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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】水田政策見直しで放棄されるのか、米価下落対策、転作交付金、国家備蓄2026年2月12日

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今、米騒動で日本の米の生産・消費について大きな混乱が生じている中、こういうことも踏まえながら、2027年度から新たな水田農業政策をやるんだということで、制度設計を2026年にやるという話になっている。

ここで一番考えなきゃいけないことは、今回の米騒動がなぜ起こったのか、それを根本的に解決するような政策になるのかどうか、ということである。

米政策の一番の問題は、生産調整の限界だ。需要は、機械的に「10万トンずつ減る」と言って、それに合わせて生産を減らすんだと、ギリギリにやろうとしても、猛暑の影響も強まっているので、生産が減り過ぎてしまう。需要が「20万トン減る」と言っていたのが、逆に10万トン以上増えた。こういうことが生じて、大きな米騒動になった。

このことが意味していることは、需要の見通しだって簡単にはできないし、生産量をそれに合わせて調整しようとしても、それだって天候によってどうなのか分からない。生産量を抑制して調整しようとする手法には限界がある、ということだ。

それに対してどうするかということを考えたら、これからは需給に余裕をもたせて増産していけるようにしようじゃないかと、その方向性というのは、当然の流れだ。そもそも農家の皆さんは自分の意思で経営判断するわけですから、「米を作るな」とか「作れ」とか、政府に言われて振り回されるようなことはおかしい。農家の皆さんには自身の経営判断で作ってもらえばいい。

それで、市場で需給が決まって価格が決まる。しかし、それは通常、どうしても消費者に合わせるような価格で大手小売店が決めてくるから、安くなりがちになる。消費者はそれで助かるが、それが行き過ぎたのが、この30年間で、米価が下がり過ぎた。

それによる農家の疲弊が今回のコメ不足につながった。「それじゃ困るから、増産をしてもらわないと、いうことになったが、米価が下がり過ぎたら、また農家がやっていけない。だから、農家のコスト割れを補う対策を加えなきゃいけない、というのが今回の一番のポイントだ。

しかし、今回、鈴木農水大臣も「増産して価格が下がったときに米農家に所得を支える直接支払いは絶対やらない」と断言している。一番のポイントをやらないというのは完全にアウトだ。

どうするかというと、「需要に応じた生産」を食糧法に明記して、減少する需要に応じた「生産の目安」を示すから、それを基に生産を減らせと誘導する、というだけだ。これをやり過ぎてコメ騒動になったのに、「元の木阿弥」だ。どれだけ逆行しているか。

もう一つ求められるのは、増産できたときに、どんなふうに米を活用するか、の出口政策だ。備蓄米も100万トンしかなくて、中国の1.5年分とはいかなくても、消費の1.5カ月では少な過ぎる。1年分の700万トンぐらいの備蓄は、当然、国防としてやらなきゃいけない。そういう判断に立てば、毎年200万トンぐらいずつ米を買い入れていくような政策をやる。そういう出口対策をセットにして増産できるようにする。

しっかりと増産ができて、出口を作っていく。生産で調整するのが限界なのだから、生産で調整せずに、出口で調整する。そこに財政出動すると。ところが、なんと備蓄米をもうちょっと増やして危機に備えるんじゃなくて、お金がもったないから、食糧法改定で国家備蓄を減らして民間備蓄に任せる方向にすると。無理やり民間業者さんに「一定量はいざというときにとっておいてくれ」という形にするというが実効性があるのか。これも完全に逆行している。

もう一つ、コメ生産への補填だけでなく、麦大豆などの転作作物への補填も食料安全保障上も農家経営上も重要だが、今後は、田畑の区別なしに、品目ごとの補填に切り替えるという。これによって、結果的に、水田転作への交付金が減少することになったら、水田経営の継続を危うくする要因となる。

こうやって見てくると、どれも今求められていることに逆行しており、いったい何のための水田政策の見直しなのかが厳しく問われてくる。

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