転炉スラグ肥料がイネの発芽・発根・出芽を促進 農研機構2025年7月10日
農研機構は、産業振興株式会社との共同研究で、イネの種もみを水に浸して水分を吸収させる浸種作業時に転炉スラグを原料とする肥料を浸種液に混和することで、発芽時間の短縮、発根の促進、出芽率の向上といった効果があることを確認した。今後、実際の育苗作業や種もみを直接水田にまく直播栽培場面での実用性が明らかになれば、播種前に行う種子予措作業の短縮化・軽労化につながることが期待される。
転炉スラグは、製鉄所で鋼を製造するための転炉で副産物として生成される資材。農業現場では、肥料としてケイ酸や鉄分、微量要素の供給のために使われている。また、そのアルカリ効果で土壌酸性改良資材として酸性土壌の中和や、土壌pHを高めて植物病原菌の被害を軽減する目的で使われるが、育苗期間中のイネを対象とした利用はこれまで報告がなかった。
今回、農研機構は、産業振興と共同で、イネの播種前に行う種子予措作業の一工程である浸種作業時に、転炉スラグを原料とする肥料(転炉スラグ肥料)の粉末を浸種液に混和することで、イネの初期生育が促進されることを発見。転炉スラグ肥料を混和した浸種液(転炉スラグ懸濁液)でイネ種子の処理を行うと、従来の浸種行程で処理された種子と比べて発芽、発根が早まる効果を得られるだけでなく、催芽のための作業を省略しても高い出芽率を得られる。
これら初期生育促進効果による発芽や発芽後の生育の斉一化、安定化により、育苗期間の短縮や直播栽培における発芽・苗立ちの向上が期待される。
この成果は、品種「キヌヒカリ」を用いた実験環境下での結果で、さまざまな品種に対する適応性や、実際の育苗作業あるいは直播栽培での実用性を明らかにする必要がある。今後、最適な処理条件を明らかにしてマニュアル化することで転炉スラグ肥料の活用により種子予措作業の短縮化・軽労化が図られることが期待される。
重要な記事
最新の記事
-
【米価高騰・今こそ果たす農協の役割】農協は農家のインフラ 急がれる「備蓄米買い上げ」 神明・藤尾益雄社長インタビュー(下)2025年10月23日
-
現場の心ふまえた行政を 鈴木農相が職員訓示2025年10月23日
-
全中会長選挙を実施 12月に新会長決定 JA全中2025年10月23日
-
花は見られて飽きられる【花づくりの現場から 宇田明】第71回2025年10月23日
-
続・戦前戦後の髪型と床屋・パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第361回2025年10月23日
-
「ゆるふわちゃんねる」登録者数100万人突破 JAタウンで記念BOXを限定販売 JA全農2025年10月23日
-
愛知県の新米「愛ひとつぶ」など約50商品「お客様送料負担なし」で販売中 JAタウン2025年10月23日
-
人気アニメ『ゾンビランドサガ』とコラボ「佐賀牛焼肉食べ比べセット」販売開始 JAタウン2025年10月23日
-
佐賀県発の新品種ブランド米「ひなたまる」デビュー記念 試食販売実施 JAグループ佐賀2025年10月23日
-
AI収穫ロボットによる適用可能性を確認 北海道・JAきたそらちと実証実験 アグリスト2025年10月23日
-
西欧化で失われた日本人の感性や自然観とは? 第2回シンポジウム開催 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月23日
-
GREEN×EXPO 2027で全国「みどりの愛護」のつどいと全国都市緑化祭を開催 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月23日
-
食とエネルギーの自給率向上と循環型社会の実現に向けた連携協定を締結 パソナ、ヤンマー、Well-being in Nature2025年10月23日
-
栃木県「那須塩原牛乳」使用 3商品を栃木県内のセブン‐イレブンで発売2025年10月23日
-
都市農地活用支援センター 定期講演会2025「都市における農空間の創出」開催2025年10月23日
-
岩手県山田町「山田にぎわい市」26日に開催「新米」も数量限定で登場2025年10月23日
-
ニッテン×QuizKnock コラボ動画を公開 日本甜菜製糖2025年10月23日
-
北海道の農業法人25社以上が出展「農業法人と求職者のマッチングフェア」開催2025年10月23日
-
福岡市で「稲刈り体験」開催 グリーンコープ共同体2025年10月23日
-
被爆・戦後80年 土浦市で被爆ピアノの演奏と映画上映 パルシステム茨城 栃木2025年10月23日