JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(17)【今さら聞けない営農情報】第247回2024年4月27日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回までに、ひと通り土壌診断項目をご紹介しましたので、今回から改良方法の基礎知識をご紹介します。今回は、ECの改良です。
実は、ECの値に注意して改良が必要になるのは、園芸作物をはじめとした畑地で生産する作物であり、水稲では問題になることはありません。なので、以下、園芸作物におけるECの改良についてご紹介します。
ECは土壌中の肥料成分の濃度の指標となるもので、ECの値が高いと土壌中に肥料分が多く含まれていることを示し、低いと土壌中に肥料分が少ないことを示すものでした。
なので、ECの値によって施肥の量を調整するのがEC値に応じた改良の基本です。
例えば野菜を作付けする場合、施肥量の目安はEC値によって異なり、EC値が0.3mS/cm以下であれば作物ごとの基準施肥量を施肥します。同様にEC値が少し高く0.4~0.7mS/cmであれば、黒ボク土・沖積土・洪積土の場合は基準施肥量の2/3、砂壌土であれば基準施肥量の1/2を施肥するなど、EC値と土壌の種類との組み合わせで施肥量を調整します。反対にEC値が高く1.6mS/cm以上あるような場合は、どの土壌の種類でも追加の施肥は不要になります。
これらのEC値による施肥量の調整は作物によって異なるので、事前に施肥基準などをよく確認するようにして下さい。
一方、ECの値は高い方が肥料成分も多く、生育には良いように思えますが、逆にECの値が高すぎると、浸透圧によって根の中の水分が根の外に出ていってしまい、根がしおれたり、枯れてしまう現象である「肥料焼け」を起こす場合があります。
このため、ECが高い場合には、表層土に比べてEC値が低いことが多い下層土を天地返しして表層土と混合したり、深耕することによって土壌をかき混ぜて希釈し、土壌全体の肥料成分濃度を下げて改善できます。それでも、ECが下がりきらない場合は、ソルガムなどの吸肥作物(クリーニングクロップ)を栽培して青刈りし、圃場の外に出すことでEC値を下げることができます。
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