栽培技術 クローズアップ詳細

2016.11.20 
地図情報活用した営農指導を 組合員目線で地域農業を守る(下)一覧へ

東京農業大学前教授・(株)協同経済経営研究所所長 鈴木充夫

◎1kmメッシュで気象情報
 SGISは、現在、JA新あきた、JA秋田しんせい、JAやまがた、JAいわて中央、JA新いわて、JAにいがた岩船、JA十日町、JA能美、JA水戸、JA福井5連(以上はコメ)、JA新いわて(レタス)などで導入され、JAつくば市谷田部(コメ)、JA岐阜(JA出資型法人)、JAあいち豊田(農業振興計画)、JA周南(ファーマーズマーケット)、JAあしきた(果樹:デコポン)で検討中である。
 これらの中から、JAいわて中央、JA十日町、JA秋田しんせい、JAやまがた、JA水戸、JA新いわてでのSGISの活用事例について簡単に紹介する。

◎23法人が活用――JAいわて中央
 JAいわて中央では、営農販売部の畠山部長が中心となり2年かけてJA管内の圃場データを整備し、整備したGISデータを、管内の担い手法人用に手挙げ方式で法人に販売している。現在、管内23農業法人が圃場地図を購入し、今後の作付計画をSGIS作付計画ソフトを利用し時間短縮を図る予定である。そのための法人向け研修を実施している。

◎作付計画活用――JA十日町

図2 作付計画ソフトの画面図2 作付計画ソフトの画面

 JA十日町では、営農販売課の渡辺さんが中心となり、管内の担い手のリーダーであるK営農集団とO生産組合が作付している圃場地図を切り出し提供している。来年度からは、タブレット型端末を活用した生産履歴情報の入力、畦塗りなどの作業委託管理、および、次年度の作付計画に利用する予定である。
 SGISの作付計画ソフトは、PC画面に圃場図(上部)と再生協議会のデータ(下部)を同時に表示し、PC上で圃場毎の作付品目が選択できるとともに選択した品目の合計作付面積が表示される(図2)。また、畦塗りについては、画面上の圃場に畦塗りする箇所を畦ごとに色分けすることができ、また、同時に、畦塗りする距離を自動計算し請求書が作成できる。

◎刈取適期情報配信――JA秋田しんせい

表1 H28積算気温による刈取適期予想日
表1 H28積算気温による刈取適期予想日

 JA秋田しんせいでは、米穀課の武田課長の意見をいれて、「あきたこまち」と「ひとめぼれ」などの刈り取り適期情報を16の支店にFAX配信している。この刈り取り適期情報の配信は、JA秋田しんせいがコメ兼業地域である点を考慮し、担い手対策と言うよりも、高齢専業農家、兼業農家に対して提供しているサービスである。この情報配信の背景には、担い手の大規模法人だけが地域農業を支えているのではなく、多くの組合員が地域農業を支えているという農協の認識がある。今後は、管内の金融支店に適期情報を配信し、各支店の窓口に紙に印刷した適期情報を置き、4000戸の組合員にこの刈り取り適期情報を配信する予定である(表1)。

◎農地の見える化へ――JA茨城グループ・JAやまがた

図3 駒場営農組合のデジタル圃場図図3 駒場営農組合のデジタル圃場図

 次に示す事例は県段階の事例である。茨城県では、全農茨城と中央会の県域営農支援センターが連携し、農林中金の補助金を使った15のプロジェクトを展開している。そのプロジェクトのなかに、「GISデータ等を活用した農地の見える化事業」がある。このプロジェクトは、JA水戸管内の駒場営農組合の事務局の一人である全農茨城の海老沢審議役が中心となり、紙地図から営農組合のデジタル圃場図(図3)を作成し、SGISの前述した作付計画ソフトを活用している。
 将来の農業振興計画に活用しようとしているのがJAやまがたである。営農担当の丸子常務のもと上山地区の将来の農地利用マップ作成を計画している。将来の農地利用計画を作成しようと思いたったのは、同地域のYファームの組合員が病気になり、その組合員の農地を誰が作付するか議論になったことがきっかけである。この時は、時間的な制約があり、組合員の圃場を誰が耕作するかが決定できず、その年の作付が出来なかった経験があった。
 そこで、同地域の組合員の年齢から将来の離農跡地を予測し、Yファーム内の担い手にどのように圃場を振り分けるかのシミュレーションをしようとのことになった。このマップを活用すれば、Yファームの担い手農家が、作業効率のよい近場の離農跡地を集積することができ、Yファーム全体の作業効率の改善とコストダウンにつながると期待される。

◎レタスの圃場管理に――JA新いわて
 これまでの事例は水田が中心であったが、今年度からSGISを活用したレタスの圃場別管理がスタート。場所は、JA新いわて管内の奥中山地区のレタス産地である。レタス担当の奥中山営農経済センターの田村さんの協力を得て、管内の2つの代表的なレタス農家を選んでもらい、その農家のレタス畑の位置をGoogleマップ上に示してもらった。この情報からレタス畑のポリゴンデータを作成し、このポリゴンデータに品種、播種日、定植日、収穫予定日、薬剤散布日などの手書きデータを農協でエクセル入力した。最終的には、管内の他のレタス農家の地図データを作成し、冬の農閑期にJA職員が事務所で入力することになっている。この事例は、ある外食産業からレタスの圃場別情報を管理してくれとの要望が始まりである。当初、JA担当者は、Googleマップから手作業で圃場情報を作成・管理していたが手間がかかりすぎ、加えて、人事異動での引継ぎが上手くいかなかったために、引き継ぎ者の田村さんが困っていた状況がスタートであった。

◆  ◇  ◆

 このたび、東京農業大学GIS研究部会と株式会社協同経済経営研究所および(一社)農協協会が連携し、今回紹介したSGISを現場でより普及させることになった。地域農業を守るための有効なツールであるSGISの導入を多くのJAで期待するしだいである。

【収穫時期の判定】

◆籾の熟色による判定
 葉や穂首が緑色でも黄化程度が90%の頃が適期です。籾の熟色は登熟が進むにつれ緑色から次第に退色して黄色→黄白の順で進みます。籾が黄色の過程ではまだ玄米は青色を帯びていますが、籾が黄白になれば玄米もほとんど青色がなくなってきます。

◆枝梗の黄色程度による判定
 主軸について上から5番目の枝梗まで黄化した頃が目安となりますが、年による変動があります。特に低温年や障害不稔が発生した年は、枝梗が長く緑色を呈している場合もあり注意が必要です。

地図情報活用した営農指導を 組合員目線で地域農業を守る(上)ー政府「農協改革」では地域は崩壊する、圃場データをSGISで管理

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