こども食堂に届いた千葉県産コシヒカリ250キロ【熊野孝文・米マーケット情報】2020年12月15日
12月12日、千葉県流山市にあるNPO法人とうかつ草の根フードバンクに5キロの精米袋に入った千葉県産コシヒカリ250キロが届けられた。このコメは東葛地区に点在する55ヵ所のこども食堂に届けられるほか、小分けして生活困窮者の家庭にも届けられることになっている。この精米を寄付したのは米穀小売店の全国団体日本米穀商連合会の理事長を務める㈲山崎清八商店の山崎政治会長。
こども食堂に提供される千葉県産コシヒカリ
午前10時半、流山線の鰭ヶ崎(ひれがさき)駅近くにあるとうかつ草の根フードバンクにワゴン車に積まれた精米が運ばれて来て、フードバンクの梅澤一雄代表や流山市議会議員らがボランティアで参加、荷卸しを手伝った。
代表の梅澤さんは地元の野菜作り農家で、余った野菜をこども食堂に提供しているうちに生活困窮家庭が数多く存在することを知り(流山市だけでも800世帯)、企業や生産者から食材を寄付してもらい各家庭に届ける活動を始め、NPO法人を昨年11月に立ち上げ、自宅の農機具倉庫を配送所に改装、そこに寄付された食料品を集め、小分けして各家庭に届ける活動を始めた。カスミストア、IKEA、生協、JALなど企業からは食品だけでなく洗剤等も寄付されている。東葛地区には55ヵ所にこども食堂があり、コメの場合、5キロ精米袋をそのまま運べば良いが、各家庭に配送する作業(フードパントリー)は1キロずつ小分けして果物や缶詰などと混載して配送する。ボランティアで参加していた女性がスマホでその模様を見せてくれたが、食材はその料理メニューに合うようなものを詰め合わせるとのことで、食材宅配会社の料理詰め合わせセットのようなことまで行っている。
倉庫内を見回ると様々な食品以外に別棟に玄米だけを保管する場所もあった。ここにはコメの生産者から寄付された玄米が4トンも積まれていた。倉庫内に年代物の精米機が置かれ、梅澤さんは精米まで行うという。梅澤さんによるとコロナ禍でパートを解雇された女性も多く、母子家庭で生活に困窮する家庭が増えているとのことで、こうした家庭にコメを届けると大変喜ばれる。なぜなら一番は子供たちがご飯食を喜ぶという事とコメが届いた分一食分のおかずを買うことが出来るためだという。
精米を寄付した山崎会長は精米目録を梅澤さんに手渡し、その場でメディア関係者のために日米連の取組みについて説明した。日米連はこども食堂お米募金と言う活動を行っており、傘下組合員がその活動に賛同し、そのロゴが入ったシールを張った精米を販売すると1枚に付き10円が寄付される仕組みで、2020年度の実績は88事業者が参加、5万1000枚の募金付きシールを提供、60万円の募金が集まった。この日提供された精米もこの募金と流山米穀小売商組合の協力で実現したもの。コロナ禍で活動を見合わせたこども食堂もあったが、それでも全国120ヵ所に寄付することが出来たという。提供されたコメは地元流山で生産されたコシヒカリ新米。
こども食堂へのコメ提供については、農水省が学校給食用政府備蓄米売却要領を改正しこども食堂向けにも政府備蓄米を無償で提供できるようにした。ただ、申請手続きが面倒なことに加え、一定のしばりがあり、評判が芳しくない。もっと使い勝手が良いように国がお米券を100万枚購入してこども食堂や生活困窮家庭に無償で配布する事業を始めてはどうか。コメ券は1枚500円で100万枚買っても5億円で済む。政府備蓄米は毎年エサ用に売却するために500億円もの税金をつぎ込んでいるのだからそれに比べれば5億円を使ってコメを無償で提供するというのは何百倍も価値がある。
お米券の販売元の一つである全米販は要領を改正し、精米・玄米との引換えを原則としていたが、引換え対象商品を包装餅やパックご飯、冷凍米飯、米飯を使用した弁当・惣菜類などコメ関連商品との引換えにも幅広く使用できるようにした。これであれば母親が仕事で忙しくて食事を作れなくてもお米券で弁当を購入して子供に提供できる。全米販のお米券はピーク時には1700万枚出ていたが、現在は600万枚程度に留まっている。そこに新たに100万枚のお米券の需要が発生したらどうなるか? コメの需要が増えて流通業者や生産者にとってもプラスになる。
コメの消費が減退している最大の原因は低所得者のコメ購入金額が減少しているためで、コメ券を無償配布することが最も有効な需要喚起策である。農水省の職員が近くとうかつ草の根フードバンクを訪れる予定だが、その時にこうしたプランも示してもらいたいものである。
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