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【リレー談話室・JAの現場から】小さな声に耳を傾け2015年9月15日

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【宇田 篤弘 / 和歌山・紀ノ川農協組合長】

 紀ノ川農協は和歌山県全域を地区とし、全国の生活協同組合との産直を中心とする販売専門農協である。従って、組合員が高齢化し、担い手が無い場合は脱退となることが多い。
 全体として比較的若い組合員が多い方だが、それでも年間に20数名の加入と脱退があり、脱退の理由は病気や亡くなられたことによる。この20数名のうち4割ほどが譲渡や相続され担い手に引き継がれている。引き継がれるかどうかは、地域や作物によって差があり当然山間地域では引き継がれることが少なく、脱退か休眠組合員となってしまう。

 今年の夏に、2日間かけて山間地域の組合員17名を訪問した。この地域の組合の班には20年前、約60名の組合員がいたが、現在の組合員は33名でこの内9名が亡くなられていて、組合への農産物の出荷はわずか3名となってしまった。年齢だけでなく価格や連作障害、大水害で土木関係への仕事に移ったことも背景にはあるが、高齢によることが一番大きな原因である。
 ところで和歌山県の販売農家数は、2000年で2万8681戸であったのが、2005年で2万5594戸、2010年で2万3207戸と10年間で5474戸減少している。1年に547戸、1日に1・5戸減少してきたことになる。後半5年間の方が減少数は前半5年間の3087戸に比べ小さくなってはいる。
 それでも1年間に477戸が減少しているので、新規就農者数を大きく上回っている。2014年度の新規就農者数は、新規学卒者9名、Uターン就農者70名、新規参入者27名、生産法人就農者29名、合計135名であった。しばらくは生産者の減少は止められないと思う。
 訪問した組合員の全てが、生産をやめたのではなく、品目を変えて業者に出荷したり、自家消費用野菜の余剰分を直売所に出荷したり、作れなくなった人の水田を引き受けて米をつくったり、また往復2時間かけて市場へ野菜を出荷している若い組合員もいる。組合員の周辺には、レストランやパン屋を開いているIターンの人、法人でスタッフとして働いている人もいる。さらに元気を取り戻した森林組合がある。
 確かに、高齢化し厳しい状態ではあるが、「住む家があれば、仕事はつくれるので、移住者を迎え入れることができる」と農産加工などIターンの人たちと取り組んでいるUターンの女性が、組合員訪問前の聞き取りで言われた。この女性は「なぜ地元の人が地域の良さを見られないのか、語れないのか」とも言われた。
 70歳の独り暮らしで、お米を作っている女性は、腰を痛めたので今年でやめようかと悩んでいたが、話を聞いている内に、少し高台になっている自宅から「昇る太陽と沈むお月さまを見られる。娘たちは、自然の素晴らしさをきっとわかってくれていると思う」と語っていた。娘に帰ってきてもらって一緒に農産加工できないかと考えることもあると語った。
 90歳で独り暮らしの男性は、農作業はほとんどしていないようだったが、娘さんが毎日車で片道1時間ほどかけて父親の食料などを運び、野菜を栽培して収穫した野菜を帰りに積んでJAの直売所に出荷している。「歩けなくなったら大阪の息子の所に行くつもり」と言っていたが、「紀ノ川農協の出資金はそのままにしておく」と言われた。
 販売先も組合内部も大きな変化が始まっている。組合員が地域コミュニティーの持続可能な発展のために活動できるよう地域を見て、組合員の「小さな声」にも耳を傾けることが必要と思う。

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