【注意報】かんきつ、びわ、落葉果樹に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 静岡県2025年3月31日
静岡県病害虫防除所は、かんきつ、びわ、落葉果樹(うめ、もも、なし、かき、キウイフルーツ等)に果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ)が県内で多発のおそれがあるとして、3月28日に令和6年度病害虫発生予察注意報第6号を発表した。
図1:予察灯における果樹カメムシ類の誘殺状況(県内4か所のうちの抜粋)
静岡県病害虫防除所によると、2024年8~10月の予察灯(県内4か所)における果樹カメムシ類の合計誘殺数の平均は、28343頭/か所(平年2659頭、平年比10.7倍)と平年より多かった(図1)。また、同8~10月のフェロモントラップ(県内6か所)におけるカメムシ類の合計誘殺数の平均は、2040頭/か所(平年489頭、平年比4.2倍)と平年より多かった(図2)。

図2:フェロモントラップにおける果樹カメムシ類の誘殺状況(県内6か所のうちの抜粋)
今年2~3月の越冬量調査(県内20地点)において、チャバネアオカメムシ越冬量/落葉1㎡は、県平均2.9頭(平年1.0頭)と平年より多かった(図3)。また、各地域における同種の越冬量/落葉1㎡は、東部地域1.6頭(平年1.3頭)、中部地域4.2頭(平年0.9頭)、西部地域2.9頭(平年1.0頭)と、特に中部及び西部地域で平年より多かった(図3)。
図3:チャバネアオカメムシの越冬量(a:県平均b:地域別)
カメムシ類の主な餌となるヒノキ球果の着果量は、隔年で豊凶を繰り返すことが多い。昨年は着果量が平年より多かった(データ略)ことから、今年は着果量が平年より少ないと予想される。カメムシ類の餌が不足することにより、同虫が新たな餌を求めて4~8月にかけて果樹園に大量飛来し、花・果実等を加害する恐れがある(図4)。
図4:果樹カメムシ類とその被害果実(提供:静岡県病害虫防除所)
名古屋地方気象台が3月25日に発表した3か月予報では、東海地方における4~6月の平均気温は平年並か高い見込みで、同虫の発生を助長する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)昨年、西日本等の果樹産地では、カメムシ類の越冬成虫が4~8月にかけて果樹園に大量飛来し、本虫の加害による落花・落果・新梢枯死等の被害が生じた。静岡県においても越冬成虫の飛来に細心の注意を払う。なお、静岡県病害虫防除所ホームページ「害虫誘殺グラフ」では、本虫に関する各種情報(予察灯及びフェロモントラップにおける発生状況、ヒノキ球果の着果量や球果における寄生数、球果での吸汁痕数、果樹園への秋季以降の飛来予測日等)を随時提供しているので参照する。
(2)静岡県病害虫防除所による今後の「病害虫発生予察情報」に注意するとともに、地域の予察灯やフェロモントラップにおけるカメムシ類の発生状況を参考にし、ほ場の見回りをこまめに行う。ほ場で少数でも同虫の発生を確認したら、本虫が集合フェロモンを放出し大量飛来を招く前に、直ちに薬剤防除を行う。また、周辺ほ場への大量飛来がみられた場合、飛来前の予防的な薬剤散布を心掛ける。なお、同虫の移動範囲は広いため、地域での一斉防除が効果的である。また、ヒノキ・スギ林の隣接地域(特に中山間地)や台風・暴風雨後の園地では、急激に発生が増加する場合があるので注意する。
(3)薬剤防除については、静岡県病害虫防除所による「静岡県農薬安全使用指針・農作物病害虫防除基準」を参照する。なお、薬剤の選択に際しては収穫前日数や総使用回数に注意する。
(4)不明な点については、病害虫防除所、農林技術研究所果樹研究センター、農林事務所等の指導機関に問い合わせる。
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