JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える
再生産可能なコメ政策を 米産地JA担当者の声(下)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日
全国42JAの米担当者に本紙が取材したところ、米価急落への不安と農政への切実な期待が聞かれた。農政に対するJA担当者の声を紹介する。
【農政への産地の意見】
▽「生産調整では(目安を)守る人と守らない人との不公平感をなくす必要がある」(北海道)
▽「土地がやせている中、転作で地力を回復してきた。転作しなければ産地が崩れる。長いスパンで見てほしい。規模感はさまざまあるが、どの農家も再生産できるよう最低限のラインで所得の支えが必要だ」(宮城)
▽「『増産』か『需要に応じた生産』かに注目が集まっているが、再生産可能でないと農家はどんどん辞めていく。営農が続けられるよう根本のことを考えてほしい」(長野)
▽「米価が低い時期が続いたことが米不足の原因で、その時期に離農した米農家が多かった。再生産可能な水準で価格の安定を図ってほしい」(三重)
▽「国は需要と供給のバランスが大事と言うが、需要には加工用米や輸出用米、米粉もある。大豆や麦も国内需要がある、安易に米を安くして、増産するだけでいいのか。政策の中で需要全体を見ていないのでは」(新潟)
▽「8月に(国が)増産にかじを切り、農家から増産に踏み切っていいかと相談も増えた。内閣が変わり生産調整も必要となっているが、果たして強制できるのか。需要に応じた生産で余ってはいけないと言われても、それを支える政策がなければ、1JAでは意味はない。政府は農家に説明ができるのか」(富山)
▽「首相や大臣が(米の)価格について言及すべきではなかった。それによって消費者に価格が刷り込まれてしまう。5キロ4000円台でも慣れてもらえればとは思うが、需要減への懸念もある」(奈良)
多彩な役割
▽「一番大事なことは米を作りやすくすること、具体的には水路の維持であり、広葉樹植林などで山の保水力を高めることだ。また、残留農薬や遺伝子組み換えの問題を考えても、『食の安心』のため、国産をもっと大切にしてほしい」(島根)
▽「小規模な農家もやっていけるよう、全国の現場の意見をよく聞いてブレない骨太の方針を立ててほしい。耕作放棄の防止や水利も含め『土地を守る』ことも政策に入れ込んでほしい」(高知)
▽「集約化は大きな農業者にはいいが、条件の悪い地域では小規模農家の耕作放棄につながる。小農の基盤整備を手厚くしなければ、現在の条件では手を挙げられないので、もっと条件を緩和してほしい。中山間でも米作りを続けられる対策が必要だ」(福岡)
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