第21回イタリア外国人記者協会グルメグループ(Gruppo del Gusto)賞授賞式【イタリア通信】2025年7月19日

イタリア外人記者協会に所属する記者の中で、ワインや食品、農業や観光などに関心を持つ仲間が集まって作ったグルメグループが、特徴あるある生産者やConsorzio(地場産業振興組合)、レストランなどに毎年賞を贈っています。
今年は第21回。授賞式はシチリアの中西部、エリーチェの谷(Valle del Elice)の町、ジベッリーナで開催されました。
エリーチェの谷は1968年に大地震に見舞われ、いくつもの町や村が壊滅状態となり、ジベッリーナは再建を諦め、別なところに町を作りました。再建には現代美術の作家たちが協力、以前穀物蔵があった場所に美術館が作られ、有名な画家・彫刻家のアルベルト・ブッリは壊滅された町全体を作品にしました。

今年度の受賞者
―生産者
Azienda Anima Ligure
ペスト・ジェノヴェーセ用のバジルの生産
― Consorzio(地場産業振興組合)
Consorzio per la Tutela della Vastedda della Valle del Belìce(ベリーチェの谷のヴァステッダ・チーズを守るためのConsorzio)
地元の価値と生物多様性を象徴するヴァッレ・デル・ベリーチェの代表的な羊のチーズを保護し、促進する取り組みが評価された。

―歴史的企業 (100年以上続く家族経営のレストランなど)
Ristorante "Majore" 1896
1896年以来シチリアの美食の伝統を守り、継続性と地域のアイデンティティを証明してきた。
―食文化の啓蒙活動
Michele Scognamiglio
ナポリ出身の生化学者、臨床栄養士、イタリアの農産食品の栄養面と文化面の要素を、真実味と科学的厳密さをもって国際的に伝える能力が高く評価されている。
審査員特別賞
Silvia Pollèri
ミラノのボッラーラ刑務所内に、一般の人が利用できるレストラン「InGalera(インガレーラ)(刑務所の中)」を開設し、受刑者に仕事を通じて尊厳を取り戻してもらうことを目的に、スタッフとして雇用している。
しかし今回の授賞式の主役は地震から長い時間をかけて復興したベリーチェの谷
シチリア島の州都パレルモの南西60キロほどのところから、島の南西部、有名な古代ギリシャの町セリヌンテの遺跡近くの河口まで77キロ、ベリーチェ川に沿った地帯です。
この一帯は地味が豊かで古代から農耕が盛ん。セリヌンテは紀元前7世紀にギリシャ人によって建設され、当時からベリーチェの谷の農産物を輸出することにより栄えたと言われています。
受賞したConsorzio のリーダー、Nicola Clemenzaさんはこの谷を愛し、谷の自然と産業を守り、マフィアに対抗して襲撃されたこともある情熱家です。
「われわれはベリーチェの谷の貴重な農業遺産と文化遺産を守り続けています。
この地域は数千年にわたりエリミア人、ギリシャ人、カルタゴ人、アラブ人、ノルマン人など様々な民族が移り住んできました。これらの民族はそれぞれ、この渓谷に独自の文化を残し地域文化の形成に貢献しました。
その結果ベリーチェの谷には多くの移民がそれぞれの祖国から羊を持ち込み、ベリーチェの谷の羊が作られました。

この羊は他の羊が通常は乳を出さない夏でも乳を生産しました。しかし夏の暑さで乳は自然に酸味を帯びやすく、昔から続いた製法ではチーズは腐ってしまいます。夏の間チーズ作りを任されていた3人の女性が、リコッタチーズを作る際に残った沸騰した液体に、酸っぱくなったチーズを溶かすことによりチーズが柔らかくなりました。この新しいチーズをスープ皿に入れて保存すると、柔らかく、心地よい酸味とシチリアのヴァステッダと呼ばれる平たいパンを思わせる独特の形状を持つストレッチカード羊チーズが誕生しました。」
紀元前8世紀にギリシャの詩人ホメロスによって書かれたと言われるトロイ戦争の英雄『オデゥッセウス』の物語に、シチリア島でチーズが作られていたことが書かれています。
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