【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
愛知県農業総合試験場は、水稲の水田およびその周辺に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ(Alternanthera philoxeroides)を尾張地域で確認。これを受けて、6月12日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
愛知県農業総合試験場によると、5月下旬に県内の水田畦畔でナガエツルノゲイトウと疑われる雑草の発生が確認された。農業総合試験場で、周辺の水田内や水田畦畔、水路等で発生している疑わしい草を調査したところ、ナガエツルノゲイトウと同定した(写真1~5)。
日本では平成元年に兵庫県で初めて見つかり、令和6年時点で26都府県(水田への侵入が確認されているのは14府県)に侵入・定着の報告がある。
同種は南米原産のヒユ科の多年生雑草。開花期は4~10月だが、国内で発生している系統は種子をつけず、節を含む切断茎や根の断片からの栄養繁殖により増殖する。茎の再生力が強く、1cm以上の断片から容易に発根して増殖。茎はちぎれやすく、水に浮き、断片が用水や河川を介して運ばれるため拡散しやすい。また、水陸両生で、水田だけでなく畦畔や畑地にも侵入する。
気温が4℃以下で生育が止まり、霜が数回あたると地上部は枯れるが、地中深くまで下した根は、氷点下以下の冬の寒さにも耐え越冬する。
形態的特徴として葉は節から1対つき、長さは2.5~5cm、幅は0.7~2cmで、先端がややとがる。花は小さな花が集まった球状で、葉の脇から1~4cmの花柄を伸ばして発生する。茎は空洞(ストロー状)で、節に短い毛が生え、表面はなめらかである(図)。
被害としては、水田で同種が繁殖すると、作物との競合による収穫量の減少や農業機械の作業性の低下(コンバインの刈取り効率の低下、詰まりの原因など)をもたらす。水稲が登熟期に台風などで倒伏し、その上に覆い被さるように本種が繁茂するとコンバイン収穫が困難になる。また、水路で増殖すると、水路を塞ぎ、取水・排水の障害になることがある。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
◎水田(水稲)における防除対策
(1)同種の発生が確認されている水田畦畔では、刈払い(機械除草)による茎断片の拡散を防止するため、除草剤中心の管理を行う(表1)。
(2)発生が確認された水田(移植水稲の本田防除)では、生育に応じて有効成分にピラクロニルまたはフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤で防除する(表2)。
(3)イネ収穫後の水田(水田刈跡)におけるナガエツルノゲイトウ再生個体に対しては、非選択性茎葉処理型除草剤(ラウンドアップマックスロードなど)で防除する。
(4)除草剤中心の管理においては、除草剤の使用前にラベルの表示(登録内容や使用上の注意事項など)を確認する。特に成分ごとの総使用回数に注意する。
(5)農機具に付着した本種を含む土等から拡がる恐れがあるため、同種の発生していないほ場から作業を開始する。また、同種の発生しているほ場での作業後は、他のほ場へ移動する前に農機具(ロータリー等)の土(草)をしっかり落とす。
(6)農研機構「水田におけるナガエツルノゲイトウ防除マニュアル」に防除体系等が紹介されているため参考とする。
◎水路等における対策について
対策については「ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル」を参照。
◎同種への対応にかかる注意点
同種は外来生物法の特定外来生物に指定されており、拡散を防ぐため、栽培、保管、運搬、野外への放出・植栽が禁止されている。また、駆除を実施する際に手続き等が必要になる場合があるため注意が必要。
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