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「新米動かない」シャッター下ろす商系業者 暴落予兆にすくむ集荷現場2025年11月7日

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2025年産米の集荷競争が終盤戦に入り様変わりしている。小泉前農相が「じゃぶじゃぶ」にした需給状況の下、先安観が広がり新米が動かないからだ。高値で精力的に米を集めていたが最近シャッターを下ろした商系集荷業者を訪ねた。

中山間地の邸宅内に
「他県から来た商系業者が大きな農家をまわり、JAの概算金をかなり超える高値で米を集めている」
そんな話を取引関係者から聞いたのは、栃木県で集荷競争の取材をしていた時だった。その業者は県内のJA関係者にも知られていた。

商業登記簿によると、会社設立は1992年。当初の商号はA商事だったが2011年にB社に変更。会社の「目的」も「冠婚葬祭用装飾の生花の販売」から「穀物の卸売業」「前号に附帯する一切の業務」に変更された。登記簿には「卸売業」とあるが、新興の集荷業者(商系集荷業者)にあたる。資本金は3000万円で代表取締役はA氏である。

10月初旬、B社に架電しA氏への取材を申し込むと「会社にはいません。産地に行っているので」との返答。10月末に再び電話すると「産地からは戻ったが、取材は遠慮したい」。同社は米のほか、そば、大豆、麦の集荷もしており、今は秋そばでも忙しいようだった。代わりに総務・企画部長のC氏が取材に応じてくれるというので、甲信越地方にあるB社を訪ねた。紅葉が始まった山のふもと、同社は、石垣で囲まれたA社長の邸宅内にあった。

ビジネスホテルに泊まりレンタカーで営業
「代表(A社長)はもともと精米業を営んでいました。その事業は他人に譲渡したのですが、当時から付き合いがある農家が集荷先の中心でした」とC氏は静かに話し始めた。

売り上げの9割方は米で、メインが栃木で茨城、長野、福島でも集荷している。2023年まではA社長が1人で集荷していたが、24年に社員を2人雇う。その1人が他業界出身のC氏だった。25年には業容はさらに拡大し、正社員4人、パート2人の体制になった。

「2024年は、農協の概算金よりは高い価格でしたが、他の集荷業者と比べれば特段高値ではなかったと思うのですが、付き合いのある農家から買うと、それを聞いた他の農家から『農協より高いならうちも買ってくれ』と紹介で広まっていきました」
集荷の時期はA社長もC氏ら社員も産地に入り「ビジネスホテルに泊まり、レンタカーで農家をまわります」。

B社は「基本、先に売り先側と量や価格で話を付け、その後、産地で集荷する」というビジネスをしている。10月に集荷するなら、8~9月に売り先と話し「Kという銘柄を3万円で**t買いますよ」と合意したら、引き渡し時点の相場がどうであれ3万円で売買する。生産者との関係で集荷量が変わる時は「都度、契約をまき直す」。

自社倉庫はない。売り先は「商社さんと卸さんとが半々くらい」。農家から玄米で集荷し、引き取る際に検査し、翌日までには売り先の倉庫に玄米で納品する。検査は複数の検査機関と提携して行っている。

今の米価は「バブル的」
農協の委託販売との違いについてC氏は「うちは買取なので、引き渡しまでに代金を農家に払います」と話し、こう付け加えた。「去年のような上がり一辺倒の相場だと、農協は当初の概算金のほかかなり追加で払ったので、農家から(最終的には)『B社さんが安かったよ』と言われました。委託と買取は良し悪しですね」

2025年の集荷は、前年の過熱を引き継いで幕を開けた。「早い段階で農協さんの概算金が話題になり、新潟などで高値が示され生産者も期待されている状況でした。8月に入ってスポット価格も上がり、それが売り先との交渉のベースになりました。需給バランスから見ても明らかに(価格が)上振れし、バブル的だったと思います」とC氏は振り返る。

集荷競争の開始が早い茨城では各JAが高めの価格を示し、商系業者が対抗。「争奪戦になって値段がどんどん吊り上がって合わなくなったので、われわれは8月後半には手を引きました。もともと付き合いのある生産者さんからは買いましたが」(C氏)。

新米動かぬ一因は「小泉米」
代わりに注力したのが「出足が低めだった栃木」での集荷だった。ところが「9月中旬には(価格が)明らかに天井を過ぎました」。スポット価格が下がり始めた時期については「9月6日頃から」という取引関係者もいるが、米価が下がる方向に転じたとの見方では一致する。「うちは集荷した米をすぐ納品しますが、自社倉庫を持っていて随時出しする形の業者は、去年は良かったのですが、今年はすごい困っています。茨城のコシヒカリなど、3万円台後半で庭先集荷したのにスポットは3万2000円を切る状況ですから相当キツい。もう買えないと(集荷業者から)契約を反故にされた農家もいると思います」

納品先からは「新米が動かないから倉庫もいっぱいになっている」と聞く。そこに先安観が重なって「3月以降、足りなければ買えばいい」という気長な様子見が広がる。そうなった原因についてC氏は「備蓄米放出、特に小泉米(小泉前農相の下、随意契約で売り渡された備蓄米)ですよ」との見方を示した。「小売りの出口の大きさは変えられないじゃないですか。(小泉米がそこに割り込んできたため)もともと売るはずだった24年産の銘柄米が滞留し、今も残っている」というのだ。

2024年には売上4倍だったが
多くの取引関係者同様、C氏も米価急落は避けがたいと考えている。「生産者手取りが(玄米60kg当たり)2万円を切れば、離農する人が相次ぐでしょう。農家をまわると『去年2.5万円になって、過去5~6年分の債務を返し一息つけた』という話をよく聞きました。みなさん、今年については『1年限りのバブル相場だ』と理解されているようですが」とC氏は話した。

2024年のB社の売上は32億円で、23年実績の400%だった。暴落の足音がひたひたと迫る中、今年はもう買わないと決めている。シャッターを下ろした形だ。「来年どこまで(米価が)下がるのか。農協さんの価格ベースで、われわれも決める形になるでしょう。まだやってませんが、来年から輸出も手掛けたいと考えています」とC氏は付け加えた。

「備蓄米買い入れ」めぐり交錯する思惑
11月4日の鈴木憲和農相定例会見で、米産地の新聞記者が「(米の民間在庫が)足りなければ(政府備蓄米を)出す、足りていれば出さない(と農相は言うが)、多すぎる場合にはどんなポリシーをお持ちでしょう」と質問すると、鈴木農相はこう答えた。
「私としては、過剰感のある場合に備蓄米を買い入れるというオプションを持っておくというスタンスはとり得ません」

小泉前農相の下で政府備蓄米を買い戻し条件なく大量放出した結果、需給は大きく緩んだ。米が高い時は「米の小売価格(精米5kg当たり)3000円台でなければならない」などと言って備蓄米を大量に出したにもかかわらず、逆に暴落しかねない局面になると、今度は備蓄米を買い入れないというのだ。記者会見での鈴木農相の発言は、政府による価格介入を否定する「原理原則」にもとづく考えを示したものである。とはいえ、政府が一因を作った暴落をもし放置するとすれば、米農家を突き放すも同然に映る。

この農相発言について11月6日、JA全中の定例記者会見で問われた藤間則和・全中常務は「鈴木大臣は今のことではなく、将来にわたってのことを発言されたと思う」と発言の真意を推し量り「今の供給過剰は状況が違っている」との認識を示して、備蓄米買い入れへの期待をにじませた。

北関東の集荷関係者も「新米が売れていない。特にB銘柄はじゃぶじゃぶしている。投げ売りする業者が出てきて、12月末か、決算期の3月にも高値が崩れるのではないか。すでに(玄米60kg当たり)3万円台半ばで集めた米が3万円を割る状況もある。集荷業者から『倉庫がいっぱいだから買ってくれないか』という話も聞こえてくる」と明かす。

政府備蓄米の適正水準回復を含め、いかに暴落を回避し、米価を再生産可能な水準に安定させるか。今、重大な局面に差し掛かっている。

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