JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える
米価下落を懸念、集荷競争に変調 米産地JA担当者に聞く(上)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日
2025年産米は収量がおおむね良好だが、高温や渇水の影響で品質には地域差が生じている。また、米価の下落懸念が広がる中、集荷競争の様相にも変調が見られる。全国42JAの米担当者に本紙が取材したところ、米価急落への不安と農政への切実な期待が聞かれた。
作柄平年並み努力
本紙は米産地1道2府30県の42JAの米担当者を対象に、10月21~28日、2025年産米の作柄、一等米比率、集荷状況、米価への見方などを聞いた。
25年産の作柄と品質
作柄は全国的に平年並みかやや良好というJAが多かった。
「場所によって水不足の影響はあるが昨年よりやや良い。作況単収指数の102は実感に合っている」(青森のJA、以下県名のみ表記)、「高温対策で穂肥時期の追肥などを行ったところでは平年よりも良く、特別栽培米では窒素量の制約もあり要件が外れてしまうので、(追肥ができず)収量は少し落ちた」(新潟)、「作柄は例年に比べても良好。昨年が悪すぎた」(鹿児島)など、高温や水不足の中、努力を重ねて例年並みかそれ以上の収量を確保した産地が多い。「昨年はカメムシ被害がひどかったが今年はかなり防げた」(埼玉)など、適期防除も成果を上げた。
他方、1等米比率など品質は高温などの影響を受け、差がみられた。「1等米は99・97%(うるち、酒、もち含む)で県内でトップ」(富山)、「管内は標高700mほどで夜温が低いため高温障害がなく品質は良い」(愛知)など、地域別では、北海道、東北、北陸、九州で1等米比率が良い産地が多かった。それに対し、関東・東山、東海、近畿では「暑さで未熟粒が多く胴割れもあり1等米比率はかなり低い」(静岡)など高温や出穂期の水不足が品質に響いた産地が少なくなかった。「『ヒノヒカリ』は1等が2割程度。高温耐性品種はましだが、品質は近年下がる一方だ。品種変更をしたいが、種子不足でままならない」(大阪)など、高温耐性品種に切り替える際の課題も浮かんだ。
2025年産主食用米の県別作況単収指数(農水省)9月25日現在
強み生かして集荷
2024年産米の集荷では、米不足と先高感を背景に商系集荷業者との集荷競争が激化し、JA・全農の集荷率が落ち込んだ。25年産米で全農は、227万t(生産量の30%)を必達目標とし、各県ごとに概算金を早期に提示。生産者を回るなど集荷力強化に努めた。
25年産米の集荷は現在、終盤に差し掛かっている。「去年は3.7万俵だったが今年は3.5万俵くらい。だいぶ商系が来ている」(北海道)、「頑張って概算金を出したが、商系が後出しじゃんけんでより高値を示し、昨年より1割くらい減った。集落ごと持っていかれたところもある」(広島)など、昨年から厳しい集荷競争が続いている。
商系集荷業者との競争だけでなく「一般消費者に縁故米でどんどん取られている」(大阪)という報告もあり、もみ摺り機や精米機を持つ農家が消費者に直接売るルートも広がっている。
地道に訪問
それに対し「概算金を高く設定し、集荷は良好」(福岡)など、今年の概算金は額、提示時期ともに集荷の大きな力となった。
「2024年産米で最終精算も含め高く払え、その実績もあってある程度集まった」(三重)、「春先に各営農センターと協力して本店の担当者も契約先農家を全戸訪問。秋前に再度のお願い、さらに『もう1俵運動』でチラシも配布するなど、地道に積み上げた」(新潟)、「管内はカントリーエレベーター(CE)の利用率が高く、JA外に流れにくい」(富山)など、委託販売(概算金)や訪問、CEなどJAの強みを集荷につなげた産地も多かった。
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