「農家への所得補償、消費者にも大切」 生産者、消費者、米屋がシンポジウムで議論 2026年2月12日
深刻な米不足の教訓を胸に、「作る人」と「食べる人」とが手を取り合って持続可能な農業を守っていこう――。2月10日、参院議員会館で開かれたシンポジウムで、生産者、消費者、街の米屋らが議論した。高市旋風で自民党が圧勝した総選挙の直後に、生産者と消費者とを同時に守る直接支払の拡充こそ食料安全保障の要という声が国会内に響いた。
農業・食料危機の打開に向け、生産者と消費者の連帯を誓ったシンポジウムの参加者ら。
前列左から5人目は講演した鈴木宣弘東大特任教授(2月10日、参議院議員会館)
再生産価格と「買える価格」とのギャップ埋めるのが政治の役割
2月10日、参議院議員会館で「日本農業・食料崩壊の危機を打開するシンポジウムin東京」が開かれ、首都圏各地から120人が集まった。主催は農民連関東ブロック協議会などで作る実行委員会である。
埼玉県食健連の柳重雄さんのコーディネートで進められたパネルディスカッションでは、学校給食無償化や産直に取り組んできた河野恭子さん(新日本婦人の会茨城県本部副会長)が「私たちは特別栽培、ネオニコチロイドフリーのお米を、生産者と何度も率直に話し合って適正価格で買っている。限られた人だけでなく、誰もが安全な米を買え、生産者が作り続けられるようにするには国の支援が必要だ」と語った。
千葉県匝瑳市(そうさし、JAちばみどり管内)で大規模に米づくりをする農事組合法人栄営農組合の前会長、伊藤秀雄さんは、「食料安全保障とともに国土保全を担っている農家に対価と補償を」と求めた(要旨別掲)。
主婦連合会副会長の田辺恵子さんは「日本では子どもたちの9人に1人が相対的貧困になっている。生産者が(再生産に)必要な価格と消費者が払える価格とにギャップがあるとすれば、そこを埋めるのが政治の力だ」と説いた。
「子どもの貧困」にふれ、再生産価格と消費価格のギャップを埋める政治の責任を説いた
主婦連合会の田辺恵子副会長
埼玉県さいたま市で米屋を営む廣岡幸子さんは「平成の米騒動」の教訓から生産者と直接つながって、高い時も安い時も納得価格で取引してきた歩みや「ごはん党」というグループでのお米アンケートを紹介。「海外から米を輸入しながら生産調整しなくちゃいけないのはおかしい。輸入を止めれば、農家はもっと米を作れる」と問題提起した。
消費者の「国産米を食べたい」という切実な声を「お米アンケート」の結果から報告する
米工房ひろおかの廣岡幸子さん
消費者もできる形で農への参加を
パネルディスカッションに先立って、東京大学の鈴木宣弘特任教授が、総選挙での自民圧勝という「衝撃的結果」の中で、いかに食と農を守るかについて、農政課題とともに消費者市民の努力の結実も紹介しながら講演。「農と食を、国をあげて守るのが安全保障の一丁目一番地だ。政治状況は厳しいが農家の頑張りが希望の光。消費者は農家とつながり、小さくてもできる形で農に参加してほしい」と呼びかけた。
農水省予算を5兆円以上に、売り渡した備蓄米の買い戻し、新たな所得・価格保障制度などを求める鈴木憲和農相あての「緊急要請」を拍手で確認した。
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