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数字で読む「令和の米騒動」(上) 混乱招いた流通悪者論 集荷後半に"異変"2025年12月23日

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2025年の農政は「米」に揺れた。米価バブルは崩壊のカウントダウンが始まったが、「令和の米騒動」はどんな経過をたどり、節目節目で関係者は何を思ったのか。「数字」と「証言」で振り返る。

自民党農業基本政策検討委員会で需給見通しの誤りを謝罪する農水省幹部ら(左)=8月8日、自民党本部自民党農業基本政策検討委員会で需給見通しの誤りを謝罪する農水省幹部ら(左)=8月8日、自民党本部

「5次問屋」と「500%の利益」

米の需給ギャップ(米不足)は2023年産米から始まっていたが、農水省は2024年の端境期に米がスーパーの棚から消えても米不足を認めようとしなかった。坂本哲志農相(当時)は「新米が出てきたら不足感は減少していく」と繰り返し、政府備蓄米も放出しなかった。

「米は足りている」はずなのに消費者には届かない。辻褄を合わせるため「流通がスタック(滞留)している」という理屈が持ち出され、失言で辞任した江藤拓農相に代わって小泉進次郎氏(現防衛相)が農相に就くと、「流通スタック論」は「流通悪玉論」にまで先鋭化する。

小泉農相(当時)の下に「米流通は5次問屋まであるから価格が上がる」とする意見書がドン・キホーテ運営会社から届けられ、小泉農相も6月5日、衆議院農水委員会で「社名は言わないが、ある大手米卸は、営業利益が前年比500%だ」とし、翌日の記者会見でも「500%の利益ってどういうことなのだろうなと普通は思う」と述べた。大手米卸・木徳神糧の決算を念頭に置いたものだった。

合弁会社「日本精米センター」設立に際し握手を交わす木徳神糧の鎌田慶彦社長(左)と神明の藤尾益雄社長(11月10日、東京都内)都内)合弁会社「日本精米センター」設立に際し握手を交わす木徳神糧の鎌田慶彦社長(左)と神明の藤尾益雄社長
(11月10日、東京都内)

同社の2025年第1四半期決算では、米穀事業セグメントで売上高が311億6200万円(前年同期比127.1%)、営業利益19億2900万円(同487.4%)だった。たしかに営業利益は500%=5倍近いが、それは前年同期までが「薄利多売」だったためでもある。同社は6月11日、「弊社が市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ない」とする声明を公表した。また、5次問屋の存在も取材では確認できなかった。

米不足については8月5日、政府の米の安定供給等実現関係閣僚会議で、小泉農相がこれまで策定していた「需給見通しが誤っていた」と認め、石破茂首相も「生産量に不足があったことを真摯に受け止め」「増産に舵を切ること」と表明した。遅かったとはいえ「国の間違い」が正された形だ。8月8日の自民党の会合では、農水省幹部らが頭を下げ「需給見通し」の間違いを詫びた。

流通業者叩きについては11月25日、高市政権で小泉氏から代わった鈴木憲和農相が国会で、「個々の事業者のみなさんのビジネスが合法的に適正に行われている範囲で、私から何かコメントすることはまずない」との見識を示し、「(前大臣答弁で)大変不愉快な思いをされたということであれば、私の方からもお詫びを申し上げたい」と米卸叩きに異例の陳謝をした。

4倍

集荷競争の実情を明らかにするためにはJA側だけでなく、系統外の商系集荷業者の話も聞かなければならない。私たちはそう考え、取材を進めた。

甲信越の集荷業者B社を訪ねたのは、栃木県などで精力的な集荷を展開しその名が知られていたからだった。B社は、紅葉が始まった低山の麓、社長の邸宅内にあった。

集荷の時期は社長も社員も産地に入り「ビジネスホテルに泊まり、レンタカーで農家をまわります」。取材に応じた総務部長は、集荷競争最前線の実情を語ってくれた。B社は、「先に売り先側と量や価格で話を付け、その後、産地で集荷する」というビジネスをしてきた。10月に集荷するなら、8~9月に売り先と話し「Kという銘柄を3万円で**t買いますよ」と合意したら、引き渡し時点の相場がどうであれ3万円で売買する。生産者との関係で集荷量が変わる時は「都度、契約をまき直す」という。2024年のB社の売上は32億円で、23年実績の400%だった。

米価がどんどん上がる局面で、B社のような新興集荷業者が成長の階段を駆け上がった。だが今、歯車は逆回転を始めた。

25年の集荷では「争奪戦になって値段がどんどん吊り上がって合わなくなった」茨城からは8月後半に手を引き、「出足が低めだった栃木」に注力する。だが栃木でも「9月中旬には(価格が)明らかに天井を過ぎ」たため、B社はシャッターを下ろした。

B社だけではない。米産地のJA担当者も、「商系の動きは春先までは活発だったが、最近連絡が取れない業者もいるようだ。米価が一気に上がり、資金繰りに苦慮して手を引いた業者もいると聞く」(新潟のJA)、「商系業者は当初、概算金より高い単価で集めていたが、少し弱気になったのか勢いが落ちた」(群馬のJA)と証言する。米余りと先安観を背景に、集荷の最前線で異変が始まっていた。

3万6895円

とはいえ、2025年産米の多くは玄米60kg当たり3万円以上の高値ですでに集荷されている。全農も集荷業者も集荷価格に経費を載せて販売しなければ赤字になってしまう。9月の相対取引価格は3万6895円と過去最高にはね上がった。集荷の過熱が、集荷から卸に渡る価格に反映した形だ。

神明の藤尾社長は「玄米60kg当たり3万6895円(税込み)という2025年産米の9月の相対取引価格には正直、驚きました。そうなると自ずと、精米してスーパーに卸す価格が白米1kg当たり700円以上になり、スーパー店頭では、新米は5kg4500円くらいが平均になります。......現在のような価格は消費減、米離れにつながります」と嘆いた。

【続きを読む】数字で読む「令和の米騒動」2025 (下) 始まった損切り 小売りにも値下げの動き

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