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コラム:正義派の農政論

【森島 賢】

2016.01.18 
TPPを参院選の主要な争点に一覧へ

 TPP対策費の3122億円を含む補正予算案が、14日に衆議院で可決された。
 その前日の予算委で、民主党と維新と無所属クラブが共同で、組み替え動議を出した。TPP対策費など4点についての組み換え動議である。しかし、与党だけでなく、野党の共産党、おおさか維新の会、改革結集の会の反対によって、あえなく否決された。
 TPP問題について、野党が結束していないのである。これでは、農村での野党支持は広まらない。今春の参院選で野党の復活は望めない。

 いま、農村には政治に対する不満が鬱積している。その根源にTPPがある。もしもTPPが発効すれば、農村はその様相を一変する。農業が壊滅し、農村は人間が住めない地域になる。
 TPPが発効すれば、すぐにそうなる、というわけではない。老練な政府は、10年、20年をかけて、そうする。
 20年後といっても、若い人にとっては、それほど遠い未来ではない。20歳の若者が、40歳の働き盛りになる時である。そのとき、農村に明るい未来が開けていなかったら、どうなるか。村の人たちは、それを今から心配している。
 農業の後継者が、ますます少なくなる原因は、ここにある。農村が疲弊する原因は、ここにある。TPPは、農村の、こうした動きを加速する。

 いったい野党は、ことに野党第1党の民主党はヤル気があるのだろうか。自分の議席の確保に汲々としているだけではないか。国民の、ことに農村の人たちの、政治にたいする不満を汲み取る姿勢が見えない。
 野党は、政党間の争いに没頭し、政党内の派閥争いに、かまけていて、国民のための政治活動をしていない。
 それでも、こんどの参院選で、野党は議席を増やせるかもしれない。それほどまでに、国民の、ことに農村の人たちの不満は鬱積している。
 民主党をはじめ、多くの野党は、その不満を、まともに受け止めていない。そんな野党は、やがて、国民から見捨てられるだろう。

 その結果は、国民の政治不信をもたらす。その間隙をぬって、ファッショ的な政治が横行する。それは、戦前に経験したことである。
 首相は、参院選で勝って、憲法を改悪し、平和主義を捨てようとしている。
 TPPは、経済同盟であると同時に、軍事同盟の基盤作りを狙ったものである。一強多弱の与党内に、それを阻む勢力はない。多くの野党には、その危機感がない。

 野党が、こんどの参院選に勝ちたいなら、野党が結束するしかない。結束のかなめは1人区の多い農村にある。農村には、TPPへの強い不満が渦巻いている。
 TPPへの不満を、参院選の主要な争点にできるかどうか。野党が統一候補を擁立するなど、野党が結束できるかどうか。そうして、TPPへの不満を投票結果に有効に反映できるかどうか。それが、こんどの参院選の結果を左右するだろう。
 それは、今後の日本の進路を、大きく変えることになるだろう。
(2016.01.18)

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