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(055)各社が活用する協同組合モデル2017年11月3日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 農協改革をめぐるここ数年の議論に対し、時には直接巻き込まれ、時には第三者的立場からいろいろと関わってきた。ある会議の中では、「もはや協同組合は古い…」「会社化すべき」というような暴論まで聞かれ、唖然としたことがある。最近は流石にこのような主張は少ないようだが、筆者が不安に思うのは、こうした見解を何度も聞かされていると、農家や農協関係者自身が「もしかしたら自分達の組織は古く、会社化しても良いのでは?」と思っているような場面に行きあたることがあるからだ。

 思想・信条・結社の自由などを持ちだすまでもなく、事業を行う形態は我が国では誰にでも認められた自由権の一種である。協同組合にするか、会社にするかは、誰に指図されるものでもなく、出資者である農家の「モノの考え方」に拠るとしか言いようがない。
 例えば、空腹という共通の問題に対し、何を食べるかという解決策を考えれば、食べられる食事の数にはいくつかの選択肢がある。同様に、事業を行う際の組織形態も複数あり得るということだ。誤解を招かぬように言えば、どちらかが〇でどちらかが×などということではなく、両方があり得るということである。

※  ※  ※

 さて、少し具体的な話をしてみたい。
 現代の食品小売業の主流はスーパーやコンビニである。全国各地の農家もこれらの店舗に多くの農産物を出荷しているはずだ。例えば、日本で最大のコンビニチェーンはセブン-イレブンである。同社に対し、商品開発や原材料の選定、供給などを実行している組織に日本デリカフーズ協同組合というものがある。
 正確に言うならば、まず日本を代表する大企業である三井物産株式会社が100%出資して設立した三井物産系の食品ベンダーとして、ベンダーサービス株式会社という会社がある。ここは三井物産食品グループのベンダーとしての中核会社である。一方、同社を含み、セブン-イレブン・ジャパンに食品を納入する企業約80社(2007年当時)は日本デリカフーズ協同組合を結成して、オリジナリティ商品を共同開発している。
 コンビニ他社はどうか。内容と機能に多少の違いはあるが、例えば、三菱商事株式会社系のローソンには協同組合フレッシュフーズサプライ、伊藤忠商事株式会社系のファミリーマートには日本フレッシュフーズ協同組合などがある。生き馬の目を抜くと言われるほど競争が激しいコンビニ業界で大手3社が全て協同組合をグループ内の組織として活用しているということは当事者以外には余り知られていない。これは別に悪いことではなく、各社が協同組合という組織形態のメリットを明確に認めていることの証左であろう。
 同じような事例は他の分野でも見受けられる。筆者がかつて関わった分野である畜産の飼料分野では、農協系の「くみあい配合飼料」に対し、競争相手は「商系」と呼ばれている。各商社系列の「商系」配合飼料会社は全国にいくつもあるが、これらの飼料会社が「組合員」として加入しているのが協同組合日本飼料工業会(47組合員73工場)である。飼料業会における「商系」の業界団体は協同組合であるということだ。もちろん、現場の競争では各社が各々の営業努力をしていることは言うまでもない。

※  ※  ※

 さて、世の中というのは大海原を流れる海流のようなものと言って良いかもしれない。表面の海流は右から左に流れていても、深層海流は全く異なる動きをしている時がある。多くの場合、我々はテレビや新聞、インターネット等のメディアを通じて世の中の動きを知るが、その大半は表面的なものに過ぎない。先の例で言えば、コンビニに関する話ではフランチャイズ・システムやドミナント戦略などがよく話されるが、これは表層に過ぎず、実は協同組合の活用ということも非常に大きな深層のポイントであることを理解する必要がある。
 企業活動の一番の目的を「利益」としている営利企業組織自体が、最も競争の激しい商品開発や原材料調達など業界の生き残りを賭けている分野において協同組合という組織形態を用いていること自体、協同組合組織の可能性を明確に示していると言えるのではないだろうか。

 

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三石誠司・宮城大学教授の【グローバルとローカル:世界は今】

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