水生昆虫への放射性セシウム粒子の移行を解明 国立環境研究所など2022年7月15日
国立環境研究所、電力中央研究所、福島県環境創造センター、日本原子力研究開発機構、農研機構、福島大学、東京大学大学院理学系研究科の研究チームは、福島県内の河川で採集した水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラ)への放射性セシウム粒子の移行を解明した。
環境から淡水魚への放射性セシウム移行の把握には、魚の餌となる水生昆虫の放射性セシウム濃度を明らかにすることが重要となる。同研究チームは、福島県内の河川で採集した水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラ)の放射性セシウム濃度を個体ごとに測定。他の個体に比べ比較的高い放射性セシウム濃度を示す個体から放射性セシウム粒子(セシウムボール:大きさ0.1-10 μm程度のガラス状の不溶性粒子で、放射性セシウムを含む)を発見した。また、ヒゲナガカワトビケラの餌となる藻類や河川流下物からも放射性セシウム粒子を発見した。
この結果から、放射性セシウム粒子の生物や食物網への取り込みが初めて明らかになった。放射性セシウム粒子は不溶性であり、餌として体内に入っても、放射性セシウムが筋肉などの体組織に取り込まれるリスクはほとんどないと考えられる。
一方、食物網に移行する放射性セシウムの動態を理解するための調査研究で、放射性セシウム粒子の存在を考慮することは重要で、放射性セシウム粒子中の放射性セシウムは、生態系内で水溶性の放射性セシウムとは全く異なった動態を示す。また、生物試料に放射性セシウム粒子が含まれる場合、生物の放射性セシウム濃度を過剰に見積もる可能性がある。
今後、渓流中でのセシウムボールを含めた放射性セシウムの動態が明らかになることで、水生昆虫やそれを餌とする魚の放射性セシウム濃度の将来予測の精度が向上することが期待される。
同研究の成果は、5月20日付でオンライン学術誌『PLOS ONE』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年7月8日
-
なぜ米がないのか? なぜ誰も怒らないのか? 令和の米騒動を考える2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【立憲民主党】「食農支払」で農地と農業者を守る 野田佳彦代表2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【自由民主党】別枠予算で農業を成長産業に 宮下一郎総合農林政策調査会長2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本共産党】価格保障・所得補償で家族農業守る 田村貴昭衆議院議員2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【れいわ新選組】農業予算倍増で所得補償・備蓄増を やはた愛議員2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】集落と農地 地域の要 営農事業部門・広島市農協組合長、広島県農協中央会会長 吉川清二氏2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】若者を育てる農協に 営農事業部門・北海道農協中央会前会長、常呂町農協前会長 小野寺俊幸氏2025年7月8日
-
トランプ政権の移民摘発 収穫できず腐る野菜「農家に大きな打撃」2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
-
150年間受渡し不履行がなかった堂島米市場【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月8日
-
2025参院選・各党の農政公約まとめ2025年7月8日
-
米価 6週連続低下 3600円台に2025年7月8日
-
【JA人事】JA秋田しんせい(秋田県)佐藤茂良組合長を再任(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JA北九(福岡県) 新組合長に織田孝文氏(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAかながわ西湘(神奈川県)天野信一組合長を再任(6月26日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAえひめ中央(愛媛県)新理事長に武市佳久氏(6月24日)2025年7月8日
-
宇都宮市に刈払機を寄贈 みずほの自然の森公園へ感謝と地域貢献の一環 JA全農とちぎ2025年7月8日
-
岡山の農業を楽しく学ぶ 夏休み特別企画「食の学校2025」 JA全農おかやま2025年7月8日
-
農業高校生研修を開催 秋田北鷹高等学校、増田高等学校の生徒が参加 JA全農あきた2025年7月8日