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【熊野孝文・米マーケット情報】日本人は美味しいコメを食べられなくなるという戦略的輸出事業者2019年10月23日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 農水省が来月から12月にかけて令和2年産米の輸出推進マッチングイベントを全国5カ所で開催する。開催場所と開催日は、金沢市11月26日、仙台市12月3日、岡山市12月5日、京都市12月6日、さいたま市12月11日。

 商業用のコメ輸出実績は2014年には4516tであったが、毎年増え続け2017年には1万1841tと初めて1万tを超え、昨年は1万3794tになり、今年に入ってから1月から8月まで1万491tになっている。この数字だけ見ると順調に推移しているようにも見えるが、目標は10万t(清酒・米菓含む)という高い数字を掲げているため現状はまだ走り始めたばかりと言ったところ。目標達成のための国の支援策として平成30年度第2次補正予算で56億6900万円を計上した。
 対策のポイントは「TPP・EU等の国・地域におけるJFOODO(日本食品海外プロモーションセンター)によるプロモーション、ジェトロによる海外見本市への出展支援等早期の成果が見込める分野・テーマ別の販促活動強化とともに、コメ・コメ加工品の海外市場開拓、外食産業等と連携した需要拡大対策等を支援します」と記されている。
 事業内容は(1)輸出増加に向けた販売促進や需要創出の強化(43億円)(2)コメ海外市場拡大戦略プロジェクト推進支援(7億5000万円)(3)訪日外国人の経験を活用した輸出促進(4億1800万円)(4)外食産業等と連携した需要拡大対策等の支援(2億円)。
 コメ海外市場拡大戦略プロジェクト推進支援は、〇戦略的輸出事業者が行う市場開拓等の推進〇日本産コメ・コメ加工品のプロモーション活動の強化(中国向け集中プロモーションや日本酒・米菓・米粉・包装米飯等の重点的なPR)〇新たなビジネスモデルの構築等の実証的取組み支援を上げている。
 戦略的輸出事業者とは「コメ輸出に戦略的に取り組む事業者」のことで農水省が特定する。
 具体的には大手卸や輸出商社、パックご飯メーカーなどで、今年8月末時点で70社が名乗りを上げており、それぞれ輸出目標数量を掲げ、全部合わせると14万tになる。戦略的輸出事業者の中には、輸出コストを低減するために大手宅配会社と組んで、現地に一括してコメ加工品を運び、現地の宅配会社支店が直接消費者に届けるという手法を取り入れているところもある。この会社は世界各国の日本人駐在員向けに日本食材を届けるビジネスを始めたIT企業とも提携、事前に必要なコメ・コメ加工食品の発注を受けて輸出するという仕組みも取り入れているため確実に販路が築ける。また輸出するコメ加工食品もバラエティーに富んでおり、商品の切り口も「グルテンフリー」で、グルテンフリーの米粉麺をアメリカのラーメン店に売り込んでいる模様がジェトロのホームページの動画で紹介されている。さらには単にグルテンフリーのコメ加工食品を作るだけではなく、アレルゲンを含まない具材も製造していることから大手食酢メーカーと共同して新しい輸出向けコメ加工食品の製造も開始する。
 こうした付加価値のあるコメ加工食品を製造できる事業者だけでなく、戦略的輸出事業者に名乗りを上げているところでは、米穀小売店もある。町の米屋さんが輸出? という思いで、都内にある米穀小売店の経営者に会って話を聞いてみた。コメの輸出については懐疑的であったが、話を聞き終わってまさしく括目した。
 この米穀小売店がコメの輸出を手掛けたのは今から5年前だが、輸出している精米は全てブレンド米である。ブレンド米と聞くと安いコメと言うイメージを抱くが、この小売店のブレンド米はそうではない。店主自らがその年に生産されたコメのうち最高のコメを自らの目と舌で確かめて、その産地・銘柄をブレンドする。そのブレンド米を海外の高級食品スーパーに置き、自らその店舗で炊飯してご飯を試食提供する。日本人にとって炊飯は当たり前の作業だが、外国人にコメの美味しさを伝える第一歩は炊飯を調理の一つだという事を分からせることが大切で、その際、その店舗に来る人種も見極める。なぜなら人種によって好みが変わるからで、ブレンド比率のみならず、その地区の水も見極めて炊飯する。
 そのために搗精する際に精米圧力を自在に変えられる精米機を使用している。その精米機は60年以上前に作られたもので、店主は古式精米法と言っている。現地での販売価格は現地米に比べ6倍もする。店主が取材の終わりに「本当に美味しいコメは海外に行って、日本人は食べられなくなるでしょうね」と真顔で喋ったのにはさすがに驚いた。

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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