28年ぶりに10兆円超 2024年の農業総算出額 米や野菜の価格上昇で2025年12月24日
米や野菜の価格上昇を反映し、2024年の農業総算出額が28年ぶりに10兆円台となった。同年の生産農業所得も26年ぶりに約4兆円となった。総算出が急伸した主因は25年にも続いた米価高騰だが、足元では急落が迫っており、この傾向が26年まで続くかは見通せない。
農業総算出額は売り上げ、生産農業所得は稼ぎを示す

農水省は12月23日、「令和6年(2024年)農業総算出額及び生産農業所得(全国)」を公表した。
農業総産出額とは、農産物の生産量(全国の合計)に品目ごとの農家庭先販売価格(全国平均、消費税込み)をかけたもので、いわば生産者にとっての農産物の売り上げ合計にあたる。生産農業所得とは、農業生産活動によって生み出された付加価値で、農業総産出額から肥料、農薬などの物的経費(固定資本の減価償却費や間接税を含む)を引き、経常補助金の実額を足したもので、生産者にとっての稼ぎを示す。ただし人件費を引いておらず補助金が足してあるため、粗利とも営業利益とも一致しない独自の指標といえる。
総生産額増への寄与 米がダントツ、野菜、果実も

2024年の農業総生産額は前年から1兆2849億円(13.5%)増加し、10兆7801億円となった。10兆円を超えたのは1996年(10.3兆円)以来28年ぶりである。
前年からの約1.3兆円の増加への「部門別寄与度」をみると、最も大きいのは「米」の1兆331億円(68.0%)増。主食用米の価格が上昇したことによる。
次が「野菜」の2276億円(9.8%)増だ。キャベツ、レタス、はくさい等が猛暑等の影響で収量が減り価格が上がったこと等による。
生産量が増え23年に乳価が引き上げられた「生乳」の625億円(7.5%)、猛暑による不作等で価格が上がった「果実」の552億円(5.4%)なども算出額の増加に寄与した。
逆に「鶏卵」は、2022年10月以降の鳥インフルエンザの影響で減少した生産量が回復し卵価が下がったため、前年に比べ1649億円(22.2%)減少した。
一方、生産農業所得は前年に比べ6728億円(20.4%)増え、3兆9649億円となった。
生産農業所得、持続的改善には課題
2024年の農業総算出額と生産農業所得の増大に最も寄与したのは、前述の通り米価格の上昇だった。相対取引価格(当該年産の出回りから翌年10月までの通年平均)は、2023年は1万5193円だったが24年には2万5179円と64.4%上がった。25年産米は9~11月平均で3万6803円ともう一段上がっているが、すでに米価は取引の上流から下がり始めた。
農業総算出額の伸びは農畜産物のブランド化、高付加価値化を進めてきた産地の努力の結実にほかならない。だが、農家の売り上げと稼ぎとを大きく引き上げた米価は、今後、引き下げ要因になる可能性が高い。産地づくり、生産性向上はもちろんだが、合理的費用を考慮した価格形成や直接支払の拡充も含め「10兆円超え」を持続させていくための課題は多い。
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