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「旧姓使用の法制化」が仕掛ける罠【小松泰信・地方の眼力】2025年12月24日

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政府は12月23日、来年度から5年間で取り組む女性政策などの指針となる「第6次男女共同参画基本計画」について、年内の閣議決定を見送る方針を固めた。

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閣議決定を見送る理由

 見送る理由は、12日開催の男女共同参画会議で示された答申案に、旧姓の通称使用の法制化が追加されていたことに対し、同会議の有識者議員から反対意見が出されたからである。
 通称使用の法制化は、夫婦同姓を前提とするもので、選択的夫婦別姓に反対する高市早苗首相もかねてより主張していた。
 その選択的夫婦別姓については、法相の諮問機関である法制審議会が1996年に導入を答申したが、自民党内の保守派を中心に慎重論が強く、実現していない。

問題の文言とその背景

 問題となったのは、答申案の「第10分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」における、「イ 家族に関する法制の整備等」での次の記述である。(以下での強調文字は小松)
① 旧氏の通称使用の運用は拡充されつつあるが、婚姻により氏を変更した人が不便さや不利益を感じることのないよう、社会生活のあらゆる場面で旧氏使用に法的効力を与える制度の創設の検討を含め、旧氏使用の拡大やその周知に取り組む。
 これに続く②で、その背景などが次のように記されている。
② 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているなどの意見がある。そのような状況も踏まえた上で、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、こどもへの影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。
 ちなみに、②の強調文字は、選択的夫婦別姓反対論者の論拠である。また、しんぶん赤旗(12月24日付)では①の強調文字に関しては、「事務方の判断」での追加と記されている。だとすれば、これもまた忖度か。

芳野連合会長の反対意見

 反対意見を述べ、閣議決定を見送らせたのは芳野友子氏(日本労働組合総連合会会長)。12日の会議で出された意見書における、該当箇所の概要は次のとおり。
①今回の「答申案」では、旧姓使用に法的効力を与える制度の創設に関する文言が追加されている。専門調査会で約1年かけ丁寧な議論が行われ、パブリックコメントを経て整理されている。「答申案」の段階で極めて重要な論点について、新たな記述が加えられたことは問題視せざるを得ない。
②婚姻前の氏を名乗り続けられるかどうかは、個人の尊厳や人権に関わる重要な問題。日本は夫婦同姓を法律で強制する唯一の国であり、国連女性差別撤廃条約から繰り返し勧告を受けている。旧姓の通称使用拡大は、国際社会で通用しないだけでなく、人権尊重という要請にも応えられない。働く現場からは、業績や研究実績といったキャリアの分断、ダブルネームや使い分けに伴う弊害などの不利益が指摘されている。旧姓の通称使用拡大はあくまで過渡的措置である。旧姓使用に法的効力を与える制度の創設を検討するのであれば、選択的夫婦別氏制度の早期導入に向けた取り組みの強化も併記するべきである。
 芳野氏はそれまでの会議においても、選択的夫婦別氏(姓)制度の導入を訴えている。その概要は次の通り。
 「生来の氏を名乗り続けられるかどうかは個人の尊厳や人権に関わる重要な問題であり、旧姓の通称使用の運用拡充では人権尊重という要請に応えられないうえ、国際社会で通用しないことが明らかである。選択的夫婦別氏制度に関する議論がなされ、導入に向けた機運が高まっているにもかかわらず、『女性版骨太方針』においては、記載内容がこの間と一言一句変わっていないことは大変残念である。選択的夫婦別氏制度をただちに導入する旨を記載すべきである」(6月2日の意見書)
 「選択的夫婦別氏制度について、国連女性差別撤廃委員会から4度目の勧告が行われた。男女不平等を是正し、人権の尊重、個人の尊厳を基底に置いた社会実現のため、選択的夫婦別氏制度を早期に導入すべきである」(1月10日の意見書)
 毎回、労働者団体の会長から理路整然とした意見書が出されてきたにもかかわらず、無視して、最後の最後に何食わぬ顔で問題文言を潜り込ませる姿勢は犯罪行為である。

家族の絆の強さは同姓だから?

 西日本新聞(12月21日付)の社説は、旧姓の通称使用の法制化では、改姓を望まない人の根本的問題は解決しないと断じる。  
 別姓を望む人が、婚姻時に改姓を強いられることは「自分らしく生きる権利の喪失」と訴えていることを紹介し、「この問題を解決するのが選択的夫婦別姓制度だ」と強調する。
 「家族の中に異なる姓があると一体感が失われる」との反対意見に対しては、「家族同姓と一体感の関連は一概に判断できない」とし、婚姻時に夫婦どちらかの姓の選択を求めている日本が、そうではない大多数の他国よりも「家族の絆が強いとは言い切れない」と、常識で迫る。
 そして、「夫婦別姓を否定する意見の根底に、妻は家庭に入り、子を産み育て、家事をするといった伝統的家族観へのこだわりもうかがえる」と急所を衝き、「夫婦同姓で旧姓を通称として使うことも、夫婦別姓にすることも、当事者の意思で選べることが望ましい」と、穏やかに諭している。

旧姓使用の法制化で選択的夫婦別姓制度は葬られる

 髙村薫氏(作家)は、『サンデー毎日』(26年1月4-11日号)で、〝旧姓使用の法制化が通れば、選択的夫婦別姓制度が実現する道は閉ざされ、女性が旧来の家制度の縛りから解放されえない〟ことを警告している。
 この卓見は、旧姓使用の法制化による「運用・便宜の拡張」が、選択的夫婦別姓制度の"必要性"と"切迫性"を無力化することを示唆している。「なぜ結婚すると姓を変えなければならないのか」という問いかけが、事務処理の問題へと巧妙にすり替えられ、選択的夫婦別姓制度は、国民的議論や国会審議の必然性を失うことになる。旧姓使用の法制化を絶対に認めてはならない。

 「地方の眼力」なめんなよ

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