水稲の斑点米カメムシ類 多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第4号 農水省2025年7月10日
農林水産省は7月9日、令和7年度病害虫発生予報第4号を発表した。
予報によると、水稲で斑点米カメムシ類の発生が、北海道、南東北、南関東、北陸、東海及び中国の一部の地域で多くなる。野菜・花きでは、オオタバコガ、シロイチモジヨトウとコナガの発生が、複数の地域で多くなると予想されている。
果樹では、なしのシンクイムシ類の発生が、北関東と北九州の一部の地域で多くなると予想。このほか、ねぎのアザミウマ類と果樹カメムシ類など地域によっては多くなると予想されている病害虫がある。
また、今後も継続して気温が高くなる見込みであることから、害虫の発生量の増加や発生時期の長期化により、農作物への被害が増えるおそれがある。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
斑点米カメムシ類の発生が、北海道、南東北、南関東、北陸、東海と中国の一部の地域で多くなると予想。山形県、埼玉県、富山県、石川県および山口県から注意報が発表されている。同虫は、多くの種が水田周辺の雑草に生息し、出穂期になると水田に侵入し穂を加害する。被害の程度は、出穂期、水田への本虫の侵入量、カメムシの発生種の構成等によって異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、適期に防除を実施すること。
また、水田周辺雑草の除草は同虫の発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草は、本虫の水田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了する。地域一斉で除草すると効果的。
特に、イネカメムシは、斑点米だけでなく不稔被害も引き起こす斑点米カメムシ類の一種で、令和6年度は37都府県で確認。イネカメムシによる減収被害が生じた地域も報告されている。イネカメムシによる不稔を防止するには、他の主要な斑点米カメムシと異なり、出穂期に防除することが重要。過去から発生量が多く被害が懸念される地域や発生量が増加傾向の地域では、不稔を防止するため、出穂期の防除を実施する。
また、イネカメムシは、稲を好んで加害することから、防除が行われていない水田(飼料用米等)、周囲より出穂が早い品種または遅い品種の水田は、集中加害を受ける場合があることから、水田内をよく観察し発生に注意する。
◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域
◎ねぎ
・アザミウマ類の発生が、北東北と近畿の一部の地域で多くなると予想。岩手県から注意報が発表されている。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、発生初期から防除を実施すること。なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
◎アブラナ科共通
・コナガの発生が、北海道、北東北と北陸の一部の地域で多くなると予想。生育が進んだ幼虫では、殺虫剤の効果が劣ることから、ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、発生初期に防除を実施する。なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定すること。
◎作物共通
・オオタバコガの発生が、北海道、東海と四国の一部の地域で多くなると予想。北海道及び愛知県から注意報が発表されている。また、シロイチモジヨトウの発生が、南東北、北陸と四国の一部の地域で多くなることが予想されており、宮城県、富山県と徳島県から注意報が発表。ほ場を見回り発生状況に注意しつつ、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、適期に防除に実施する。
また、結球野菜では、結球内部に食入した場合に防除が難しくなることから、結球前に防除を実施する。なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定すること。
◎果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
◎なし
・シンクイムシ類の発生が、北関東と北九州の一部の地域で多くなると予想。シンクイムシ類の被害果が認められた場合は、速やかに切除し、果樹園外に持ち出し、処分する。また、交信かく乱剤の地域全体での利用も効果的。
◎果樹共通
・果樹カメムシ類の発生が、東北、南関東と東海の一部の地域で多くなると予想。岩手県、秋田県と宮城県から注意報が発表されている。
果樹カメムシ類の主要種であるチャバネアオカメムシとツヤアオカメムシについては、例年7月以降に山林のスギ、ヒノキ等の球果を中心に吸汁し、果樹園地での被害が少なくなる。しかし、当年第1世代の成虫が発生した後、餌となる球果が不足すると果樹園地に飛来し、加害することが知られている。
また、近年は、夏季の高温により、当年第2世代が発生する地域も多い。今後も園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施すること。
果樹カメムシ類は、薄暮期から夜間を中心に活動するため、夕方に薬剤散布を行うと効果的。スギ林やヒノキ林の隣接園地では、被害が多くなる傾向があることから、特に飛来状況に留意する。
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