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2018.07.11 
米国政府にすべてのGM原料の食品表示を求める 生活クラブ一覧へ

 生活クラブ事業連合生協連は、アメリカ農務省が発表した「全米遺伝子組み換え食品表示法」にもとづく遺伝子組み換え(GM)由来の食品原料表示ルール案に対する意見を6月29日に提出した。

 これは「日本はアメリカ産の食品・食品原料の大きな市場」であり、アメリカでのGM食品表示ルールは、「日本の消費者の口に入る食品の情報開示にかかわる問題」であるとし、食品包材にすべてのGM原料が表示されることを米国政府に対して強く求めたものだ。

 米国では消費者団体などの強い働きかけによって、「全米遺伝子組み換え食品表示法」が成立し、遺伝子組み換え作物由来の原料の表示が全米で義務化されることになった。これを受けて米国農務省はGM食品の表示ルールを検討しているが、5月にルール案を発表し、7月3日までパブリックコメントを募集していた。
 ここで焦点となっている「油や砂糖など高度に精製された食品にも遺伝子組み換え表示を義務付けるべきか」については、パブリックコメントでの意見を踏まえて決定するとされている。
 表示方法については、

 

1.文字による表示、
2.マーク、
3.QRコード、
4.携帯メールでの問い合わせ対応

 

のいずれかでよいことになっているが、 米国農務省が提案している3種類のマークのうち2つには、 ニコニコマークと太陽が使われている。生活クラブでは「このようなマークの入った米国産の食品が日本に輸入されて店頭に並べば、日本の消費者は誤解をして、よいものだと受け止めるかも」しれないとし、日本の消費者も影響を受ける米国の表示ルールについて「日本はアメリカ産の食品・食品原料の巨大市場であり、アメリカでの遺伝子組み換え食品の表示制度の導入は、日本の消費者にとっても情報開示につながる」こと。また現在、日本でも消費者庁が遺伝子組み換え食品表示基準の改正のため、今後は消費者委員会への諮問が予定されているが、「アメリカ国内でのルールの動向は、日本の遺伝子組み換え表示制度にも影響を与えることが予想されるとして、「すべての遺伝子組み換え原料を包材上に文字で表示し、消費者に間違った印象を与えるマークをしないよう求める意見」を米国農務省に提出したということだ。

提出した意見の全文は以下のとおり(日本語訳)。

 生活クラブ連合会は、 約39万人の組合員と供給高約871億円をもつ日本の生協です。米国農務省が現在策定している遺伝子組み換え食品の表示ルールに対して、意見を送ります。
 日本の消費者は、米国からの農産物をはじめとする食品を多く購入しており、貴国にとって日本は大きな市場です。私たちの生協の取り扱い品目の多くの原料は国産ですが、家畜の餌として米国から遺伝子組み換えでないトウモロコシ・大豆かすを輸入しており、NON-GMトウモロコシは年間26,000トンから27,000トンを輸入しています。米国での食品表示制度の動向は、日本にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、今回コメントを送ることにしました。

1.遺伝子組み換え原料をつかったあらゆる食品を義務表示の対象としてください。

 
 多くのGM食品は、GM作物をまるごと食べるのではなく、食用油、清涼飲料水、キャンディーといった加工食品です。これらの加工食品は、トウモロコシ・大豆・ナタネといったGM作物やGMトウモロコシ・GMビーツ由来の糖類を使って作られています。こういった加工食品に表示義務を課さないとなれば、何百というGM食品について情報が公開されないことになります。表示が意味を持つためには、どれほど加工度が高いとしてもGM食品には表示義務が課されるべきです。

 
2.QRコードではなく、包材上に文字で表示してください。
 QRコードを読み取るためにはスマートフォンと安定したインターネット接続が必要です。2017年の総務省の調査によると日本ではスマートフォンの個人保有率は56.8%、70代では13.1%とされています。スマートフォンを持っていたとしても、必ずしも電波がつながるとは限らず、QRコードで表示されれば結果として多くの消費者が知る権利を奪われることになりかねません。米国農務省が2017年に発表した報告書には、米国も同様の状況であることが書かれています。包材上にウェブサイトアドレスを掲載したり、携帯メールで問い合わせる方法も提案されていまが、これらにも反対です。こういった方法を利用できない人もいますし、携帯メールについては送信や受信のたびに料金がかかる場合もあり、実用的ではありません。このような方法は時間がかかり、真の透明性を妨げる要因となります。食品表示の国際ルールを検討するコーデックス食品表示部会ではまだ、QRコードを承認していません。このような方法で表示している国はほかにはありません。すべての消費者に対する確実な情報開示を保障するのは、包材上の文字による表示だけです。すべての消費者に平等に情報を開示するために、QRコードではなく、包材上に文字で表示し、場合によっては分かりやすいマークをつけて、あらゆる消費者にとっての利益を最大にしてください。

 
3.「GMO」表示の使用を認めてください。
 米国農務省は「遺伝子組み換え」や「GMO」という用語の使用を制限することを提案しています。これらの用語は、消費者、企業、規制当局によって30年以上使われてきました。
 「バイオ技術による」(bioengineered)という用語とまったくなじみのない「BE」という頭文字は、誤解と混乱を招くものです。日本でも一般的に使われているのはGMOであり、「BE」表示は日本の輸入者にとっても混乱を招くことになります。企業はすでに、「GMO」という確立した用語を使って表示をして商品を市場に出しており、農務省はその表示の継続を認めるべきです。そうしなければ、国際貿易に影響が及ぶことになるでしょう。

 
4.中立的なマークを使ってください。
 「全米遺伝子組み換え食品表示法」は、文字による表示の代わりにマークの使用を認めています。しかし、米国農務省が提案している3種類のマークのうち二つには、ニコニコマークと太陽が使われています。これらのマークは、GMO推進の宣伝のように見えます。このようなマークの入った米国産の食品が日本に輸入されて店頭に並べば、日本の消費者は誤解をして、よい食品だと受け止めるかもしれません。農務省はこういったバイアスのかかったマークの使用をやめ、「GMO」の頭文字が入ったマークの使用を認めるべきです。

 
5.新たな遺伝子組み換え技術を使った将来の食品も義務表示の対象とできるルールにしてください。
 企業は現在、ゲノム編集など新たな遺伝子組み換え技術を使った実験を行なっています。CRISPRを使った「バイオ技術」でつくられた(bioengineered)オレンジ、カカオ、ジャガイモ、大豆、ナタネが開発されています。米国農務省は、これらの新しい遺伝子組み換え技術を使ったあらゆる食品をGMO表示の対象とできるようなルールを整備すべきです。

 
6.ルールの施行は2022年まで先送りにすべきではありません。
 「全米遺伝子組み換え食品表示法」は、 2018年7月29日までに表示ルールを確定させるよう求めています。しかし米国農務省は、2020年1月1日までに印刷したラベルを全部消化するまでは、2022年1月1日を超えない範囲で、GM表示がなくても既に印刷しているラベルの利用を企業に認める提案をしています。これは、まったく合理性に欠ける延期です。多くの企業がすでにGMO表示を実施しているのです。企業に対して2020年1月までに表示の実施を求めるべきです。

これらのコメントをご検討いただき、ご高配下さりますよう、よろしくお願いします。

 

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