組合員との対話を深めて組織基盤の強化を JA組合員大学全国ネットワーク研究会開く JA全中2025年2月20日
JA全中は2月5日、東京・飯田橋レインボービルで「令和6年度JA組合員大学全国ネットワーク研究会」を開催した。JAや県中央会の職員が集い、JA組合員大学の役割や企画運営のポイントを講演や事例報告、グループワークを通じて議論した。
研究会はJA組合員大学の充実と普及のため、先進事例の共有と企画運営の課題解決を目的に開いた。全国のJAでは組織基盤を支える次世代組合員リーダー育成が広がりを見せ、取り組みも多様化している。そのため、全国の取り組みを共有する学びの機会を提供することが期待されている。
冒頭でJA全中教育部の田村政司部長が「組合員大学は次世代リーダー育成にとって重要な場。JA間のネットワークを強化することで役割をさらに高めていける」と強調した。組合員大学の重要性が浸透し「組合員と職員が相互に成長することが組合教育の本質。単なる学びの場ではなく組織基盤強化に直結する」とし、今後は「数の拡大」ではなく「質の向上」に重点を置く方針を示した。
日本協同組合連携機構 阿高あや基礎研究部主任研究員(写真提供:日本農民新聞社)
日本協同組合連携機構(JCA)基礎研究部の阿高あや主任研究員は「JA組合員大学の目指すもの」と題して講演を行った。第30回JA全国大会決議の「組織基盤強化戦略(JA仲間づくり戦略)」で「組合員の学びの場の提供・リーダー育成」が重視されていることを紹介。組合員大学などを通じた次世代リーダー育成と仲間づくりでは「組合員との対話を深めることがJAの基盤強化につながる」とし、JAはだの(対話型学習)、JA松本ハイランド(長期的リーダー育成)、JA静岡市(実践的組合運営教育)の事例を紹介。「多様な学びの場の提供が組織の持続的な発展に不可欠」であることを解説した。
JA東びわこ 岡田保子企画総務部くらしの活動課課長
2つのJAが組合員大学の取り組みを紹介した。JA東びわこ企画総務部くらしの活動課課長岡田保子氏は、若手組合員の育成を目的に、1年目は基礎コース、2年目以降はリーダー育成を強化する仕組みを構築していると説明。今後、修了生のフォローアップや組織運営への積極的関与を促進する仕組みの必要性を強調した。
JA東京中央 吉田知弘組織広報室室長代理
JA東京中央の吉田知弘組織広報室室長代理は「JAカレッジ」で協同組合の理念を基盤に、組合員が組織運営に積極的に関わるための学習プログラムを実施し「学びを通じて組合員のリーダーシップを育成することが重要だ」とした。「民主的運営を支えるリーダー育成」を目的にグループワークやディスカッションを積極的に取り入れ、1期生から女性支部長が誕生するなど成果も出ているが「参加者の意欲向上などが課題」だと述べた。
家の光協会の普及文化本部の久保野剛氏は「企画運営のポイント」を情報提供した。組合員大学の設立と運営で組合員の主体性を引き出し、学び合いを通じて「組合員力」を高めることが重要と各地の先進事例を紹介。組合員大学の持続的な発展に向けた具体策を提示した。
後半は阿高JCA研究員をファシリテーターに、グループワークとして「学びがあるカリキュラムの工夫」と「修了後のJAとの関わり方の維持」のに分かれて議論を行い、JAや県域で活用できる具体的な手法を共有した。
日本協同組合連携機構 西井賢悟基礎研究部主席研究員
最後にJCAの西井賢悟基礎研究部主席研究員が組合員大学の持続的発展の重要性について講演した。「組合員大学は単なる知識の伝達にとどまらず、受講生の心に働きかけ、共感を生むことにある」と、協同組合の第5原則である教育の重要性を強調した。
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