーティング種子直播栽培、地下水位制御システムなどの新技術の普及推進と、肥料の新たな共同購入、農薬の担い手直送規格の拡大、大型コンバインのシェアリース推進なども進めていく。

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【集荷対策】
多様な買取手法を推進

 集荷対策では県域事情に応じた多様な手法による買取販売を拡大する。
 具体的には▽出来秋一括買取方式=出来秋に数量・価格を決定し、一括して買取る方式、▽都度買取方式=出来秋に数量・価格を決定するが、買取は都度行う方式。▽集荷後価格決定方式=連合会が一旦委託米として集荷(概算払い)した後、需給と契約が見通せた段階で最大限の価格で買い取る方式。
 以上3つの方式を提示しており、各地域で組織協議を実施して地域の実情にあわせた手法を選択する。
 また、JA倉庫の老朽化や収容力不足もふまえて広域集出荷施設として連合倉庫の取得を積極的に検討する。連合倉庫では庭先からフレコン集荷した米穀の農産物検査ができる体制を整え、農家の庭先から取引先をつなぐ集荷・販売拠点として位置づける(図7)。

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【販売(玄米供給)対策】
全国ネットの強み活かす

 播種前・複数年契約については、推進時期の早期化や実需者を明確にした契約を積み上げ安定的な取引の拡大をはかる。また、生産者からJA、実需者との結びつきができた取引は最優先で原料米の確保をはかる。そのためにJAとの出荷契約の早期化・確約契約化や、買取契約の切り替えを推進する。また、仮に需給ミスマッチが生じた場合には全国ネットワークを持つ全農の強みを活かして代替提案を行うなど、JAと情報交換を密にしながら安定取引を継続的に確保する(図8)。

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【消費者販売・消費拡大対策】
ネット通販・輸出拡大に力

 消費者直接販売の強化では、伸長しているインターネット通販に対応するためパックごはん、精米商品、米加工品など提案を行う。29年度は中国のeコマース最大手「アリババ」への販売を開始したが、30年度も数量拡大を図っていく。
 消費拡大対策では「お米は太るという誤解の払拭」に引き続き取組み、「お米の機能性」をキーワードに情報発信の取組みを実施する。
 また、新たな需要と販売の開拓に向けて、海外市場に積極的に進出する。

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