「TPPでどうなる?日本の農業!」 大阪の中学生が校内討論2016年2月1日
TPP(環太平洋連携協定)の是非や、今後の農政について国会での討論が始まったが、大阪府三島郡島本町立第二中学校では、1月27日、「TPPでどうなる?日本の農業!」のテーマで校内討論会が開かれ、政経地歴部の中学1年生から3年生の約30人がTPPを切り口に農業の課題や展望などについて意見を交わした。
この校内討論会は新聞を教材に活用するNIE(Newspaper In Education)実践指定校である島本二中の飯島知明社会科主任教諭が企画。2013年から、新聞などで得た知識を使って思考したことを表現する場を設けるため、「特定秘密保護法の是非」や「集団的自衛権の是非」、「消費税増税の是非」、「大阪都構想の是非」などを題材に大阪府下や兵庫県下の有志の教員らによる共同企画で、他校生との解説提案討論会を定期的に開いている。
今回は3月に行われるその解説提案討論会に向けての校内討論会。この日までに新聞各紙を読み、仲間との議論で深めてきた思考をまとめて解説や提案発表を行い、それをたたき台に再度議論することで思考の再構築を図ることを目的とする。
政経地歴部を代表して、1年生部員5人が、「TPPで外国産の農産物の輸入・消費が拡大し、日本の農業が大打撃を受ける。特に、農業従事者人口の減少は深刻な問題になるだろう」などと解説し、TPPへの参加は慎重に考えるべきだと解説・提案した。
一方で「TPPに参加し、工業で利益を得て、その利益を農業政策に補填してはどうだろうか
」(男子)といった意見や、「農業人口を維持するために国営農場をつくり、従業員を雇用する政策を導入してはどうだろうか」(女子)などの意見が出た。
さらに、「戦争や災害などが発生した際の将来への食料危機に備え、減反政策を廃止し、できるだけ主食のコメを作った方がいいのではないか」(女子)、「食料の大切さを意識するためにも、食べ残しには1gにつき1円の罰金を科してはどうか」(男子)など大胆な提案なども出て討論会は白熱した。
討論会を終えた1年生部員の大久保侑也君は「これまで農業について深く考えたことがなかったけど、食べ物は命そのものなので、感謝と関心を持ってこれからも農業について考えたい」と述べ、1年生部員の川阪優菜さんも「農業の面から考えた時、TPPには反対でしたが、工業の面から考えた時のメリットを知り、今は考えが揺れています。これからも、さまざまな情報を偏りなく収集していくことが大切だと思いました」と感想を述べた。
3年生部員の林田空君は「TPPの是非を考える時、農業のことだけではなく、工業の成長率や人口の増減、複雑な世界情勢などとも絡め合わせて大局的な視野を持って考えなければ判断できないと思った」と振り返った。
飯島教諭は「社会的事象に関心を持ち、さまざまな価値観を持つ仲間と議論することで、多面的・多角的な視野が身につく。TPPの是非など国論を二分するような課題を題材に議論することは、『主権者教育』の観点からも大変有用だ。議論を通じて人間関係の構築力も向上し、社会科学習の楽しさを体感してもらえているのではないか」と話している。
3月20日には、「第8回・大阪府兵庫県中学生社会科解説合戦&討論会」(大阪府中学校社会科教育研究会後援)が、大阪教育大学附属池田中学校会場で開かれる。
(写真)TPPに大胆な提案も出た中学生の校内討論会
(関連記事)
・TPPで国際連帯を アジア4か国がシンポ (16.02.01)
・【TPP】日本の雇用7万4000人減-米の大学が試算 (16.01.28)
・規制改革会議が生産資材価格形成を議論-TPP関連対策 (16.01.25)
・【TPP対策本部】生産現場との意思疎通の仕組み検討を指示-森山農相 (16.01.22)
・【TPP関連】生産者・消費者視点で原料原産地表示を-NPOが学習会 (16.01.22)
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日