【浜矩子が斬る! 日本経済】日本国債の金縁がメッキと化す時 2026年4月6日
日本国債が不人気だ。特に40年物や30年物の超長期国債が投資家に見限られている。4月月初には、長期金利の代表的な指標である10年債の新発債表面利率が2.4%に設定された。28年8カ月ぶりの高水準だ。つまり、それだけ高い利率を提示しないと、国債に買い手がつかなくなっているということである。
エコノミスト 浜矩子氏
どうしてこういうことになるのか。答えは明らかだ。筆者がタコ市さんと呼ぶ高市早苗政権の「責任ある積極財政」の「責任ある」の部分を投資家たちが信用していないからである。物価高対策や円安対応、中低所得者支援等々の名の下で、財政規律がどんどん乱れて行くことを、投資家たちは懸念している。
財政膨張を警戒する投資家の国債離れが進めば進むほど、国債相場は下がる。相場が低下すれば、それだけ支払い金利の国債価格に対する比率、すなわち利回りは上がる。市場で国債利回りが上がれば、新発債に付ける金利もそれに見合う水準にしなければならない。さもなくば、誰も新発債を買わないからである。そして、金利が高く設定されればされるほど、政府の将来的な債務返済負担は膨れ上がって行く。
政府の債務返済負担が膨らめば膨らむほど、その返済能力に関する疑念が深まる。疑念が深まれば深まるほど、ますます、投資家の国債離れが進む。しかも、償還期限が長い超長期国債ほど、人気低下が著しいことが注目どころだ。それだけ、日本の財政事情の将来動向に関する見方が悲観的だということである。実に危うい空気が漂う日本の国債市場だ。
英国では、国債をしばしば「ギルツ(gilts)」と呼ぶ。ギルト(gilt)は金箔あるいは金粉の意。ギルト・エッジ(gilt-edge)と言えば金縁を指す。金縁が付くとなると高級品だ。だから、ギルト・エッジド・セキュリティー(gilt-edged security)と言えば優良証券の意味になる。そして、国が発行する国債は原則的にはゼロリスク証券だ。国家が発行主体だから、貸し倒れになることがない(はず)だからである。そこで、英国人たちは国債こそgilt-dged中のgilt-edgedだというので「ギルツ」の略称を国債に与えたのである。
ところが、この「ギルツ」神話が少し前に大きく崩れた。2022年9月のことである。リズ・トラス首相(当時)が就任直後に大規模減税計画を打ち出した。所得税の基本税率引き下げや高額所得者向け最高税率の撤廃、法人税率凍結などが含まれていた。この政策によって、タコ市首相流に言えば「成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくる」ことを目指すと宣言したのである。
この「減税による成長大作戦」に対して、投資家たちは実にネガティブに反応した。大減税のための財源がまともに示されていなかったからである。あっという間に英ポンドと英国債と株式が売られた。大トリプル安の発生だった。この時、「ギルツ」は地に落ちた。金縁はメッキと化してしまったのである。世にいう「トラスショック」だ。その結果、トラス政権はたったの49日で終わった。英国史上、最短命政権だった。
今、日本国債はあの時の「ギルツ」と同じ運命をたどろうとしているのか。その雰囲気は大いに濃厚だ。雰囲気だけの話ではない。今の日本の国債市場からは、大きなつっかえ棒がはずれつつある。そのつっかえ棒は、言うまでもなく日本銀行だ。黒田日銀の異次元緩和政策の下で、日銀は国債の大量購入を続けた。国債発行残高の半分を日銀が保有するという状況になった。この太い支柱があったからこそ、世界で最悪の国家財務状況にも関わらず、これまで、日本版トラスショックを免れて来たのである。
だが、いまや、この日銀柱は徐々に削られて細くなりつつある。2025年末時点で、日銀の国債保有比率は50%を割り込んだ。日銀つっかえ棒体制が終焉した時、日本国債は「ギルツ」ではなくなる。
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