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農薬:サステナ防除のすすめ2025

【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」2025年7月18日

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近年の気候の変化には驚かされるが、特に今年は、とにかく暑くて夏が1カ月早く来たようだし、梅雨もあっというまに終わってしまった。そのおかげ(?)もあって、イネカメムシが早くから出現するし、前線が降りてこなかったことからウンカの飛来も少ないと、害虫の発生様相が大きく変わってしまっている。もはや、何が平年並みか分からなくなってしまっており、想定外の発生により防除関係者を悩ませているようだ。害虫は、気候の変動に合わせて自分にとって丁度良い頃合いになった時に発生するので、気候が変化すると従来とは異なった時期にピークが来ることが多い。このような場合、できるだけ多くの害虫に効果のある殺虫剤を予防的に使っておくといいのだが、どんな優れた農薬でも残効には限界があるので、サステナ的には、残効の長い薬剤を基本に置きながら、害虫の発生状況にニラミを効かせながら臨機防除を組み立てることが重要であると考えている。

【サステナ防除のすすめ2025】水稲害虫の防ぎ方「育苗箱処理と兼ねて」

主な水稲害虫

◆最近は被害の大きいイネカメムシ防除を重視

イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ヒメトビウンカなど水稲の生育初期に発生する害虫は、近年普及が進んでいる育苗箱処理剤でしっかり防除できるので、最近ではあまり問題となることはなくなった。一部地域では、薬剤抵抗性害虫の発生によって育苗箱処理剤の効果が低下してしまった事例もあるが、大部分の田んぼでは、上手に防除できているようだ。

これに対して、中期や後期に発生する、カメムシをはじめとしたイナゴやニカメイチュウ、ツマグロヨコバイ、トビイロウンカ、コブノメイガ、フタオビコヤガ等が問題となっている。特にイネカメムシは、稲を特に好み、出穂の頃から発生して、不ねんや斑点米被害を引き起こす害虫として各地で問題が拡大している。この害虫は出穂直後の稲穂を好むため、近年のように早生から晩生まで出穂時期が異なる品種が混在するような地域では出穂直後のイネが存在する期間が長くなる状況をつくり出し、出穂ごとにイネカメムシが品種を渡り歩いて被害を拡大させてしまうようだ。

このイネカメムシ防除では出穂期と穂揃期の2回の防除が必須など、害虫種ごとに効果のある薬剤や防除体系があるので、それに従って防除を実行するのは基本だが、害虫の発生状況によっては臨機の追加防除が必要となる場合もあるので、地域ごとに発生状況を把握しながら的確な防除手段を速やかに実行できるよう準備しておくことが何より重要である。

初期の害虫

◆初期害虫は箱処理剤に防除が基本

初期に発生する害虫は、イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ヒメトビウンカの3種が重要な防除対象である。それぞれの特徴は以下の通りであるが、いずれも育苗箱処理剤での防除が効率的だ。育苗箱処理剤を選ぶ時は、これら三つの害虫が適用害虫に含まれていることを確認するようにすると良い。

イネミズゾウムシは、雑木林や堤防、けいはんなどの雑草の株元で冬を過ごした越冬成虫は周辺のイネ科雑草を食べ、田植えが始まると水田に侵入してくる。

イネドロオイムシは、幼虫が泥の塊を背負っていることからこの名前がついた。寒冷地中心の害虫であるが、近年では暖地でも山間部を中心に発生している。

この二つの害虫の被害はよく似ており、成虫と幼虫のどちらもイネの葉を食べて白くボロボロにする。どちらの害虫も幼虫の方が食欲旺盛で被害が大きくなるので、育苗箱処理剤での防除が最も効果的である。箱処理剤の選択は、発生する病害や害虫種に合わせて選択するようにしてほしい。

カメムシ最も注意

ヒメトビウンカは、大き目の幼虫で越冬し、最初はイネ科雑草や麦類をすみかとしているが、田植えが始まると広範囲の水田に飛来する。

ヒメトビウンカは、縞葉枯病や黒条萎縮病などのウイルス病を媒介するので、害虫の吸汁による被害よりも、ウイルス病の被害の方が大きい。このため、指導機関が発表する保毒虫率などの情報には常に注意し、常発地では、箱処理剤での防除を基本にした方が良い。

中・後期の害虫

◆種類が多いカメムシ類

中・後期に発生する害虫で最も防除が必要なのがカメムシ類である。

出穂直後~固熟期前の柔らかいもみに吸汁針を刺して、汁を吸い、その刺した痕に菌が入るなどして斑点米を引き起こす。斑点米は、等級を下げる要因であるうえ、その基準が厳しいため防除が欠かせない。

それに単にカメムシといっても種類が多く、これまでは、斑点米の原因カメムシとしては、小型のアカヒゲホソミドリカスミカメやアカスジカスミカメ、大型のクモヘリカメムシやトゲシラホシカメムシが主なものであった。

ところが、近年になって稲へのし好性が強いイネカメムシの発生が増加し、不ねんと斑点米の二つの被害、特に不ねんによって収量が減少するなど被害が拡大しており、現在の最も注意が必要なカメムシとなっている。

早めの出穂期前に発生する小型のカメムシは、育苗箱処理剤や本田の粒剤処理でも防除が可能な場合もあるが、大型のものや後半に発生するカメムシは育苗箱処理剤での防除は難しく(残効切れ)、散布剤による防除が必要となる。

薬剤抵抗性も散見

◆ネオニコチノイド抵抗性トビイロウンカの飛来

ウンカ類の中ではトビイロウンカが最も被害の大きい害虫である。偏西風に乗って飛来するため、偏西風の蛇行などの変化が影響してか、近年は飛来時期が大きくずれたりする上、主要な防除薬剤であるネオニコチノイド剤の抵抗性を持った害虫も飛来するようになっているので、防除薬剤の選択の際には注意が必要だ。

◆発生状況に合わせた薬剤の選択

ガの仲間(チョウ目害虫)では、ニカメイチュウ、コブノメイガ、フタオビコヤガが主要害虫である。近年では、一部地域でフタオビコヤガの発生やジアミド系殺虫剤の感受性が低下したコブノメイガが問題になるなど薬剤選択の上で注意しなければならない事項が増えている。可能なかぎり、広範囲に効果のある薬剤による防除を組み立てたい。

◆上手な薬剤の選び方

近年の環境問題や薬剤使用回数制限の問題などから、病害と同じように害虫の場合も育苗箱処理剤を中心に据えることにより効率よく防除できるようになった。

有効成分にも長期に効果が持続するものが多くなったので、それらの中から、害虫の発生状況に合わせて薬剤を選択するようにしてほしい。

◆初期害虫のみの地域では

例えば、害虫の発生が初期害虫のみの地域の場合は、ベンフラカルブ(オンコル)剤やカルボスルファン(ガゼットなど)剤、カルタップ塩酸塩(パダン)剤を選べばよい。

初期害虫に加え、トビイロウンカを抑えたい場合は、残効の長いネオニコチノイド(アドマイヤー、ダントツ、スタークル、アクタラ)剤を選べばよい。

これにチョウ目害虫も問題になるようであれば、フィプロニル(プリンス)剤やクロラントラニリプロール(フェルテラ)を含む薬剤を選ぶ。

対応場面も多種に

◆小型と大型では防除が異なるカメムシ類

ただ、厄介なのはカメムシ類だ。育苗箱処理でカメムシにまで効果を示す薬剤は、いずれもネオニコチノイド系薬剤のジノテフラン(スタークル)剤、クロチアニジン(ダントツ剤)、チアメトキサム高濃度(アクタラ)である。

これらの育苗箱処理で効果が発揮されるのは、どちらかというと小型カメムシ中心で、大型カメムシへの効果は期待が薄いとのこと。

このため、大型カメムシが問題となる地域では、育苗箱処理で大型カメムシ以外を防除し、大型カメムシには専用の防除が必要となる。

大型カメムシ用の薬剤としては、エチプロール(キラップ)剤やエトフェンプロックス(トレボン)剤、MEP(スミチオン)剤に定評がある。

◆田んぼが違えば発生害虫が違うことも

このように、様々な場面に対応できるだけの数の薬剤が普及しているが、似たような薬剤がたくさんあって、その選択には苦労する場面も多いだろう。そういった場合は、よく地域での害虫の発生状況を把握した上で、試験結果や先行事例などをよく吟味し、その地域で実績のある薬剤や新規剤を中心に選択するようにするとよいだろう。ただし、その場合は抵抗性害虫の状況などを指導機関から入れておくことも忘れないでいただきたい。

ただ、困ったことに、同じ町内であっても田んぼが違えば害虫の発生が違うこともあるので、個々の農家からも発生情報を仕入れておくように心がけてもらいたい。

【2025年版】水稲害虫の上手な防ぎ方_水稲殺虫剤有効成分特性

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