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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2016.01.25 
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 いったい、野党は政権を奪って、自党の政策を実行し、日本を良い国にしたい、という気概があるのだろうか。党員が政治家を志したとき、それが初心ではなかったか。いま、それがあるか。
 以前、野党第一党の民主党の首脳が「今春の参院選の、その次の衆院選で政権を奪還したい」という主旨の発言をしていた。悠長なことだ。
 彼は、今春の参院選が衆院選とのダブル選挙になる可能性を、全く考えていないようだった。ノンキなことだ。
 政治の世界は「一寸先は闇」だという。正月早々に、老練な官房長官は「衆院は常在戦場」といって、ダブル選挙を匂わせていた。野党にその準備があるか。

 ここで言いたいことは、野党支持を表明することでもないし、まして、押し付けることでもない。
 農協には政党支持の自由がある。野党の支持者もいるし、与党の支持者もいる。両者が自由に議論している。それが、協同組合の大原則だ。自由な議論の結果、組合員の大多数が、TPPに反対している。
 それは、農村の現実を見ようとしない評論家や学者の空論とは違う。農業の生産活動と、農村の生活に根ざした議論の結果である。

 農村での、こうした反TPP運動の実態が見えない政党は、こんどの選挙で農村から見捨てられるだろう。
 与党は、この実態を横目でみながら、TPP問題を選挙の争点から外そうとして躍起になっている。TPPは、すでに決まったことだ。だから、いまさら争点にはならない。そのように言っている。
 それに対して野党の多くは、農村の反TPP運動の実態を見ようとしない。TPPのアラ探しをするだけだ。TPPのアラは、いくつでもある。それに捉われて、政府を批判するだけだ。政権を揺るがすような議論をしていない。TPPの合意を覆すための戦略をもっていない。
 ここで強調したいのは、このことである。

 TPP合意を覆すには、国会での批准を阻止することだ。批准を阻止するには、野党が選挙協力をして、多数派になることだ。ダブル選挙になることは、むしろ望ましい。そうなれば、衆参両院で一挙に多数派になれる。
 だが、野党間の選挙協力が進んでいない。野党にヤル気があるのか、という疑問は、ここから発している。

 いまの参議院選挙区制のもとで、選挙の勝敗は1人区の勝敗が、選挙結果に大きく影響する。その1人区は、ほとんどが農村部にある。だから、選挙の勝敗の帰趨は、農村が握っている。
 その1人区で、与党は選挙協力が進んでいるが、野党は進んでいない。これでは、野党に勝ち目はない。
 多くの野党が、TPP反対の一点で妥協しあい、選挙協力をすれば、選挙に勝てる可能性は、大いに高まる。
 そうなれば、与党も動揺するだろう。そうなれば、与野党間で真摯な議論がなされるだろう。与党の中からも、TPP反対の声が出てくるかもしれない。そして、TPPの再交渉や、加盟見送りの声が大きくなるだろう。そうしなければならない。
 それを契機にして、政界の再編に進むだろう。そうして、1強多弱で行き詰まっている日本の政治を、活性化する展望が開けてくるだろう。

 その先頭に立つべき政党は、野党第1党の民主党である。
 これまで、民主党の政敵である自民党の支持基盤は農村にあった。しかし、いまは違う。農村は是々非々である。だから、7年前の政権交代の原動力になった。
 また、民主党の支持基盤は労組である。だから、民主党は労組に支配されていて、そのクビキから抜け出せない。その労組が農協と犬猿の仲にある。だが、それは中央組織だけのことで、地方組織は農協といっしょになってTPP反対の運動に加わっている。
 いまこそ、地方が発信するTPP反対の声を政治に反映させて、政権交代を迫るチャンスだ。この際、TPPは民主党政権のときに言い出したのだ、ということを、農協の人たちは些細なこととして忘れることができる。
 いまこそ野党は、地方の反TPPを基軸にし、小異を捨てて早急に選挙協力を進め、強引な与党に反省を迫るときだろう。
(2016.01.25)

(前回 TPPを参院選の主要な争点に

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