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畜産:JA全農畜産生産部

海外ネットワークで飼料原料を安定調達 JA全農2018年4月2日

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・持続可能なわが国の畜産を支えるJA全農の飼料事業

 JA全農畜産事業では海外の農協組織などとネットワークを構築し、飼料穀物の安定的、長期的確保に取り組んできている。世界の穀物価格は一時期の高騰にくらべれば落ち着きを見せているものの、世界の人口は増え続け穀物需要は引き続き伸びることが見込まれており、わが国畜産の持続的な発展のためには海外の産地と結びついたJA全農の飼料事業は一層重要になる。今回は、最近の穀物事情とJA全農の新たな飼料事業の展開として、世界最大級の取扱い数量を誇る米国・全農グレインの能力増強と、ブラジルとカナダでの集荷基盤強化の取り組みを紹介する。

◆予断を許さない穀物事情

全農畜産生産部 最近の穀物等の国際価格の動向は、2012年に米国で1956年以来の大干ばつとなったことからトウモロコシが1ブッシェル(25.4kg)8.3ドル、大豆が同17.7ドルと過去最高を記録した。その後は、世界的な豊作や南米での大豆の増産などで穀物価格は低下傾向で推移している。農水省によると3月2日現在でトウモロコシは同3.6ドル、大豆は同9.8ドルとなっている(グラフ1)。

【グラフ1】穀物等の国際価格の動向

 

 しかし、新興国の畜産物消費の増加などを背景として世界の穀物需要は今後も伸びが見込まれている。
 米国農務省の予測によれば飼料原料の多くを占めるトウモロコシと大豆の輸入量は2017~2019年は3億t程度で推移するが、その後、年率2%程度で需要は伸び続け、2026年には3億5000万t程度となると予測されている。

【グラフ2】輸入(とうもろこし+大豆)、【グラフ3】輸出(とうもろこし+大豆)(出典:米国農務省発表データ)

 そのなかでもグラフに示されたように中国が大豆、トウモロコシの輸入国に転じたことから、2000年代の初めには日本の輸入量より低かった中国のシェアは年々増え続け、最近では33%を占める。将来は36%を超えると予測されている。それに対して日本はかつて15%程度あったシェアが6%から5%へと低下する見込みとなっている。

 こうした増え続ける需要に対して輸出する産地も大きく変わっていく見通しとなっている。

 グラフに示されているようにかつては米国が輸出量の60%も占めた時代があったが、ブラジルが世界の需要に応えるよう輸出量を伸ばしており2022年には35%を超えて米国と逆転すると予測されている。
 日本のトウモロコシ輸入実績も、米国がエタノールへの仕向け割合を増やした2008年以降、それまで80%以上を占めていた米国からの輸入割合が減り、ブラジル、アルゼンチンからの輸入を増やしてきた。
 もっとも米国産のトウモロコシは量、質ともに安定しているとされるが、それでも価格が過去最高値を記録した2012年のような大干ばつが起こらないとはいえず、穀物の需要の伸びを考えると世界の穀物事情は決して予断を許す状況ではない。
 そのためJA全農は米国内での集荷基盤を確保するとともに、調達する産地の多元化にいっそう力を入れている。

 

◆船積能力550万t増加

 米国から調達基盤の増強の取り組みの一つが輸出エレベーターの拡張工事だ。
 1979年にルイジアナ州ニューオリンズに設立された全農グレイン(株)は2015年から輸出エレベーターの拡張工事に着手し、昨年12月に完工した。現在は拡張工事で新設した部分の試験運転を行っており、4月から本格稼働を見込んでいる。

【写真1】ミシシッピ川にある全農グレイン(株)の輸出エレベーターの船積施設の拡張

【写真1】ミシシッピ川にある全農グレイン(株)の輸出エレベーターの船積施設の拡張
(画像をクリックすると大きな写真が見られます。)

 

【写真2】新設した桟橋(桟橋は拡張で全長700mとなった)
【写真2】新設した桟橋(桟橋は拡張で全長700mとなった)

 

 新設したのは、はしけから穀物をサイロに搬入するための、2機めのはしけ揚げ機と搬入コンベア。これまでの1機めのはしけ揚げ機と合わせて、サイロの受け入れ能力は毎時5500tへと倍増するという。
 また、本船待機用桟橋も新設した。これまでは本船への船積みが終了して出航した後、近くに待機させた次の本船を船積み用桟橋につけるまでに3~4時間かかったという。それが待機用桟橋を新設したことで本船の入替時間を現行の半分程度に短縮することが可能になる。
 このエレベーターでは2013年に船積関連施設(コンベアと船積スパウト)も改良しており、船積能力は現行の約1.5倍の毎時4500tとなる。こうした施設の新設・改良で単一の穀物エレベーターとして世界最大の取扱い数量を誇っているこのエレベーターからの船積能力は現行の年間1350万tから1900万tへと550万t増加する見込みだ。
 また、あわせて内陸部で集荷を行っているCGB社は現在94か所の集荷拠点を持っているが、2018年度には新設と買収を含めて97か所にまで拠点を増やし、集荷基盤の強化を図ることにしている。

 

◆ブラジルで集荷を強化

 調達産地の多元化の取り組みとして今後重要になるのがブラジルである。2017年7月、全農グレインはブラジルやアルゼンチンなどで事業を展開しているアマッジ社と穀物メジャーの1つであるルイ・ドレファス社の合弁会社ALDC社に出資し、両社と対等な3分の1の株式を取得した。その後、社名をALZ社に変更した。
 ALZ社はブラジル北東部の新興穀物産地であるマピトパ地区(マラニョン州、ピアウイ州、トカンティス州、バイーア州の総称)に6基の内陸集荷施設を所有し、この地域で穀物集荷、保管、輸送、販売事業を行っている。また、北部のイタキ港に輸出エレベーターを持つTEGRAM社を共同運営している。具体的には4つある12.5万t能力の穀物倉庫のうち1つをALZ社が所有している。
 ブラジル国内ではトラック輸送が主流だが、ALZ社が集荷施設を持つこの地域には鉄道が敷設されており、イタキ港まで貨車輸送が可能となっているのが大きな特徴だ。

【写真3】ブラジル・イタキ港の穀物倉庫

【写真3】ブラジル・イタキ港の穀物倉庫

 

 イタキ港で共同運営しているTEGRAM社の施設は2015年から稼働開始。現在の船積能力は700万tだが、拡張工事が予定されており能力は倍増する見通しだという。ALZ社の2018年の輸出目標量は200万tだという。このようにブラジルでJA全農は産地の集荷と輸出港までの輸送機能を一貫して持つ企業と提携し、日本への飼料原料の安定調達を図ろうとしている。

 

◆カナダで集荷拠点を確保

 もうひとつ特筆すべき取り組みがカナダでの集荷拠点づくりだ。
 2015年12月、全農グレインは豪州の穀物集荷販売会社であるグレインコープと共同出資してカナダにグレインズコネクト・カナダ・オペレーションズ(GCC)を設立した。穀物の集荷等の事業でカナダに進出した日系資本は同社が初めて。
 本社をカルガリーに置くGCC社はカナダの穀倉地帯であるサスカチュワン州、アルバータ州に4基のエレベーターを建設中で、昨年11月から順次稼動を始めている(図、(1)~(4)が集荷エレベーター)。

【図】カナダに設立したグレインズコネクト・カナダ・オペレーションズの概要

【図】カナダに設立したグレインズコネクト・カナダ・オペレーションズの概要

 飼料原料の小麦・大麦などの安定的な集荷基盤の構築をめざす。集荷施設からは鉄道網を使用し、バンクーバー港やプリンスルパート港などから輸出する構想だ。内陸からの輸送は1万t以上の穀物を最大130両もの貨車で一気に輸送するという。
 この共同出資の事業の狙いはカナダの内陸に入り込んで集荷すること。米国でもブラジルでも同様だが、産地としっかり提携したうえで日本への輸出につなげることが飼料の海外事業の核になっている。
 JA全農によれば4大穀物メジャーに加え資源系メジャーの参入や中国国有企業による中堅穀物メジャーの買収など、寡占化が進んでおり穀物調達をめぐる競争は激化している。これまで同様、アルゼンチンや豪州との農協組織等の連携はもちろん、新たな事業によって「世界の農家や農協と信頼関係でつながり調達することが大事になっている」(JA全農畜産生産部)としている。日本の畜産の持続的な発展に向けた飼料事業の強化が期待される。 

 

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