【JCA週報】子育て世代の農業経営者-農業で未来をつくる女性たち2020年5月11日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹 JA全中代表理事会長、副会長 本田英一 日本生協連代表理事会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「子育て世代の農業経営者-農業で未来をつくる女性たち」です。
JCAが発行している書籍「JCA研究ブックレット」No.28を紹介します。
JCA研究ブックレットNo.28
『子育て世代の農業経営者-農業で未来をつくる女性たち』
著者:和泉真理 筑波書房(本体750円+税)
「農家女性」「農村女性」という言葉の持つ従来のイメージとは異なり、農業に携わる女性像は大きく変化しています。本書では、農業法人の経営者・共同経営者である若い(40代までの)女性6人を取り上げました。彼女達は、農業という職業を自ら選び、農業と子育てを両立させつつ、商品開発や販路の開拓、次世代の人材育成、都市農村交流などに取り組んでいます。そこからは農業者の男女の違いを超えた、多様性に富む新しい農業の姿が見えてきています。
「出発点と視点」
「農家女性」「農村女性」という用語を使わないでほしい。次世代の農業の担い手の確保という視点から女性を取り上げたいと知り合いの40歳前後の女性農業者数人に相談したら、冒頭にこう言われました。この用語から湧き上がる旧来のステレオタイプの女性像、「苦労している農家の嫁」「閉鎖的な農村」などのイメージが嫌なのだそうです。かくいう彼女達は、実家が農家の人も都会から農村・農業に飛び込んできた人もいます。作っている作目も経営の規模もまちまちです。しかし、彼女達は農業という仕事を自ら選び、自分のやりたいことを農業という舞台で達成すべく日々過ごしています。皆一様に子育てに忙しい年頃であり、農業と家事と子育てとに追われているのですが、それも含めて自分で生き方をしっかりと語る姿は、確かにこれまでの「農家女性」のイメージとは異なります。
実際に何人からの女性農業者を訪れると、「農家女性の課題」という言葉から想像される「農家の中の女性の立場」「農村社会での女性の立場」「農村女性による起業・農業の六次産業化」といった切り口にも変化を感じました。農業者数の減少、耕作放棄地の増大、輸入農産物の増大など暗い話題の多い日本の農業ですが、その中で、女性のみならず、農業・農家全体として従来にない色々な活動を行う余地が見られ、実際にユニークな経営を行う若い農業者が各地で見られます。その中で女性も、農業という職業を自ら選び、農業を通じて自己表現をしようとし、従来の経営を積極的に変えていこうとしているようです。農業に携わる女性像は大きく変化しています。
(略)
若い新規参入者には様々な支援が行われ、スポットライトも浴びていますが、最大の新規就農者グループとも言える女性はその対象の外にあるということです。
でも、冒頭に紹介した、若い女性農業者達は、実際に農業を職業として選択し、子育てをしながら、農業を通じて様々な自己表現をしようとしています。都市出身者であえて農業を選んだ人もいるし、皆農村で子育てと農業というキャリアの両立をさせている女性ばかりです。彼女達が感じる「魅力的な仕事としての農業」とは何なのか、女性が経営に関わると経営の実績がより高いのは何故なのか、「農家女性」「農村女性」と呼ばれたくない彼女達は、どの様な新しい女性像を持っているのか。
農業に取り組む女性は、年代、働き方、経営内での立場など実にさまざまです。本書では、その中で、次世代の農業の担い手である女性という視点で、農業法人の経営者あるいは共同経営者として経営に関わっている若い女性農業者(40代まで)に調査対象を絞って、6人の女性に話を聞きました。彼女達が、どうして農業という仕事を選んだのか、どのように農業に関わり、将来に向けて何をしようとしているのかを聞いてみました。調査対象を絞ったつもりでしたが、それぞれの語る中身は極めて多様で、そこからは、女性という枠組みにとらわれない、農業の持つ多様な価値、新しい時代の農業の姿が体現されていると思いました。新しい女性農業者像、新しい時代の農業の姿が体現されていると思いました。新しい女性農業者像、新しい農業像を感じていただければと思います。
以降の内容については、出版物をご覧ください。
https://www.japan.coop/wp/publication/7595
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