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農薬:現場で役立つ農薬の基礎知識 2014

【現場で役立つ農薬の基礎知識 2014】[2]水稲育苗箱処理剤 多彩な剤、どう選ぶ2014年2月14日

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【JA全農 / 肥料農薬部】

・年々増加する普及率
・病害虫の発生動向と箱処理剤の開発動向
・防除すべき病害虫を見定めて剤を選択
・育苗箱処理剤の省力的施用法
・箱処理剤散布時の注意点

 水稲育苗箱処理剤は、水稲の病害虫発生を長期にわたり防止するだけではなく、本田での農薬散布回数を大幅に軽減することを可能にし、防除の省力化と効率化に大きな役割を果たしており、日本の優れた製剤技術の結晶といえます。そこで今回は、この水稲育苗箱処理剤の最近の開発動向、多くの育苗箱処理剤から選択するときのポイントや施用方法について解説します。

防除省力化を実現

◆年々増加する普及率

 水稲育苗箱処理剤は、長期残効型のものが主流となっているが、省力性と効果の安定性が評価され、普及率は年々増加している。特に近年は、生産者の高齢化やほ場近隣での住宅地の増加などにより、本田防除の実施が困難な状況も多くなっていること、農薬の成分数に制限がある特別栽培の面積が多くなっていることから、箱処理剤での病害虫防除は欠かせないものとなっている。また、防除適期を逃さず確実な防除が可能であるという点も大きなメリットであろう。
 新たに開発されている箱処理剤についてその傾向を見てみると、多くの害虫・病害への効果、長い残効性をもたせるべく開発がされており、そのために、新規の有効成分だけではなく、製剤や混合剤化においても色々な工夫がなされている。病害虫の発生状況は年々変化していることから、これらの現場の問題に対応した新たな剤が登場している。

◆病害虫の発生動向と箱処理剤の開発動向

【ウンカ類】

吸汁するトビイロウンカ。大きいものは体長4?5mmほどになる 平成25年のウンカ類は8月以降、本田内の発生量が多くなり、九州を中心にトビイロウンカによる坪枯れ等の被害が発生した。14県からトビイロウンカの注意報が発令され、うち九州の5県からは警報が発令された。ウンカ等の飛来性害虫の発生量は年次変動が大きく、ベトナム、中国等の飛来源での発生量によっては多発生の可能性があるので、箱処理剤による確実な防除対策が重要である。
 また、西日本を中心に大陸から飛来するトビイロウンカについては、一部のネオニコチノイド系薬剤に対する感受性低下が、セジロウンカについてはフィプロニル剤に対する感受性低下がそれぞれ確認されているので、薬剤の選択も重要となる。
 ウンカの防除については、ネオニコチノイド系薬剤(アドマイヤー、スタークル、ダントツ、アクタラ等)やプリンス剤が用いられることが多いが、これらの薬剤と系統が異なるため、薬剤感受性が低下したウンカにも効果のあるピメトロジン(商品名チェス)を含有した箱剤である「デジタルバウアー箱粒剤」などが九州を中心に普及しつつある。

(写真)
吸汁するトビイロウンカ。大きいものは体長4?5mmほどになる

【斑点米カメムシ】

トゲシラホシカメムシ成虫、ミナミアオカメムシ成虫 一方、斑点米カメムシの発生も全国的に多く、23道府県から注意報が発令された。斑点米により等級落ちとなり、一等米比率が低下した産地もあった。
 斑点米カメムシは基本的に本田散布により防除するが、デジタルメガフレア箱粒剤(ネオニコチノイド系のアクタラといもち剤のコラトップの混合剤)のように、殺虫剤成分を増やし、特殊製剤にすることにより小型カメムシ(カスミカメ類)まで効果を示す剤も登場している。
 地域によって発生するカメムシの種類は異なるが、北日本など小型カメムシが中心の地域では、本田におけるカメムシ防除を省略できる可能性が高い。なお、カメムシ防除においては、殺虫剤による防除だけでなく、周辺および本圃内の雑草管理もあわせて行うことが重要である。

(写真)
(上から)トゲシラホシカメムシ成虫、ミナミアオカメムシ成虫

【チョウ目害虫】

コブノメイガの成虫 また、近年フタオビコヤガの発生が多発傾向にあり、東北、北海道などこれまで発生が少なかった地域でも問題となっている。チョウ目害虫への対応として、スピノサドに加え、近年、クロラントラニリプロール(商品名フェルテラ)やスピネトラム(商品名ディアナ)といった成分が開発され、多くの箱処理混合剤が販売されている。今後はシアントラニリプロール(商品名パディート)も登録される予定である。

 

(写真)
コブノメイガの成虫


【いもち病など病害】

いもち病による「ずりこみ」が発生した水田 昨年のいもち病の発生をみると、7月中旬から8月上旬に雨が多かったことから、北海道、東北、近畿、中国の一部地域で葉いもちの発生が多く、穂いもちの発生が懸念されたことから、11道府県から注意報が発表された。また、紋枯病も発生は少なかったが、東北等でも発生が見られるようになっている。
 これらの病害に対応する箱処理剤として、いもち病に対する長期の残効と紋枯病に対する効果をあわせもつオリサストロビン(嵐剤)、製剤の工夫と含有量の増加によって残効性を付与したピロキロン剤(デジタルコラトップ剤)やイソチアニル剤(ルーチンバリアード、ツインターボ等)、プロベナゾール(Drオリゼ剤)、チアジニル剤(ブイゲット剤、アプライ剤)などが主流となっており、それぞれ殺虫剤、また、紋枯剤との混合剤として上市されている。

(写真)
いもち病による「ずりこみ」が発生した水田


◆防除すべき病害虫を見定めて剤を選択

葉いもち(左)と穂いもちの罹病稲 現在、このように殺虫剤、殺菌剤のコンビネーションにより、多くの種類の箱処理剤が上市されているが、剤を選ぶときには、防除すべき病害虫は何かを良く考え、剤のもつ効果・残効性やコストと照らし合わせて選択する必要がある。
 また、西日本の一部地域でQoI剤への感受性が低下したいもち病菌が確認されるなど、地域によっては抵抗性害虫や、耐性いもち病菌が発生している事例もあるので、普及センターやJAの指導に従って剤を選択したい。

(写真)
葉いもち(左)と穂いもちの罹病稲


◆育苗箱処理剤の省力的施用法

【播種同時処理】

 箱処理剤を省力的に散布する技術として普及しているのが播種同時処理である。
 播種同時処理のメリットは、多忙な田植えの時期に箱処理剤を散布する手間がかからないことと、均一な散布ができることである。特にいもち病防除においては、散布ムラがあるといもち病の発生源となるため均一な散布が不可欠であるが、播種時処理であればそれが可能となる。
 播種同時処理は稲がもっとも敏感な時期に処理するため薬害が発生しやすく、使用できる剤は限られているが、製剤の工夫などにより播種同時処理の登録をもつ剤が増えてきた。
 殺虫剤では、プリンス剤、スタークル剤や、アドマイヤーCR剤、ダントツ08剤、さらにフェルテラ剤など、含量と製剤の工夫により播種同時処理を可能にした剤も増えている。
 殺菌剤では、嵐剤が播種同時処理可能であり、播種同時処理した場合には育苗期の苗いもち病への効果も期待できる。また、ルーチン・スタウト剤も播種同時処理で非常に安定した効果を示す。さらに、オリゼメートの播種同時処理剤は「ファーストオリゼ」という名称で販売されている。


【田植え同時処理】

 もうひとつの省力化技術として期待されているのが、田植機に取り付けて田植直前の苗に薬剤を処理する装置である。
「箱まきちゃん」「すこやかマッキー」などの名称で各農機メーカーから販売されており、順調に普及している。田植と同時に薬剤処理ができるので省力的であるだけでなく、均一に散布できること、さらに、ほとんどの箱処理剤が利用できることが大きなメリットである。
 なお、箱処理剤の使用時期には、育苗箱の床土に混和できるもの、播種時覆土前に処理できるもの、緑化期から処理できるもの、移植3日前から処理できるもの、などがあるので、使用前にラベルの使用時期、使用方法を確認したい。

 田植機に取り付けて田植と同時に薬剤を処理するあらたな省力化技術もある。 田植機に取り付けて田植と同時に薬剤を処理するあらたな省力化技術もある。

(写真)
田植機に取り付けて田植と同時に薬剤を処理するあらたな省力化技術もある。

◆箱処理剤散布時の注意点

 育苗箱処理剤を育苗ハウス等で処理するときには、散布した農薬が育苗時の土壌にしみこまないように、またこぼれないように注意する必要がある。特に、水稲育苗後のハウスで他の作物を栽培する場合には、箱処理剤の成分が後で栽培する作物に影響することがあるので、育苗箱から農薬がこぼれないように丁寧に処理を行い、また、育苗箱の下に不浸透性のビニールシートを敷くなどの対策を講じたい。
 また、多忙な時期であり、除草剤を誤って育苗箱に散布する事故も発生している。処理前にラベルを十分に確認するなど、注意して使用したい。
 生産者の省力化に寄与する箱処理剤は、今後もいっそう普及するものと思われる。病害虫の発生状況や処理方法などを勘案して、多彩な剤のラインナップからニーズにあった剤を選択し、うまく使用していただきたい。

 

系統がおすすめする主要な育苗箱処理剤

(表をクリックすると大きな画像が表示されます。)

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