【第63回全国家の光大会特集】対話でつくろう地域の未来 みんなでつなごう協同のこころ2022年3月23日
(一社)家の光協会は3月7日、第63回全国家の光大会を開催し、体験発表などを行った。記事活用の部と普及・文化活動の部の最優秀賞の発表の概要を紹介する。
家の光文化賞 受賞組合
今大会のスローガンは「対話でつくろう地域の未来 みんなでつなごう協同のこころ」。主催者あいさつで長谷川浩敏副会長は、第29回JA全国大会決議の実践について「土台となるのが対話運動を通じた不断の自己改革の取り組みだ」として、家の光協会の各媒体で自己改革や協同組合の理念を分かりやすく解説し、組合員の組織活動の活性化と対話運動の強化に貢献するとともに「教育文化活動の活性化の一翼を担っていく」と話した。
長谷川浩敏副会長
来賓の中家徹JA全中会長は家の光協会の事業に対して、「教育文化活動を通じたアクティブメンバーシップの拡大」とともに「食と農の大切さ、JAと協同組合の役割、国消国産について国民理解醸成に向けて尽力を」と期待を寄せた。
大会では「家の光文化賞」受賞組合の表彰式が行われた。
家の光文化賞は昭和24(1949)年制定。教育文化活動の取り組みが創意工夫に富み、家の光事業がJAの事業・活動のなかに明確に位置づけられ成果を上げているJAを顕彰するものでこれまでに延べ285JAを顕彰してきた。
令和3(2021)年度(第72回)は▽鳥取県・鳥取いなば農業協同組合(影井克博代表理事組合長)(写真・左)▽福岡県・南筑後農業協同組合(吉田昭代表理事組合長)(写真・右)。
また、第71回家の光文化賞は大阪府・大阪中河内農業協同組合が受賞し、廣川清温代表理事組合長から動画メッセージが寄せられた。令和2年度「家の光文化賞促進賞」は熊本県・八代地域農業協同組合(山住昭二代表理事組合長)が受賞した。同賞は、教育文化活動をJAの事業・活動のなかで総合的に取り組むべき活動として位置づけ、家の光文化賞にチャレンジするJAの育成を目的に設置された。
【記事活用の部】志村源太郎記念賞
「光(みっ)ちゃんの自己改革」
宮城県・内海光子さん(JA加美よつば)
平成8(1996)年に水稲栽培から野菜苗、花苗の生産、販売に切り替え庭先販売を開始。栽培方法や病害虫防除の相談に正しく応えるため品種や作業に詳しい『家の光』が参考書となった。
数年前の『家の光』にはJA自己改革という言葉が毎月のように登場したが、2019年1月号で湯浅誠さんが、誰もが集まれる場所づくりやみんなが担い手になることが理想と話す記事があった。
これこそが地域につながる自己改革と考え、自分がすべき自己改革を三つ挙げた。
一つは地区の女性部の自己改革。唯一のミニデイサービス活動は高齢化による部員の減少で年々衰退していた。地区部長を務めた一昨年、地区部長会議で目的別活動を提案されたことをきっかけに、「まずは集まろう」をテーマに年間計画を立てた。「光ちゃんの栽培講習を聞きたい」という声をもとに夏と秋に野菜づくりとガーデニング、冬には『家の光』のおせち料理レシピから一品持ち寄りの忘年会も開いた。
二つ目は産直組織「かあちゃんの会」の自己改革。目的別活動の1つとしてAコープのインショップとしてスタート。しかし、結成から20年、高齢化や後継者不足など問題は山積。新年会の参加者も減ってきた。そこでみんなに楽しんでもらおうと考えたのが『家の光』付録の「いきいき脳トレブック」の活用で、野菜ビンゴゲームや合唱を行い、参加者からは大好評、会の活性化にもつながった。端境期の出荷量を維持するために『家の光』の「農ライフのすすめ」を活用し、次の作付け作業のヒントを会員に発信。会員は40人ほどになったが、若い女性も会員となるなど、売り上げは少しずつ伸びている。
三つ目は自分自身の自己改革。70歳を迎えた昨年、今までの経験を次世代につなげていくことが第2の人生だと考え、野菜栽培講師の資格を取得した。目標は自宅で栽培講習会を定期的に開くこと。若い人たちに作る喜びと食べる喜びを伝えていくことがこれからの私の自己改革。コロナ禍や少子高齢化に負けず地域を盛り上げていきたい。
【普及・文化活動の部】JA全中会長賞
「『家の光』と母さんたちと歩みを進めて」
秋田県・北林綾子さん(JA秋田やまもと)
女性部の活動について楽しい活動だけでなく、今後はJA運営に参画する女性が必要だとの考えから女性大学で総代向けの勉強会やJA事業を学ぶ場を設けた。総代会資料の読み方が掲載された『地上』を活用したり、女性部役員、女性理事、JA職員の力を借りながら座談会でも女性参画の重要性を根気強く訴え、この3年で女性50人が正組合員となった。女性総代も全総代の1割を占めるまでになった。
女性部員の発案で親子JA探検ツアーやそら豆の収穫体験などJAを消費者に知ってもらう取り組みを実施するなど女性部活動が活発なったが、コロナ禍で活動休止を余儀なくされた。
部員からも「活動できないなら女性部に入っている意味があるのか」「JAが遠くに感じられる」との声があり、女性部役員による『家の光』の普及推進に取り組むことにした。
女性部役員と職員で部員宅を訪問し、推進だけでなく秋から活動を再開する予定などを伝える会話で「久しぶりに読んでみようか」など好意的な声も。2日半で102軒を回り66軒で成約した。
女性大学も、集まれないなら出向こう、と各支部に出張し全6回開催した。
今年度も『家の光』の推進のため再度訪問活動を実施。推進員の女性部役員は女性大学で実施した読書会を参考に『家の光』の読みどころを解説すると好評で、昨年から購読した部員のほとんどは継続して購読する結果になった。
これまでは職員普及が中心で毎年一定数の減部となっていた。しかし、女性部普及によりコロナ禍でも増部することができ、今年度から『家の光』の普及は女性部の活動計画のひとつとなった。
JAに人が集いたくなるような企画を女性部員と話し合い、毎月15日には本支店で来店者にコーヒーをふるまうコーヒーサロンの活動を始めた。来店者からは「ほっと一息つける」との声も聞かれた。集いたくなるJAを作るため女性部の母さんたちと歩みを進めている。
【審査委員会特別賞】
「仲間とつながり、地域とつながる私たちの活動」
和歌山県・竹山誠一さん(JAわかやま)
40年のサラリーマン生活の後、現在、JAわかやまの男性組織「やろう会」の会長をしている。きっかけはJAが主催した男性料理教室への応募。家の光講師の指導する料理を通じ地域農業の現状と、地域農産物への理解を深める学習も行い、新たな仲間ができて会を結成した。
地域とどう関わるを考えたときに、高知県のJA男性組織の赤い褌(ふんどし)隊のことを知り意見交換。多彩な活動に隊員が生き生きと活動していることに感動しメンバーと話し合い地域に貢献する食農活動をテーマに「食農応援隊やろう会」として再スタート。
教科書となったのが『やさい畑』と『ちゃぐりん』。子どもたちに食べ物に関心をもってもらうことを目的に耕作放棄地でのトウモロコシ栽培に取り組んだ。大雨や害虫被害を乗り越え無事に収穫を迎えた。
120人の参加がありメンバーもやりがいを感じ、女性大学とのコラボで冬野菜の植え付けや収穫、冬には餅つき大会を開催した。小学校での野菜栽培指導巡回も担っている。収穫の喜びを子どもたちに伝える活動を市内小学校など54カ所に巡回している。
地域のなかで活動が広がってきた。メンバーは平均70歳。新たなメンバーも増えて14人が20人となった。元営業マン、電気工事士、元JA職員などさまざまで人の数だけ熟練された技能を持っている。高齢化、人口減少時代で地域社会は厳しい状況だが、人生100年時代にできることはたくさんある。仲間とつながり地域とつながり、和歌山で活動を展開していく。
◇ ◇
そのほかの家の光全国大会出場者(家の光協会会長特別賞)は以下のとおり。
【記事活用の部】
▽「かあちゃんのもったいない精神で"活用の輪"を広げて」秋田県 JA秋田やまもと 伊藤ユウ子
▽「『家の光』は私の光 私、変わります。」愛知県JA愛知東 田中純子
▽「『家の光』と共に生きて」愛媛県 JA周桑 森川むつ子
▽『家の光』の童話がもたらす幸せな時間 長崎県 JAながさき西海蜜山てる子
【普及・文化活動の部】
▽「わたしのセブンルール」京都府 JA京都やましろ 奥田泰美
▽「新しいことへのチャレンジ」佐賀県 JAからつ 江里幸子
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