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JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー

「青島」みかんに特化 出荷組合の組織力が支え【井口義朗・JAみっかび代表理事専務】2018年6月13日

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 政府の「農林水産業・地域の活力創造プラン」に対してJA全農を中心にJAグループはどのように対応しているか。5月23日に開催された新世紀JA研究会の課題別セミナーで井口義朗JAみっかび代表理事専務が報告した。

【概要】

井口義朗・JAみっかび代表理事専務 「三ヶ日と言えばみかん」といわれるように、みかんに特化し、あわせて循環型農業を提唱、農家所得の向上→金融・共済・購買事業の利用→指導の充実→事業分量配当による還元を実践してきた中で、三ヶ日町農協の農業振興、特に柑橘についての取り組みを報告します。
 三ヶ日町農協は平成7年の静岡県西部地区15農協の合併から辞退し、単独農協として現在まで来ています。大きな決断をした最大の要因がやはり主力であるみかんでした。
 当農協の組合員数は2720人、うち正組合員1635人。2017年産の農産物取扱高は約90億円あり、そのうち、みかんは67億円(販売取扱高の74・9%)を占めています。当農協では出荷組合(任意組合)を有しており、ここに示す数字は出荷組合扱いで組合員数796名、1350haとなります。

(写真)井口義朗・JAみっかび代表理事専務


【組織】

 当農協の今があるのは何と言っても先に述べた出荷組合の存在です。昭和35年に154名で三ヶ日町柑橘出荷組合が誕生しました。当時農家個々の販売スタイルが主流となっていましたが、初代組合長の「すべてのみかんの品質を一つにして三ヶ日みかんブランドを確立したい」との強い思いがあり、「農家が生産したみかんをすべて共販組織に出荷する」という共販体制の組織確立を主張したことが始まりです。
 しかし、統一するには取り決めや制約を設けることから一筋縄ではいかなかったようです。当時の規約では、(1)自己が生産する柑橘の全量を出荷、(2)途中脱退は認めない、(3)統制を乱した場合は精算金の支払い停止、脱退勧告、除名-といった厳しい条件がつけられました。

 

【銘柄産地の条件】

 全国のみかん生産量が増大するにしたがって産地間競争が激化し、また輸入オレンジ自由化などもあって、産地の特色を活かした指定される産地の構築が必要となりました。銘柄産地の条件としては、(1)一定の生産量確保、(2)高品質安定生産、(3)計画的安定出荷体制の確立が挙げられました。中でも特徴的なのは「青島」という品種です。
 いま現在まで柑橘産地としてあるのは「青島」のおかげといっても過言ではないと思います。「青島」は静岡県で発見された品種で、いわゆる高糖系品種と言われ、糖度が高く年明け販売が主体です。この特徴は、西南団地では気象条件や土壌条件的に栽培に不向きであり、また販売時期がバッティングしないという最大のメリットがありました。単価面でも古い話ですが、導入以降の昭和52年当時の比較で、1kg当たりの農家手取り単価が早生91円、普通93円に対して青島137円と優位性を出していました。現在はそれ以上の価格となっています。自然の摂理として水は高いほうから低いほうへ、販売物は低いほうから高いほうに転換されています。

 

【商標登録、認証制度】

 ニセ物が出回るということは本物があるということです。昭和56年当時三ヶ日みかんと称される段ボールは百種を超え、消費者からの問い合わせの対応に苦慮していました。そんな中で、同年12月4日付の毎日新聞の社会面トップに「ニセ三ヶ日みかん横行」という見出しがでました。これによって当農協及び出荷組合の「三ヶ日みかん」はさらに有名になったわけですが、その差を説明するのに役立ったのが商標です。
 「三ヶ日みかん」は今でこそ地域団体商標として認可されていますが、当時はまだなかったことからいち早く一般通常商標で図柄と併せて取得していました。併せてキャラクターとして「ミカちゃん」も商標登録していたことから、問い合わせにも「ミカちゃんマーク」がついているかどうか確認しながら対応することができました。農産物で商標登録している産地はその当時ではほとんどなかったと記憶しています。物とネームバリューが合致してブランドは構築されていくということです。
 また、平成15年に他県で起きた無登録農薬事件や中国産野菜、加工品残留農薬、偽装食品などの問題が表面化したことから、それらに対応する策を検討する中、大手量販店からGAPという制度の話を聞き、取得に向けて検討しました。農家にとってはとても窮屈な話でなかなか決断できないことから、まずは県認証制度から始めるようにしました。当時約900名いた出荷組合員全員がそれに取り組むということに不安を抱いていましたが、生産者の理解と努力のおかげで平成20年にいち早く取り組んだことから市場評価は上々でした。

 

【機能性表示】

 「量は力、味は信頼」古臭いといわれるかもしれませんが、ことみかんにおいてはいま現在でもその傾向は強く残っています。特に市場流通を90%以上行っている当農協においては顕著です。大手量販店に対し安定的に計画的に出荷していくことは他産地にない強みであり、特に貯蔵を主体とした当産地では、生産者の手持ち数量も把握できますし、天候に左右されずに出荷できるという、さらなる強みを有効に発揮できます。
 その上に当農協の後藤組合長の強いリーダーシップのもと機能性表示食品生鮮第1号として認定を受けたことは販売においては大きな相乗効果となっています。以前は産地間競争と言われてきましたが、全国の柑橘生産量が70万tまで減少した現状では、全国のミカンすべてが健康食となるよう期待したいと思います。

 

【課題と今後】

 「マーケティングとは課題のソリューション(解決策)である」とはネスレ日本の高岡社長の言葉ですが、現在まで時々の課題をいち早く解決してきたと自負しています。しかし、今後は課題が多いことに加え生産者・消費者の要望も千差万別、あわせて速度も必要となってくるため的確な優先順位を選択して対応していかなければなりません。消費も減退していますが、それ以上に生産者、耕作地が減少してきています。
 みかんは道具を使わない簡易な果物で、なおかつ健康増進に役立つことが証明されていることから、様々な角度から消費者に訴えていきたいと思います。現在平成33年産取り扱いを目途に新選果場の建設を計画しています。

 

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

 

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