【JCA週報】コロナ禍後の社会と協同組合2021年10月18日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「コロナ禍後の社会と協同組合」です。
協同組合研究誌「にじ」2021年秋号に執筆いただいた明治大学 中川 雄一郎 名誉教授の論考を紹介します。
協同組合研究誌「にじ」2021年秋号 特集「非常事態と協同組合」
コロナ禍後の社会と協同組合 中川 雄一郎 明治大学名誉教授
I.私たちは今、「新型コロナウイルス」がもたらす感染症に最大限の注意と関心を払って生活し、労働している。実際、世界保健機関(WHO)は、2020年2月12日にCOVID-19と名づけたこの感染症を(世界的規模で同時流行する)パンデミックであると、世界に告げ知らせた。そして2021年8月5日付朝日新聞は、世界の感染者と死者を合わせて約2億381万人(内コロナウイルス死者数424万6,296人)であると報道している(ジョンズ・ホプキンス大学集計/4日午後5時現在〈世界の新型コロナ感染者〉による)。この感染者・死亡者の数は、新型コロナウイルスの広がりの脅威を一層身近に感じさせる。例えば、COVID-19 の感染範囲はアジア、東西ヨーロッパ、北欧4カ国、北アメリカ、中南米諸国、それにアフリカ諸国とほぼ地球全体に及んでいるのである。しかも日本では2021年に入ると徐々にコロナ感染が広がっていったにもかかわらず、オリンピックを無理矢理開始させたことも手伝って、8月初旬には感染拡大が予想をはるかに上回ってしまった(日本の新型コロナウイルス感染者〔日本国内の確認95万7,180人・ 死者1万5,220人〕2021年8月4日付朝日新聞報道)。変異したCOVID-19が日本をはじめ他の多くの国々に蔓延しつつあるにもかかわらず、オリンピックを開催したのは異常だと言わざるを得ないだろう。
周知のように、日本における新型コロナウイルス禍は、この間、医療従事者をはじめとする多くの人たちに社会的、経済的、したがってまた政治的な諸問題をもたらすようになった。ある人たちは「生きることの尊厳」を優先する意思を再確認しながら生活してきたにもかかわらず、「市民同士の間にあってこそ享受される安心感」が希薄になっていくような意識に苛まれる、とのことを私は聞いたことがある。
そこで私は、この間の市民の真意を?き乱す原因について考えてみたのであるが、結局それは、市民の多数が「不可」と判断しているコロナ禍対策を十分に吟味することなく提示したり、また引っ込めたりする安晋三政権やそれを引き継いだ菅義偉政権の政治的怠惰性にあることに行き着いた。そして私はさらに、彼らの政権の怠惰性を証明してくれる直接間接の政治的実体を時系列的に追っていくうちに、ドイツの哲学者G.W.F.ヘーゲルの言葉「真なるものは自らを展開していく動的なものである」に行き着いた。そこでさらにこの言葉を私たちが見てきた安倍政権や菅政権の怠惰性に当て嵌めてみると、ヘーゲルの「自己意識」とは相容れない、彼らの「区別も運動もない単純性」に私は気づいた。
※ 以下全文は、JCAウェブサイトにて公開しております。
協同組合研究誌「にじ」 2021秋号より
https://www.japan.coop/wp/publication/10090
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