次シーズンへ向けて 伝染源の対処呼びかけ 病害虫発生予報第8号2015年10月21日
農林水産省は10月20日、「病害虫発生予報第8号」を発表した。注意を促している。
気象庁は向こう一か月を北日本日本海側、西日本太平洋側と沖縄の奄美で、平年より雨が多いと予想している。また北日本太平洋側や東日本と西日本日本海側では、平年より雨が少なく、日照時間が長くなると公表している。
雨が多く日照時間が短くなると一般的にべと病や灰色かび病などの病害発生が多くなり、雨が少ないとハダニ等の害虫の発生が多くなる。天候の推移に留意しながら、ほ場の観察を続けるよう、農水省は呼びかけている。
【水稲】
イネいもち病の発生が一部の地域で今年みられた。同病が発生したほ場の稲わらは、次シーズンの伝染源になるため、育苗ハウスには持ち込まないこと。
イネ縞葉枯病は、イネ縞葉枯ウイルスに感染した稲を吸汁したために同ウイルスを保有したヒメトビウンカの増殖防止のため、同病が発生した収穫後のほ場は伝染源となる株と周辺の雑草除去に努めること。ヒメトビウンカは周辺のイネ科の雑草などで越冬する。
【大豆】
大豆は温暖・多湿条件でダイズべと病の発生が助長されるため、株間の通風と水はけの悪いほ場の排水などを心がける。また被害茎葉は伝染源となるため、ほ場の外で埋めるなど、適切な処分を行う。
また吸実性カメムシ類、ハスモンヨトウの発生が表の地域で「やや多い」と予想されているため、ほ場の観察を行うよう呼びかけている。特にハスモンヨトウの食害があった葉は白っぽく見える(白変葉)ことがあるため、目安にして見回りを行うこと。
【大豆で予想される病害虫と地域】
【野菜・花き】
アブラムシ類の発生は表の通り多いと予想されるため、ほ場の観察と適切な対処を行うこと。
キュウリに関しては、表の通りべど病とうどんこ病の発生が予想される。べと病では多湿条件が発生を助長するため、過失しないよう注意すること。またうどんこ病は窒素肥料の過多や葉の込み合いで多発しやすくなるため、栽培管理に気を付けるよう呼びかけている。
トマトの灰色かび病は、20度前後で助長されることから、発生が多くなると予想されている。低温多湿の条件で発生が助長されるため、温度と湿度の管理が大切。同病にかかった部位は伝染源となるため、ほ場の外に埋めるなど対処すること。
【野菜・花きで予想される病害虫と地域】
【果樹・茶】
ナシ黒星病の発生が多かった地域は来年も発生が多くなるおそれがあるため、一次伝染源である落葉や病斑部位を除去することが重要。
モモせん孔細菌病は翌年の発生を抑えるため、収穫後に薬剤散布などの防除を行うことが効果的。
キウイフルーツかいよう病の発生部位を見つけた場合は、適切に除去することが重要。またハサミなどの作業器具は樹ごと消毒を行い、切除を行った場合は、切り口に登録農薬を塗布することを徹底する。
【果樹・茶で予想される病害虫と地域】
都道府県が発表している警報は、今のところない。
特殊報に関しては、下記の通り発表されている。
▽10月1日 鳥取県でトルコギキョウを対象にトルコギキョウえそ輪紋病(IYSV)
▽同8日 埼玉県で茶を対象にヒサカキワタフキコナジラミ
▽同15日 静岡県でトマトとナスを対象にタバコノミハムシ
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