JAの活動:第46回農協人文化賞
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
多年にわたり農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第46回農協人文化賞の表彰式が7月4日に開かれた。
各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
顔写真:営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏
私は1983年に鳥取県経済連に入会し米子支所農蚕課に配属されました。以降、椎茸、生活、園芸、直販、営農、畜産、燃料、管理などの部署を経て2017年にJA全農鳥取県本部長に就任し、25年3月に退任しました。長きにわたり皆様には大変お世話になりました。
本部長に就任し、連合会としてどのような形でJAを支えて行けば良いのか? 常に問いかけながら事業に取り組んで参りました。
最初に取り組んだのは肥料農薬の物流です。全農との統合時にJAへ移管しましたが、将来物流が課題になるだろうとは感じていました。近年になってJAから運べないリスクが浮上してきたことから中央物流センターを立ち上げることとしました。施設のコストは極力抑え、ピッキングシステムは自由度の高いものとし、配送先は誰でもわかるようZ―GISを活用するなど効率化に努めるとともに、コンプラ上の課題解決にも取り組みました。
次に取り組んだのが野菜広域センターです。鳥取県は西日本有数のブロッコリー産地ですが、面積が拡大する中、労力不足が課題となってきました。一方、実需者からは鮮度保持の要求が高まってきたため、本会と2JAの三者共同事業として野菜広域センターを立ち上げました。センターで選果選別・氷詰めして出荷しますが、特徴的なのは事前に年間買取価格を提示し、全量買い取りによる直販としたことです。とにかく生産者には作ることに専念してもらい、販売リスクは本会が負う方式としました。施設を建てるのは比較的容易でしたが、仕組みづくりには今も苦労しています。また、出荷のない時期は梨の輸出拠点として活用し、施設の有効利用にも努めています。建設費が高騰する前のいいタイミングで事業を実施することができました。
続いて農機事業です。JAの農機事業は慢性的な赤字体質、施設の老朽化、専職の高齢化や要員不足など多くの課題を抱えています。この対応として農機事業の一体化に取り組みました。先進事例がいくつかありましたが、本県はJAのリスクが最も少ない「債権回収責任を本会が負う方式」としました。なおJA子会社との一体化でしたので、その意味では全国初の取り組みとなりました。開始して3年目となり改善も進んできましたが、まだまだ課題も多く引き続き持続可能な農機事業に向けて取り組んでいます。
農機事業一体化に取り組んだ
鳥取県は二十世紀梨の日本一の産地ですが、その栽培に欠かせないのが梨袋です。自社工場で製造し、宮城県から鹿児島県まで全国各地の梨農家に利用されています。しかし、面積減や無袋栽培の普及により年々需要は減少し、その上、製造機器の老朽化や赤字体質など多くの課題を抱えていました。
このため同業他社と将来について話し合い、現状のままでは未来は無いことを確認。他社の絶大なる協力により、韓国から製造機器を輸入して国内向けに改造し、要員も提供していただくなどして新体制で製造を開始しました。おかげで年間を通じて安定的に製造することができ、生産者へも遅滞なく供給できるようになりました。
2024年産米は集荷が大変厳しい年でしたが、本会は前年を上回る103%でした。これはJA役員の理解により系統へ結集していただいたたまものです。以前、コメ代金の清算は1年以上かけて複数回行っていましたが、これを翌年産の収穫までに最終清算を終える方式に変えました。生産者にわかりやすく、メリットが享受できるよう取り組んでいます。25年秋には米の集荷・荷さばき場が完成します。担い手やJAの手間を省き、集荷量がさらに増加することを期待しています。
最後に、これらの取り組みはすべてJA、生産者、関係機関ほか多くの方々の理解と協力をいただき、本会職員も途中で投げ出さず最後まで取り組んでくれたおかげで実現できました。皆様には心より感謝申し上げます。
【略歴】
おさき・ひろあき
1960年10月生まれ。1983年4月鳥取県経済農業協同組合連合会入会、2007年全農鳥取県本部営農総合室長、2010年営農畜産部次長、2011年生活燃料部長、2015年管理部長、2017年県本部長、2025年4月上席主管。
【推薦の言葉】
将来見据え課題解決
尾崎氏は営農、園芸、畜産、生活部門での経験と実績をもとに県本部長就任後は、鳥取県農業がこれからも安定して続けていくことができるよう事業再編とJAとの事業一体化などに成果を挙げてきた。
具体的には、いち早く物流問題に取り組み2019年に「中央物流センター」を設立し肥料・農薬の個別配送を実現した。また、鳥取県の特産の一つであるブロッコリーの生産基盤強化のため、JA域を超えて選果・荷造りを行う野菜広域センターを設立した。
農機事業ではJA、JA子会社と一体化を図り専門技術の継承と業務改善を進め、農機事業の安定化を図った。
梨産業の将来を見据えた果実袋工場の再編にも取り組み、梨生産者が安心して梨生産ができることに貢献した。氏は生産者、JAとともに着実に課題を解決してきた。
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