乾田直播・湛水直播を議論 第2回「田植え不要の米づくりコンソーシアム」 農水省2025年12月18日
農水省は12月17日、第2回「田植え不要の米づくりコンソーシアム」を開いた。第1回の「節水型乾田直播」に続き、今回は「乾田直播・湛水直播(は)」をテーマに議論を行った。同省でのリアル参加とオンライン視聴を含めて約1400人が参加し、直播栽培に対する関心の高さが示された。
農水省で開いた第2回「田植え不要の米づくりコンソーシアム」
冒頭、農水省農産局の山口靖局長が「活発な議論を通じて、今後の政策の土台として活用したい」とあいさつし、乾田直播・湛水直播の現状と課題が説明された。水稲の直播栽培面積は、湛水直播は減少傾向だが、乾田直播は拡大し、2023年には合計約3万9000haとなり、水稲全体の約2.9%を占めている。また、2025年農林業センサスで農業経営体が5年前より約25万減少した一方、経営体当たりの耕地面積は0.6ha増加していることを挙げ、作業ピーク時の労働力減少につながる直播技術の重要性を強調した。
中山間地域でも有効
取り組み事例では、岩手県北上市の農業生産法人・西部開発農産の清水一孝受託部部長が、中山間地域で大型農業機械を活用した乾田直播を紹介した。2023年の10a当たり作業時間を比較すると、乾田直播10アールあたり2.1時間で、移植栽培の4.7時間の半分程度に効率化した。乾田直播の面積は2025年の80haを26年には90haに拡大する計画だ。農研機構のマニュアルなどを踏まえ、「基本に忠実に作業を行うことで、失敗しても原因を特定できる」と強調した。
福井県南条郡の農業生産法人・そまやまビレッジの山田康二社長は、中山間地での湛水直播を紹介した。同社は2人体制で27haの水稲栽培を行っており、2013年の独立以来、カルパーコーティングによる湛水直播に取り組んでいる。平均反収(出荷ベース)は「早生、中生、晩生とも7.5俵以上で問題はない」とし、湛水直播は初期投資の低さに加え、「新規就農者には負担の大きい育苗作業が不要」を最大のメリットに挙げた。
技術進歩で直播拡大へ
技術事例では、愛知県農業総合試験場の林元樹作物研究部部長が「不耕起V溝直播栽培技術」を詳しく解説した。移植栽培と比べて収量に差はなく、育苗作業の削減により作業時間は約3割減、コストも約1割減と、経営面での効果を実証した。2024年には県内で約3800haと、水稲全体の14.5%まで普及が進み、県外でも23道府県で導入が進んでいることを報告した。
富山県広域普及指導センターの野村幹雄所長は、同県の湛水直播の状況を解説した。2025年の直播栽培全体は3360ha(水稲面積の約9%)を占め、このうち湛水直播は約2000ha。2017年をピークに減少していたが、近年は横ばいで推移しているという。「富山型直播」として、コシヒカリの倒伏防止や種子コーティング作業の一括処理などを推進。今後も4000haを目指し、種子不足やドローン播種などの課題解決に加え、高温耐性品種「富富富」での取り組みを進める考えを示した。
農機メーカーのクボタは、技術顧問の木田浩司氏が、乾田・湛水のそれぞれ直播に対応した機械装備や技術サポートを紹介した。新たに開発した湛水直播機「NDS-600F(6条用)」「NDS-800F(8条用)」や、ほ場水管理システム「WATARAS」を紹介し、各地での取り組み事例も報告した。マイファームは中山間地における鳥獣害対策の事例、オプティムはドローンによる打ち込み条播サービスとその実証結果などを報告した。
普及に向けた課題
事例紹介後には、流通関係者として亀田製菓の五十嵐晃購買部部長、ビビッドガーデンの秋元里奈社長、雨風太陽の高橋博之社長、農研機構本部企画戦略本部の古畑昌巳セグメントⅡ理事室室長が加わり、農水省農産局の尾室義典穀物課長の司会でパネルディスカッションを行った。技術面や消費者へのアピール方法などで議論が行われ、参加者からの質問にも答えた。
農水省からは、2025年度補正予算や26年度予算要求における、スマート農業や直播などの技術支援に関する予算措置が説明された。
山口農産局長は事例紹介やパネルディスカッションを受け、「直播栽培は省力化につながるが、手抜きではなく基本技術が重要。消費者に分かりやすい言葉でアピールする必要がある。スマート農業も含めて地域全体で取り組み、普及組織や研究機関の活用を」と課題をまとめ、「国や地域全体として、直播技術の普及をバックアップしていく」と締めくくった。
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