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市場の変化へ対応を営農・販売事業改革へ 農協研究会2018年3月5日

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 農業協同組合研究会(会長=梶井功東京農工大学名誉教授)は3月3日、東京都内で第27回の研究会を開き、農産物流通・市場の変化に対応したJAの販売、および営農事業について、意見交換を行った。規制改革推進会議による卸売市場法改正の背景と目的、また営農事業改革、販売事業のあり方についてJAの取り組み報告があった。報告内容の要旨を紹介する。

【藤島廣二・東京聖栄大学客員教授】
-卸売市場法の改正と市場流通の展開方向-
寡占化の危惧も

大勢の参加者が集まった第27回農協研究会の会場のようす(日本橋公会堂) 卸売市場には、
(1)必要とする人々の全員に開かれた取引システム
(2)出荷・仕入側双方が納得しうる価格の実現
(3)食生活の豊さへの寄与
など、その役割には大きな社会的意義がある。これによって、国内産地が維持でき、小売部門の寡占化を防いでいる。また価格面では指標価格の形成、多様な品揃えなど、生産のみならず、消費の安定にも貢献している。

 

(写真)大勢の参加者が集まった研究会

 
 しかし、そのことが世間一般に知られておらず、卸売市場に対する誤解があった。多くの人は「卸売市場が物価を上げている」程度の認識ではないか。そうではないことを伝える努力が必要である。
藤島廣二・東京聖栄大学客員教授 現在、規制改革推進会議が提案している卸売市場法改正の、大きな問題は、開設区域の廃止にある。そうなると地方自治体が開設者になれなくなる恐れがある。民間企業が開設者になると、自由に業務規定をつくって運営ができるようになり、今までのように自治体の議会で議論されることがなくなる恐れがある。市場の運営協議会や取引委員会などがなくなると、上意下達の組織に変わりかねない。
 今でも多くの市場が赤字になっているように卸売市場の運営は難しく、赤字が出たとき、それをカバーできるのは、傘下に小売りを持つ大手流通資本に限られ、寡占化が進むだろう。卸売市場法を改正しても、差別的扱いや受託拒否の禁止は残るかも知れないが、そのことの保証はない。
 ただ、卸売市場が今のままでいいとはいえず、社会の変化に対応する必要はある。その一つが食生活の変化である。高齢化が進んで独居者が増えると、消費量の減少と共に食の外部化が進む。すると調理しないで済む加工品の需要が増える。こうした消費の変化への対応が必要だ。
 こうした消費の変化や産直取引、契約栽培、直売所など販路が多様化するなかで、変化への対応が必要。卸売市場の機能を理解している人であればいいが、市場機能等を理解していない人たちの提言に基づいた法改正では危ぶまれる。

 

【阿部勝昭・JAいわて花巻組合長】
 -営農事業改革の取り組み-
 農家組合を核に

 
阿部勝昭・JAいわて花巻組合長 3月3日の今日は、奇しくも昭和8年の「昭和三陸地震」の日である。その後、今回の「3・11」同様、大津波に遭った大槌に大きな堤防をつくり、昭和35年のチリ地震の時は耐えたが、今回はだめだった。いま、さらに大きな堤防をつくっているが、それでいいのか、複雑な思いだ。
 このとき、大津波の被害を受けた郷里の人に、新渡戸稲造が「Union is Power」の言葉を贈った。この精神が活かされ、災害時、全国のJAから支援をいただくなど、被災地にとって大きな支えになった。これがその後、JA紀の里、JA横浜との姉妹提携、同じくJA横浜とJAあいち知多と、災害時相互支援協定締結につながった。
 被害の大きかった大槌町では、平成24年に大槌町地域復興組合を設立し、生産者は農業生産対策交付金事業等を活用し、ハウスを利用したイチゴ栽培に挑戦している。また、30年産からの水田農業の取り組みで花巻市では、組合長の私が再生協議会の会長として引き続き、新たな水田利用に向けた取り組みに全力をあげている。
 JAの販売品販売額は238億4800万円で、購買品供給高は73億1300万円。営農・販売部門では米が基幹で、約90%が全農入庫で、平成28年産米で、全農集荷の約4割を占め、系統販売の岩手県産米を支えていると自負している。このほか、水田フル活用の取り組みでは、飼料用米によるコープネットとの「お米育ち豚」プロジェクトで、実需との結びつきを強化し、大手酒造会社との契約などによる加工用米の販売にも力を入れている。
 営農事業の基本は農家組合にあると考えている。問題はその構成員で、農業従事者が減少し、20人くらいになると、農家組合の運営が難しくなる。従って、農家組合の合併を進めた。平成20年で580あった農家組合は、現在368になり、構成員である正組合員30~50人規模になった。また、カントリーエレベーターなどの施設利用事業は生産者の自主運営を基本にしている。集落営農はその受け皿の役目を果たしている。

 


【上村幸男・JA菊池前会長理事】
「『きくちのまんま』で新たな夢への挑戦」 
 JA改革の本丸

 
上村幸男・JA菊池前会長理事 JA改革は販売事業の改革が本丸だと考えている。そのためには環境の変化に対応した新たな取り組みで組合員の手取り確保を実現することがJAの役割である。そのためJA菊池では、「きくちのまんま」のロゴマークをつくった。販売事業は全員参加が重要で、ロゴマークを決めるため外部コンサルタントと全職員が参加し、一般公募もした。
 清らかな水と肥沃な大地に育まれた菊池産の農畜産物のイメージにマッチしている。コンセプトは「安心品質」、「おふくろの味」である。つまり、価格から価値の競争の時代に入っている。そのためにはセールからマーケティングへ、消費者視点の商品づくり、買ってもらう仕組みづくりの3つをポイントに、顧客満足度を高め、生産者の想いを伝えることに努めてきた。
 その一つが「きくちのまんま」の農産物直売所である。
 
(1)出荷者は女性
(2)生産・陳列・回収の自己責任
(3)出荷者組織の自主的運営
(4)適正運営のための手数料確保
(5)生産履歴の記帳を基本に運営。
 
これは共販ではできない。いわば、これまでの販売事業の逆バージョンであり、常に消費者の意見を取り入れる農畜産物づくりのトレーニングの場となった。生産者の思いを必ず実現するという熱意が実を結び、協同運動の偉大さを実感したが、これがJAの販売事業全体を押し上げた。
 熊本県経済連会長のとき、販売事業の再構築に努めた。それには熊本県の農畜産物の旗印が必要と考え、統一ブランドマークを作った。この時も、選考は大学の先生や消費者、青果市場の専門家などに加わってもらった。それに併せ、県域の販売体制として「青果物コントロールセンター」と、県域指導体制の「アタック21」を立ち上げ、この2つを核にJAの枠を超えた生産販売体制を整えた。
 このほか、園芸の指導員を養成するため、オランダに毎年14、15名の職員を派遣して勉強させた。3年で50人程になり、彼らが、いま現場でスイカ、メロン、トマトなど、しっかり指導している。改革に終わりはない。競争のなかで、競争と協同をいかに融合させるべきか、また組合員から見て、組織はどうあるべきか、10年、20年先を視野に入れたJAづくりが求められる。
 協同活動には、強い意志と勇気ある行動が大事だと考えている。苦労の先にしか明日はない。振り向くな、後ろには夢がない、前を見て進め。そして本丸の改革、販売事業の改革に挑戦してほしい。

 

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