鳥インフル対策 大規模養鶏は分割管理を 農水省2025年4月23日
農水省は4月22日の自民党の鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部に家畜伝染病対策の強化方針を示した。鳥インフルエンザについては対策パッケージを打ち出す方針だ。
2024年シーズンの高病原性鳥インフルエンザは、これまでに51事例が確認されているが、1月以降の発生が急増し35事例を占めている。とくに愛知、千葉、岩手の3県の養鶏場集中地域で連続発生した。
農水省は3月に専門家による疫学検討会を開き提言をまとめた。
それによると養鶏密集地域では家畜保健衛生所や自衛防疫団体が中心となり、地域の農場間で飼養衛生管理状況について情報交換するなど、地域一体となった対策が必要だとしたほか、密集地域での発生確認の遅れは、非常に大きな感染拡大のリスクであり、早期通報の重要性を地域全体で認識する必要性を強調した。
また、堆肥舎はカラスなど野鳥を誘引しやすいため、防鳥ネット設置や、家きんの死体や破卵などを焼却する処理が必要とした。
過去の発生農場は再発リスクが高いことから、飼養衛生管理の遵守の徹底と、発生に備えた消毒薬の備蓄の重要性も提言した。
さらに20万羽以上の農場では分割管理に取り組み、発生した際の殺処分対象を削減することが有効だとした。
こうした提言を踏まえて農水省は来シーズンに備えて鳥インフルエンザ対策パッケージを打ち出す。
具体的には、養鶏集中地域や過去の続発地域をあらかじめ指定し、地域ぐるみでの野鳥対策や発生時の速やかな消毒対応を実施する。続発の一因と考えられる塵埃対策を飼養衛生管理基準に新たに位置づける。また、再発農家への改善確認を強化するとともに、飼養衛生管理を遵守しなかった場合の手当金減額率の見直しも検討する。
分割管理については大規模農家での取り組み検討を義務づけるほか、導入を促進するため、一定の衛生管理や経過観察を行うことを条件に、分割管理の運用も見直す。
ワクチンについては現行のワクチンでは、完全な感染防御はできず、接種する微量のウイルスを排出するため、かえって感染拡大やウイルスの変異の原因になりかねない。ただ、国際獣疫事務局(WОAH)と国連食糧農業機関(FAО)がワクチン接種も含めた鳥インフルエンザ対策を公表し、欧米諸国も議論を開始していることから、わが国でも予防的ワクチン接種に向けた検討を開始する。
これらの対策パッケージについては、今後、農水省の家きん疾病小委員会で検討する。
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