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地域全体の活性化を目指す 沖縄で生モズクの取り組みに学ぶ【JA全中教育部・ミライ共創プロジェクト】2025年12月24日

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JA全中・教育部は12月10、11の両日、沖縄県で「ミライ共創プロジェクト」の第3セッションを実施した。うるま市の「沖縄うるま船団丸」による生モズク栽培の取り組みを視察するとともに、参加者による議論を行った。

GHIBLIの坪内知佳代表(中央)や生モズク漁師と交流GHIBLIの坪内知佳代表(中央)や生モズク漁師と交流

10日に視察したうるま市勝連地域には、モズク生産量で日本一を誇る。モズクの栽培は、準備期間を含めて10カ月以上を要し、モズク漁師は毎日5~6時間、海中で作業を行う。近年は、漁具やメンテナンス費用の高騰により利益が出にくい状況が続いていた。そこで、テレビドラマ「ファーストペンギン」のモデルとして知られる坪内知佳氏が代表を務めるGHIBLI(ギブリ)に支援を求め、「沖縄うるま船団丸」事業を立ち上げた。

GHIBLIの坪内代表は、「船団丸がめざすもの」をテーマに講演を行った。

浜作業や海上作業も視察浜作業や海上作業も視察

地域全体の活性化モデル

同社の経営理念は「50年先の一次産業の豊かな存続と、美しい刺し盛文化を未来へ継承します」。ただし、同社はあくまで伴走者であり、「漁村の文化や未来は、生産者自身が一番守りたいと思っている」と語る。理念を共有することで、「時間をかけて信頼関係ができる」と強調した。

事業の基本は、「ブランドを作って、生産者に渡す」ことにある。水産業で初めて、農水省から認定された六次産業化は本来、「一次産業者が利益を出し、地方創生につながる」考え方だった。しかし、近年は二次・三次事業者の参入などにより、意味合いが変質しているという。坪内氏は「だからこそ、一次産品中心に、観光資源としても活用し、地域全体を盛り上げるモデルが必要」と述べた。最初のブランド「萩大島船団丸」は、10年間で軌道に乗せ、現在は手放している。「自走モデルとして3年目に入り、自分たちでしっかりとお客様を維持しながら事業を継続している」という。

生モズクによる差別化

「うるま船団丸」の生モズク事業は、一般的なモズクとは異なり、無塩蔵で、海から引き揚げたままの状態で包装する。「生きたまま海水ごと引き揚げると、すごい重量になる。他の業者はまねできない」。無塩蔵だから栄養価も高い。食品添加物を使用せず、水揚げから短時間で商品化するなど、生産者に対して「日本で一番厳しい生産加工業のルール」を課し、付加価値向上につなげている。

漁村の豊かさを守る

事業を始めた背景には、坪内氏が生まれ育った福井県での経験がある。「事業に失敗して命を絶つ人もいた。豊かに生きていくために働いているのに、どういうことなのか」。一方、漁村では、収入が少なくとも地元食材で生活を維持し、「苦しくても頑張ろうと笑っている生産者」の姿を見て、「この豊かさを守りたい」と思った。

また、坪内氏は化学物質過敏症であったことから、「生モズクのように、体が元気になるミネラルを取りたい」と考えていた。農業では遺伝子組み換えやゲノム編集に敏感である一方、「養殖業では誰も興味を示さない」現状にも疑問を抱いた。特に、沖縄は海洋変動の影響を早くから受けており、以前にも事業を検討していた。

出荷作業は地域全体で協力

商流はEC(電子商取引)による直接販売だが、物流は「漁協を通し、仲買や市場の手数料も納め続けている」。利益は地元に還元し、雇用を生むことを重視し、出荷作業は地域全体で協力し合う関係を構築している。一方で、難しいデジタル対応を生産者に課さず、受発注はLINEで管理するなど、現場に負担をかけない工夫を重ねている。

事業が軌道に乗るまでには時間がかかる。萩大島船団丸では、「商品を出せるまでに3年かかった」。こうした経験から、「チョウの羽ばたきが、やがて竜巻になるかもしれない」という「バタフライエフェクト」、「一人一人が違う歯車のように地球にかみ合う」という「歯車」の二つの考え方を紹介した。時間がかかっても、「自分たちが発したことが、巡り巡って大きな力となって返ってくる」経験からだ。

東日本大震災が発生した2011年は創業期。生産者から「簡単にもうかる仕組み」を求められたが、「津波や原発事故で船も家族も失った漁師の気持ちが分からないのか」と反論。「東北に市場や仲買がなくなっても、手を差し伸べられる漁師集団になろう」と呼びかけた。その後、「高く売れることで少しずつ利益が上がり、結果として自分に返ってきた」ことで、漁師の姿勢も変わっていった。勉強が苦手な漁師には、「1.01の法則」を伝えている。「1%の努力を365日、10年続けると、1万2600倍の差になる。小さな努力をやめないことが大切だ」と、自ら学習できる仕組みも提供している。

収益の一部は、困難を抱えた子どもたちのプロジェクトに充てる。自身が病気で味覚や嗅覚を失い、「生き残れたら、もう一度、ちゃんとご飯を食べよう」と思った経験が原点だ。「何のために学ぶのか」「何のために生きるのか」と考えたときに、「高いすし屋で食べるためでもいい。努力する、まっすぐ生きる理由になってほしい」との思いを語って講演を終えた。

【GHIBLIの概要】
2010年に山口県で萩大島船団丸(現SENDANMARU)事業を開始。2013年から全国展開に入り、現在は全国で21事業を展開。2014年に株式会社GHIBLIとして法人化し、旅行事業や宝飾事業にも参入。2019年にはEC販売(船団丸ドットコム)を開始。2023年からは「極」ブランドを新設。オリジナルのパール商品の販売も開始。2024年に、10カ年計画完了により「萩船団丸」をクローズした。農業分野でも、カキ殻やホタテ貝のミネラルを肥料として活用して海に返す、循環型農業を福島県と鹿児島県で事業化し、農産物はECサイトで「おまかせボックス」として販売している。

三つのチームで課題解決を議論

11日は会場をJAおきなわ会館に移し、初日の視察をふりかえった。参加者からは、「坪内代表の圧倒的なエネルギー」「10年という長期的視野に立った取り組み」「地域のしがらみを乗り越えるために粘り強く行動している」ことなどを評価する意見が出された。

坪内代表は、各地域の船団丸が自律・独立し、ブランドを離れても独り立ちしていくことを目的としたプラットフォームとして機能している点をまとめとして示した。また、JA改革など何かを動かしていくためには、自らが発信し続けることの重要性を学んだ。

その後、チームに分かれて、課題と原因、解決した理想の姿、そのための具体策を検討した。「維新清流道チーム」は、将来農地を相続する子どもたちが相談する機会がなく、不安を抱えている課題に対して、デジタルツールによる簡易相談を提案した。「(株)HELPチーム」は、退職後のプランができていない人に向けた総合相談サービスの提供を検討した。「チームとんぼ」は、新たに転入してきた子育て中の母親と地域コミュニティーをつなぐ橋渡し役を担うことを考えた。詳細な内容は、次回までにビジネスモデル・キャンバスを用いて検討することとした。

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