JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(60)IGR剤の利用にあたっての注意点【今さら聞けない営農情報】第326回2025年11月29日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。しかし、農薬をより効率よく正しく使用するためには、製剤の選択の他に散布対象となる作物やその生育ステージ、あるいは病害虫雑草の生態に合わせた使い方も重要になります。現在害虫の生態に合わせた防除の考え方を紹介しており、前回害虫は幼虫のできるだけ小さいうちに防除する方が効率よく防除できるとご紹介しました。そのことで1点補足しておきたいことがあります。それは、キチン合成阻害剤などの害虫の成長を制御する薬剤(昆虫成長制御剤IGR:Insect Growth Regulator)の利用にあたっての注意点です。
害虫は脱皮や変態する時に外殻(体表)部の主要成分であるキチンを合成して新しい体をつくります。そのキチンの合成過程の一部を阻害してキチンを作れなくして、正常な脱皮や変態をできなくする作用を示すのが脱皮阻害剤です。この他、IGRには幼若ホルモン様物質もありますが、いずれも正常な害虫の成長を妨げて幼虫を死に至らします。
このIGR剤は、農薬散布しても直ぐには死ない、いわゆる遅効性の殺虫剤です。なぜなら、IGR剤は脱皮の時にはじめて効果を発揮しますので、IGR剤にさらされても脱皮する時が来るまでは食害を続けるからです。この食害は、幼虫の体が大きいほど大きく、逆に幼虫が小さければ食べる量も範囲も小さいので被害も最小限になります。このため、IGR剤を使用する場合は体がごく小さい時(できれば孵化したての時)の方が、食害量を最小限にして害虫を効率的に防除できます。このため、害虫の発生前から作物の表面に隙間なくIGR剤による保護層をつくるくらいのイメージで散布されていれば安定した効果が得られます。1作期に何度も世代を繰り返す害虫の場合は、使用する殺虫剤の残効期間にあわせて農薬による保護が途切れることのないように定期的な散布を実施する必要があります。
IGR剤の主なものを以下にご紹介します(商品名のみ)。
1. ベンゾイル尿素系:アタブロン、デミリン、カスケード、マッチ、カウンター、ノーモルト
2. ブロフェジン(アプロード)
3. 脱皮ホルモンアグニスト:マトリック、ファルコン、ランナー、ロムダン
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