農機の生産性向上で新製品や実証実験 「ザルビオ」マップと連携 井関農機とJA全農2025年12月16日
井関農機は12月11日に開いた2026年度上期新製品発表会で、農業の生産性向上に向けた新製品と、JA全農との取り組みを紹介した。新製品では、BASFジャパンがJA全農と共同で推進している栽培管理支援システム「ザルビオフィールドマネージャー(ザルビオ)」のマップ連動防除とオートスライドブームに対応可能な乗用管理機「JKZ23CY」用防除機オプション製品を紹介した。また、田植え機を活用した可変施肥(追肥)、自脱型コンバインを活用した再生二期作の実証試験についても紹介した。実証実験により課題も明確になったことから、両者は今後も継続する方針だ。
乗用管理機「JKZ23CY」用防除機オプションの実演
JA全農は、「ザルビオ」の登録者が2万人、ほ場は24万haへと広がっている状況から、同システムで作成したマップに連動した散布により、農薬散布量を自動的に調整する防除機(オプション)の開発を井関農機に依頼し、実証実験を経て発売する。井関農機が開発した「オートスライドブーム」にも対応し、既に散布した領域を判定し、散布漏れや重複散布が生じないよう、約30cm幅でスライドブームを自動伸縮制御する。農薬散布マップを読み込むことで、ほ場区画に応じた自動伸縮制御も可能だ。
実証実験は「ザルビオ」上で、ほ場別に衛星画像から作物の繁茂量に応じた5段階のゾーンを生成し、使用農薬ごとに希釈倍率とゾーン別の散布量を設定。乗用管理機では作業・機械管理システム「ISEKIアグリサポート」と「リードアイ」からマップデータを読み込み、端末(タブレットなど)と管理機をBluetoothで通信させることで、生育ゾーン別に自動で可変防除作業を行った。生育に応じた適正な農薬量を散布するため、従来の均一散布に比べて7%程度の農薬使用量の低減効果があったとしている。
発売は2026年2月の予定で、小売価格は未定。「みどり投資促進税制」の適用対象機として申請予定だ。
両者はまた、「ザルビオ」による可変施肥仕様の田植え機を使った追肥の実用性試験も行った。JA全農の「2030年までにプラスチックに頼らない施肥」に向けたコーティング肥料削減に不可欠な追肥における作業、特に夏場の作業負担軽減を目的とした。
JA全農の埼玉県幸手市のほ場で、5月7~8日に移植、7月1日に追肥、8月に収穫を実施した。供試材料は「彩のきずな」(3葉齢移植)を50株植え付けた。結果からは、生育ムラや葉面積指数(LAI)が改善することがわかったが、追肥作業時に水稲が踏み倒された枕地では雑草が発生。作業能率も悪かったため、JA全農は「散布幅を広げる」などの対策が必要としている。
再生二期作では、農研機構などが汎用コンバインを使う事例を紹介している。しかし、同機種は高額なため、すでに広く普及している自脱型コンバインでの可能性を探った。
同じ幸手市のほ場で、早生の業務用多収品種「ZR-1」を供試材料に用い、移植は4月29日、収穫は1回目を8月20日、2回目を11月6日に行った。二期作の1回目の収穫は高刈りが必要とされており、1回目の収穫は高刈り(30cm)、2回目は通常の刈り高で作業を行った。合計収量で1反あたり約3俵増加したが、2期作目は青米が多く、今回は規格外となった。ただし、整粒は乳白がなく、きれいとの評価だったことから、次回は「田植えの時期を早めて再度、実証実験を行う」(JA全農)としている。
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