田畑価格は引き続き下落 日本不動産研究所調査2019年11月1日
(一財)日本不動産研究所は、10月30日、今年3月末現在の「田畑価格及び賃借料調」と「山林素地及び山元立木価格調」の調査結果を公表した。
調査結果の概要は次のとおり。
【「田畑価格及び賃借料調(2019年3月末現在)」の調査結果】
4年連続の米価上昇で田賃借料および田価格の下落率は縮小傾向にある。
▽田畑価格の動向
全国平均の普通品等10a当たりの田畑の価格は、田が70万1501円、畑が43万0012円で、前年に比べ田は▲1.4%、畑は▲1.0%と、それぞれ低下した。変動率を見ると、下落幅は田で前年の▲1.9%から0.5ポイント下落幅が縮まり、畑でも前年の▲1.2%から0.2ポイント下落幅が縮小したものの、田は1993年以降、畑は92年以降下落が続いている。
▽田畑賃借料の動向
全国平均の普通品等10a当たりの田畑の賃借料は、田が8918円、畑が5056円で、前年に比べ田は▲1.3%、畑は▲0.7%と、それぞれ低下した。変動率を見ると、下落幅は田(前年▲1.4%)・畑(前年▲0.8%)ともそれぞれ0.1ポイント縮小したものの、どちらも1987年以降下落が続いている。
◇田価格下落の要因は
アンケート結果から田価格が下落した主要な理由を見ると、「農業後継者の減少」25.7%、「買い手がない」22.3%、「高齢化」20.6%、「農業経営の先行き不安」10.6%、「米価の下落」10.6%の順で、4年連続の米価上昇により「米価の下落」は下位となり農業経営は小康状態であるものの、「農業後継者の減少」「買い手がない」などといった構造的に田地の需要の弱さを示す理由が上位になっている。
◇畑価格下落の要因は
アンケート結果から畑価格が下落した主要な理由をみると、「農業後継者の減少」22.7%、「高齢化」20.6%、「買い手がない」19.0%、「農業経営の先行き不安」8.0%、「農畜産物価格の下落」4.1%の順で、「農業後継者の減少」「高齢化」「買い手がない」など構造的に畑地の需要の弱さを示す理由が上位になっている。
【「山林素地及び山元立木価格調(2019年3月末現在)」の調査結果】
3年連続の山元立木価格の上昇で用材林地価格の下落率は縮小傾向にある。
◆「田畑価格及び賃借料調」の概要
この調査は、都道府県で農業事情を最もよく反映するとみられる市町村(1950年2月現在の行政区域)約1400を選定し、当該市町村の田畑を生産力および耕地条件などによって「上の中・普通・下の中」の品等に区分した3月末現在の田畑価格および賃借料について、市町村役場または農業委員会などに調査票を送付して回答を得たもの。今回の回収率は67.2%。
「田畑価格及び賃借料調」は、農地を農地として利用する売買の価格および賃借料を調査するため、「宅地見込み等が織り込まれ、著しく高額な価格」を除いた普通品などの実測10a当たりの価格および賃借料を採用。
田畑価格は1913(大正2)年、田畑賃借料は1921(大正10)年からつようさを開始し、今回調査で第107回となる。
田畑価格及び賃借料および、山林素地価格の下落率は縮小傾向。山元立木価格は上昇
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