キュウリ退緑黄化病を県内で初確認 岐阜県2020年11月17日
岐阜県病害虫防除所は、キュウリに県内未発生のキュウリ退緑黄化病を確認。11月16日に特殊報第4号を発表し、育苗期からウイルスの媒介虫であるタバココナジラミ防除の徹底などを呼びかけている。
タバココナジラミ10月に西濃地域の冬春キュウリ栽培施設で、葉に退緑や黄化症状がみられる株が発生した。岐阜県農業技術センターでRT-PCR法による検定及びその増幅産物の塩基配列を解析した結果、ウリ類退緑黄化ウイルス(Cucurbit chlorotic yellows virus(CCYV))と同定され、同県で未発生のキュウリ退緑黄化病と確認された。この病害の特殊報は、平成20年に熊本県で初めて発表され、これまでに21県で発表されている。
キュウリ退緑黄化病は、初期症状として葉の葉脈間に多数の退緑小斑点が生じる。その後、小斑点が増加・拡大し互いに癒合して、やがて葉脈部のみに緑色が残った退緑黄化症状となる。葉脈で区切られた一部分のみに黄化症状が出ることもあるが、生長点付近の葉に症状が現れることはない。葉の黄化によって草勢が低下し、収量減の被害が生じる。
葉脈間の退緑黄化症状病原ウイルスのウリ類退緑黄化ウイルス(CCYV)は、クリニウイルス属に属し、タバココナジラミにより半永続的に伝搬(ウイルス媒介能力は数時間から数日間持続)される。
また、タバココナジラミのバイオタイプBとバイオタイプQの両系統ともに病原ウイルスを媒介する。なお、経卵伝染、汁液伝染、種子伝染、土壌伝染はしないと報告されている。これまでウリ類退緑黄化ウイルスによる病害はキュウリ、メロン、スイカで確認している。
発病初期の退緑小斑点今回発病を確認した西濃地域では、薬剤抵抗性が発達しやすいバイオタイプQの生息が確認されているため、同一系統(作用機構)の薬剤を連用せず、バイオタイプQに有効な異なる系統の薬剤を選択し、ローテーション散布する。
タバココナジラミ対策では、施設の開口部(天窓部を含む)に目合い0.4mm以下の防虫ネットを展張し、施設内への侵入を防ぐ。罹病株はほ場内に放置すると周囲への伝染源となるため、タバココナジラミをほ場外に出さないよう対処した上で、速やかにほ場外に持ち出し処分する。これらの対策に加え、タバココナジラミの生息場所となるほ場や周辺の雑草は除草するよう促している。
栽培終了時には、タバココナジラミの施設外への分散を防止するため、ハウスを密閉して蒸し込みを行い、タバココナジラミを死滅させるよう注意を呼びかけている。
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