大・中型コンバインに直進アシスト機能の新型機 鳥獣害対策ドローンも紹介 井関農機2025年12月12日
井関農機は12月11日、2026年度上期新製品発表会を開催した。大規模農家向けの大型コンバインや、直進アシスト仕様を追加した中型コンバインの新製品を発表した。特に、直進アシスト機能は需要が高まっており、対応機種を広げる。また、非農業分野の草刈り市場の拡大に対応し、国内向けの新製品や欧州向けのモデルチェンジも行う。鳥獣害対策にも力を入れ、NTTe-Drone Technology(NTTイードローン)との取り組みも紹介した。
井関農機は構造改革と成長戦略を並行して進めており、とりわけ大規模農家向けの取り組みに力を入れている。この間、「大型農機の販売が伸びている。中小農家も(米価の上昇もあって)ようやく農機を買えるようになり、中小型農機も伸びている」と冨安司郎社長は述べた。今後の国内での成長戦略としては、①価値ある農業ソリューションの提供、②成長分野(大型・先端・環境・畑作)への集中を掲げる。
コンバイン新型機「HJ6135」
こうした方針に沿い、プロ農家向けフラッグシップ「JAPAN」シリーズでは、コンバイン「HJシリーズ」の新型機「HJ6135」「HJ7135」をプレ発表した。発売は2026年12月の予定で、希望小売価格は2341万9000~2607万円(税込)。静音性や保温冷庫などで居住性を高め、ハイパワーエンジンや自動操舵直進アシスト機能(Z型)を7条刈機にも搭載した。湿材制御などによって生産性向上を図り、手こぎ安全装置なども備える。シリーズのロゴデザインも刷新した。
中型コンバイン(4条刈・5条刈)の「FMシリーズ」にも、直進アシスト機構を搭載した新型機「FM575」「FM475」「FM468」を加える。3つのモード(「条・横」「往復」「一方向」)を装備し、緊急時には手動運転に切り替わる緊急回避機能も搭載する。発売は2026年11月で、希望小売価格は1410万3100~1699万2800円(税込)。
直進アシスト機構を搭載した「FM575」
このほか、使いやすさと安全性を高めた2条・3条刈小型コンバイン「FKシリーズ」、プロ農家向け一輪管理機で操作性と安全性を向上させた「KSX3シリーズ」、歩行型全自動野菜移植機「PVZ100シリーズ」ではスイートコーンとキャベツ兼用機、さらに乗用全自動野菜移植機「PVDR200シリーズ」なども発表した。
草刈り市場拡大へ
同社は国内で拡大を続ける草刈り市場に向けた新製品投入を強化している。これまで欧州向けに展開してきた実績ある商品群を国内市場にも投入し、ラインアップの拡充とともに電動化・ロボット化を進めることで、非農業分野の草刈り関連事業の売上高100億円を目指している。
今回、新たに投入する乗用モーア「SGX216」は集草機能を備えたモデルで、高い基本性能とコンパクトでシンプルな構造が特徴だ。草刈り専用機として位置づけ、既存の乗用モーアやコンパクトトラクタ、電動乗用モーア「EGO ZT4200」に続く第2弾として、発売は2026年3月を予定している。
一方、欧州向けの電動乗用モーア「SGX216」は「SGX216-7」にモデルチェンジする。連続作業時間が延長され、走行音の低減など快適性を高めた仕様となった。
レーザーで鳥獣害対策
NTTイードローンは2024年に井関農機との取り引き開始を発表し、農薬散布用ドローンを提供している。今回は、国内で初めてレーザーによる忌避行動を促す、鳥獣害対策ドローン「BB(バード&ビースト)102」(10月1日提供開始)を実演を交えて紹介した。
鳥獣害対策ドローン「BB102」
上空から赤と緑の「クルナレーザー」をランダムに照射し、鳥獣に強い違和感を与えて退避を促進する。地上設置型では対応が難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を可能にした。「ザルビオフィールドマネージャー」など可変施肥マップとの連携による自動航行も可能で、広範囲を効率的に対策できる。
神奈川県内の養鶏場で1月に実施した実証では、80羽確認されていたカラスに対して8日間、定期的にレーザーを照射した結果、2月には1羽も確認されなかった。これまでに15自治体から問い合わせがあり、NTTイードローンには「国内だけでなく海外からも引き合いがある」と滝澤正宏社長は述べた。
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