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JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える

『令和の米騒動』とその狙い 一般財団法人食料安全保障推進財団専務理事 久保田治己氏2025年7月18日

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米価高騰のなか、その原因を農協組織にあるとする事実に基づかない批判も見られる。事実ではないが、しかし、その狙いは何か。かつて農協改革をめぐってはどんな改革論が議論されたのか。久保田氏は、これを機に改めて振り返っておく必要性を指摘する。

JA全農元常務 久保田治己氏JA全農元常務 久保田治己氏

「令和の米騒動」は、異常に始まった。

スーパーの棚から米が消えてしまった。東京では、米の代わりにわがもの顔でホットケーキミックス粉やシリアルが置かれていた。

しかし、この光景は唐突に始まったわけではない。「何かが起きる」という予感は数年前の新型コロナの感染拡大の頃から感じていた。食品に限らず日用雑貨等も都会のスーパーの棚から消えたり申し訳程度に数個並んでいるような光景が目に付くようになっていた。そのため、(株)全農ビジネスサポートの社長をしていた時に、全社員に対して給料とは別に米を5kgずつ8回ほどに分けて配布したことがある。令和5年産(2023)は高温障害で米が白くなり等級が落ちて農家の手取りが大幅に減少したため、わさわざそれを社員に配り、等級が下がっても炊き方を工夫すれば美味しいご飯が炊きあがることを社員に体験してもらった。ただ、育ち盛りの子供がいる家庭からは感謝されたが、独身世帯からは食べきれないと不評で、「食料危機が来るかも知れないので備蓄しておいてほしい」と言ったことがある。我が家では、子供は独立しているので妻と2人、しかも私は出張や会食で家で食事をしない日も多い。その結果、潤沢な米の備蓄が家庭内で積みあがった。おかげ様で、昨年から今までの価格高騰局面では家庭内備蓄を食べることで、他の消費者に迷惑をかけずにすんだ。現在は、令和3年産の有機玄米に小豆を加えて圧力釜で炊いて食べている。

1. 価格問題

「全農や農協が価格を吊り上げている」というJA批判が渦巻いた。あるテレビ局のスタッフ4人に「農協が価格を吊り上げているという根拠は何ですか?」と聞いたことがある。全員沈黙し、暫くしてから1人が「農協が悪者だからじゃないですか」と発言。さすがにこれには呆れた。しかし、私もJAグループが価格を吊り上げていないという証拠もデータも持ち合わせていなかった。ただ、私が知っている組合長さんたちの顔を思い浮かべると、誰もそんなことはしないという信頼があった。ましてや、農協の考え方や共同計算の仕組みを知っていれば、農協が価格を吊り上げることなど絶対にありえない、との確信もあった。

裏を返せば、農協に対する信頼も組織や仕組みに対する確信もなければ、どうなるだろうか。チョットした噂でも「農協悪者論」が刷り込まれてしまう。ところが、チョッとした噂ではすまなかった。テレビも新聞もSNSも、連日連夜執拗な攻撃が続いた。そして、この攻撃には明らかに「悪意」と「意図」が感じられた。

この「農協悪者論」に決着を付けてくれたのは、農水省であった。

5月16日に「備蓄米の経費・利益の上乗せ額」についての調査結果を公表した。これによると、全農は手数料を60キロ2400円から961円に圧縮していたが、卸売業者は、通常価格から2~3倍の60キロ7593円に拡大していたのだ。(※1 2025年5月17日 時事ドットコムニュース)

さらに、6月12日に「小売価格の上昇の背景」を公表した。農協(集荷業者)は農家から60キロ2万円前後で集荷し、2万4686円で卸売業者に販売していた。一方、農協以外の業者は農協より高値で集荷し、卸売業者・小売業者・中食外食事業者に60キロ4万5000~同5万円の価格で販売していた。(※2 2025年6月17日農水省公表データを7月7日に一部修正HP)

つまり、「農協は価格を吊り上げていない」という事実を、大変ありがたいことに農水省が正式にデータで公表して下さったのだ。国全体を激震させるほどの大問題となった米価格高騰について、「農協は犯人ではない」と決着が付いたのだ。

しかし、なぜか農水大臣はマスコミにその事実を説明してくれない。そこに、今回の「令和の米騒動」の核心があるのではないだろうか。

2. 米の価格高騰に関する報道の「意図」

米の価格が急騰した理由は諸説あり、まだ定説がないのでここでは読者の判断にお任せしたい。しかし、全てのテレビ・新聞と大量のSNSが米価格高騰を報道し「農協が価格を吊り上げている」という嘘が大量に流布されたのは、明確な意図があったと考える方が分かりやすい。では、その「意図」とは何だったのだろうか。

今年の6月30日にある本が出版された。『農業政策は消費者のためにある』というタイトルの本である。農業政策はてっきり農家と農業のためにあるものだと思い込んでいた。しかし、違うようだ。チラチラとページを繰ってみると、「弱い農家を守ってはいけない」「弱い農家を守る農協はいらない」という趣旨の言葉がちりばめられている。農協とはてっきり弱い農家を守るためにあるものだと思い込んでいた。「強い農家を作ること」が農業政策であり、そのことが消費者のためになるということらしい。この本の著者は、元の農水省の事務次官である。

2016年11月11日、規制改革推進会議の農業ワーキング・グループが以下のような意見を提出した。

全農が、農業者の協同組織の原点に立ち返って、こうした改革を推進することを強く期待するが、着実な進展が見られない場合には、真に農業者のためになる新組織(本意見に基づく機能を担う「第二全農」等)の設立の推進など、国は更なる措置を講ずべきである。(※3 内閣府HPより)

ところが、その17日後に提出された規制改革推進会議の本会議の最終意見「農協改革に関する意見」からは、その項目は綺麗に削除されていた。(※4 内閣府HPより)

この項目などが削除されたことについて、マスコミ各社は妥協により原案が骨抜きにされた、などと大きく報道した。そして、この時の自民党農林部会長は「今回、のむべきところはのんだ。全農の改革が真の改革にならなかった時に次のステージが来る」(2025年7月14日、JIJI.com)と語っていた。

つまり、この時に語った「次のステージ」を作り上げることが今回の「意図」だったのではないだろうか。そのために、マスコミ各社は全農批判と農協悪者論を徹底的に国民に植え付けてきた。全農も農協も悪者でなければならない。だから、真実は報道してはならないのだ。

3.「第二全農」等の新設?

今年、6月27日に二つの農協が設立された。既存の農協が合併したのではない。全くの新設である。そして、その二つの農協には我が国史上初かもしれない共通点がある。集荷エリアを全国とする全国1農協である。ただし、集荷する農産物に強いこだわりがある。A農協は有機栽培で作られた農産物、B農協は環境保全型農業で作られた農産物、にそれぞれ限定されている。

しかし、この二つの新設農協以外に、第3の全国1農協が設立されるらしいという情報がある。全農は連合会である。しかし、第3の全国1農協は連合会ではないので「第二全農」等なのではないか。だとすると、9年前からこの構想は具体的に計画されていたと推測できる。

全国の農協組織の皆さん、この「第二全農」等はいったいどのようなものだとお考えだろうか。そして、農協組織やJAグループはその対応方法を検討しているだろうか。あくまでも農協であって連合会ではないことから、今までの全中を一般社団法人化するとか、全農を株式会社化するとか、農林中金を分割するというような、連合会の話だけでは済まない。マスコミを操り、役所を操り、政治家を操る何者かがいるのかも知れないのだ、この日本には。

※1 2025年5月17日 時事ドットコムニュース
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025051601098&g=eco

※2 2025年6月17日農水省公表データを7月7日に一部修正HP
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/attach/pdf/r6_kome_ryutu-221.pdf

※3 内閣府HPより
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion1/281111nougyo1.pdf

※4 内閣府HPより
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion1/281128nougyo1.pdf

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