急速に悪化する「街角景気」 内閣府「景気ウォッチャー調査」2020年4月24日
政府が4月23日の関係閣僚会議でまとめた今月の「月例経済報告」で、景気判断を「急速に悪化」とした。この判断の根拠に「景気動向に関する情報を早く手に入れる仕組み」として平成12年から内閣府が行っている「景気ウォッチャー調査」の急激な悪化がある。
「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」に示された「景気ウォッチャー調査」の分析。
この「景気ウォッチャー調査」は、平成10(1998)年7月の小渕恵三内閣で経済企画庁(現内閣府)長官に就任した故・堺屋太一氏が「景気動向の早期把握」を強く指示したことがきっかけとなり、平成12(2000)年1月から内閣府(経済企画庁)が毎月実施している。
調査対象は、全国から、家計動向、企業動向、雇用など、代表的な経済活動項目の動向を敏感に反映する現象を観察できる業種・職種の中から選んだ2050人の「景気ウォッチャー」(例えばタクシー運転手など)。オンラインシステムで電話・Webサイト、もしくは電子メールで回答を得る。調査事項は、「景気の現状に対する判断(方向性)」とその理由、「景気の先行きに対する判断(方向性)」とその理由。
4月の関係閣僚会議で内閣府は「世界経済」「景況感」「雇用」の3つを今月のポイントとして示した。
▽世界経済
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、2020年の世界経済は大幅なマイナス成長となる見通し。アメリカ、ユーロ圏、中国で、リーマンショック後を大きく下回る成長率となる見込み。
▽景況感
○感染症の影響により、街角景気は、これまで過去最低だったリーマンショック時を下回る、極めて厳しい状況。
○分野・業種別にみると、街角景気は、飲食、サービスが一段と低下し、特に厳しい状況。
○また、足下では雇用関連が大きく低下。求人や人材派遣の弱さ、採用の不調等を反映。
▽雇用
○賃上げ率は、厳しい環境の中、企業努力により前年比1.94%。ただし、交通運輸、ホテル・サービスでは相対的に低い伸び。
○こうした中、日次の有効求人数は、4月も前年比の減少幅がさらに拡大。
他の経済指標に比べ大幅に早く景気動向に関する情報を入手できる「街角景気」の直近の情報が、今年2月には「緩やかに回復している」としていた「月例」の景気判断を、わずか2か月で「急速に悪化」に下方修正した背景にあるなど重要な役割を果たしている。
◆より早く「消費者マインド」を知るための試み
内閣府は、より早く「消費者マインド」を知るための試みを行っている。
それが内閣府経済社会総合研究所景気統計部が平成28(2016)年9月から毎月行っている「消費者マインドアンケート調査(オープン調査)」だ。
内閣府は、今後の暮らし向きの見通しなどについて消費者の意識や、物価の見通し、主要耐久消費財等の保有状況などを把握し、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的とした「消費動向調査」を実施している。
だが、この調査は、国勢調査データに基づき全国から抽出した8400世帯を対象に、初月のみ調査員が訪問して依頼し、2か月目以降は郵送で調査票配布・回収し同一世帯に対して15か月間継続して調査を実施するものであるため、年々調査が困難になっている。
そこで、「誰でも」「どこでも」「自由に」回答できる調査方法を試行するとして、【消費者マインドアンケート調査(オープン調査)】を内閣府ホームページ上で毎月実施している。
だが、この調査の存在が知られていないことなどから、回答者数が200人前後(4月分の調査では、男性149人、女性50人)に留まっている。その多くは東京都在住の勤労者(正規雇用)の30?50歳代の男性だという。
内閣府は、「質問の数も少なく、ごく簡単なものですので、ぜひ毎月(一回)ご協力ください」と呼びかけている。
「消費動向調査」は、「農林漁家世帯」は集計対象でなく、二人以上の世帯が対象のため「学生」は調査対象でないが、「消費者マインドアンケート調査(オープン調査)」は全国民が参加できる。
現在は参加が少ない農林漁業を職業とする人など地域で暮らす世帯の「消費者マインド」を政策に反映するためにも参加してみてはどうだろうか。
写真(下)=「消費者マインドアンケート調査(試行)の集計結果(2020年4月分)。半年後の暮らし向きについて、「悪くなる」が46.7%。1年後の物価上昇は「上昇する」と「やや上昇する」が6割超。
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