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【第4回全国集落営農サミット】集落営農の広域化・連携・再編へ 経営の持続へ課題を整理(下)2019年12月20日

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【問題提起】

◆集落の維持を基本に 地域農業の将来像を
広島大学大学院・小林元助教

小林元氏 集落営農には「設立・育成」と「発展・継続」の二つのステージがある。数字にも出ているが、最近は新しい法人の設立が少なくなっている。このことは、できるところはすでに法人化しており、できないところが残っているとみることができ、課題の1つである。

 他方、法人化から10年以上経過し、人手不足などで1つの法人だけでは経営が難しくなってきたなかで、集落営農の広域化・連携・再編という話が出てきている。集落営農法人自身の経営発展という側面もあるが、担い手がいない近隣集落も含めて受け皿となるということも期待されているなかで、広域化等の動きが出てきている状況にある。
 今回発表いただく3事例を紹介すると、農事組合法人なべくらは比較的平場の地域において、法人化を契機に3集落で協議をして大きな組織を作った事例である。広域化に向けて、組合員の声や運営、経営の見える化などに取り組んだところがポイントである。
 農事組合法人ファーム佐見は、なべくらと同様に小学校区単位の法人を作っている事例だが、一度作った3法人が組織合併をした事例である。経営が難しくなったから合併するのではなく、最初から地域農業の中長期のビジョンを共有していた点が特徴である。
 農事組合法人重兼農場は、5つの法人が3階部分を作り、機械の共同利用など部分的な連携をした事例である。3階部分であるファームサポート広島中央が地域農業の担い手となり、若い経営者がいる重兼農場はファームサポート広島中央の中心的な存在となっている。
 広域化・連携・再編は、集落営農の進化の1つのパーツに過ぎない。大切なことは、自分たちの集落、地域を守り、豊かにして次の世代へどうつなぐかである。


【事例報告】

◆広域プラットフォーム型組織
岩手県・農事組合法人なべくら 髙橋春雄代表理事

髙橋春雄代表 岩手県のJA花巻市で水田を中心に213haを経営する法人で平成27年8月に設立した。主に米と小麦を作り、鍋倉地区283haの約6割を占め、地区の農家戸数145戸のうち96戸が参加。鍋倉地区には3つの生産組合があり、それぞれ法人化を目指していたが、ほ場が分散錯圃しているため転作作物の団地化が困難だった。

 そこで平成26年、農地中間管理事業を活用した地区全域の法人化のための委員会を立ちあげた。最初に実施したのが組合員アンケートで、水稲の作業形態や農地の貸し借り、所有する農機の種類・台数などを詳細に調べた。最初の2年間は、作業や精算は従来の組合の方法を尊重し、その後は調査に基づいて新たな運営規程によって作業料金や地代、管理料金等を統一した。
 設立から4年が経過し、岩手県のオリジナルブランド米「銀河のしずく」42haを栽培しており、食味ランキングで「特A」の評価を得ている。
 今後の課題として、(1)不耕作地の解消、(2)岩手県版のGAP認証取得、(3)農業機械および施設整備計画の検討が必要と考えている。冬季にも収入を得るため、施設園芸や加工による6次産業もできるようにしたい。


◆農事組合法人合併の取り組み
岐阜県・農事組合法人ファーム佐見
田口和義代表理事
今井一成総務部長

田口和義代表今井一成総務部長

左・田口和義代表、右・今井一成総務部長

 農事組合法人ファーム佐見は、平成30年に岐阜県白川町にある3つの営農組合が合併して新たに立ちあげた。経営規模はそれぞれ10~20haと小規模だが、法人同士の対等合併は全国的にも事例が少ないこともあり、県や町、JA岐阜中央会などの指導を受け、一つひとつクリアした。
 経営面積が約49haで、組合員は198人。水稲、大豆、スイートコーンなどを栽培。基本理念は、(1)地域の農地は地域で守る、(2)地域を担う農業者の育成、(3)地域環境に配慮した農業の推進、(4)安全・安心な農産物の生産、(5)集落ぐるみの組合事業を通じて健康で明るく活力のある地域づくりを掲げて取り組んでいる。
 合併によって、作業機械の有効利用と作業時間の短縮等によるコスト削減、労働力不足の解消と意識の向上と改革が進んだ。組合のほ場数は527枚もある。これを効率的に管理するため全農の「Z-GIS」を導入している。


◆集落営農組織の今後のあり方
広島県・農事組合法人重兼農場
山崎拓人代表理事

山崎氏 重兼農場の経営面積は40haで、組合員は30人。10haの水稲受託のほか水稲、小麦、野菜などを栽培する。機械共同利用組合を発展的解消したもので、県の「1集落1農場」のモデルとしてスタートした。

 その後、平成30年に地元JAと5つの集落法人の共同出資会社㈱ファームサポート広島中央を設立し、その中心的な法人として個人経営や他法人へのバックアップを積極的に行っている。JAとの連携による受託作業や契約栽培など、株式会社でできる強みを活かし、市内全体の農地の維持にも努めている。
 ドローン直播の試験やほ場管理システムを活用したスマート農業も取り入れ、省力化を若者雇用につなげている。昨年、79歳の組合の代表を29歳の組合員に替えたが、後継者が一人前になって交替するのでなく代表者や地域の人が元気なうちにと考えてのことだ。
 農地と地域保全のためには、職業としての農業の確立が必要だと考えている。個人から法人へ変わって20年ほどが経過し、現在、多くの法人の存続が危ぶまれているが、法人設立の本来の目的である「農地を守る」ため、攻める法人と守る法人を区別して、地域の農業の発展に努めている。

【第4回全国集落営農サミット】集落営農の広域化・連携・再編へ 経営の持続へ課題を整理(上)


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