真の創造的自己改革に向けて2016年10月18日
最近、農水省による「認定農業者向けのアンケート」が実施された。農水省が、都道府県を通じて認定農業者を一定程度ピックアップして、アンケートを直送したと聞く。
そのアンケートの趣旨を、一言で言えば「農協は、あなたのところに意見を聞きに来たか。」「聞きに来たとして、農協は変わろうとしているか。」「あなたに役に立つ存在だと思うか。」と聞いているようである。
もとより、アンケートを実施することに、異議を申し立てる立場ではないが、いかにも
「品」のないアンケートではある。
あのような中身なら、農協を良いように書く認定農業者は少ないのではないか。また、普通の認定農業者なら、何のためのアンケートか理解に苦しむ方が多いのではないかとも思う。
もとより、農協が「農業所得の増大」、そのための「農業生産の拡大」に全力投球することは、農協の本旨であり論を待たない。
また、認定農業者を始め正組合員農家に対して、事業・サービス面で他の事業者と比較して選ばれる存在であり続ける不断の努力は、当然のこととして必要である。
しかし、国がすすめる産業政策と自由貿易主義に反対し、「意」に沿わぬからといって、徹底的に頬をぶち、尻を叩いて、何が何でも「意」に沿わそうという「やり口」は、いかがなものだろうか。
これまでの農協を否定し、認定農業者などに役に立つ「職能組合」への純化を求め、国家や農水省の産業政策に役に立たせるだけの意図で突き進んでいるだけではない、別の「底意」も感じざるをえない。
☆ ☆ ☆
今、農協の現場では、准組合員をアクティブメンバー化するため、准組合員座談会や准組合員向けの意向調査など、准組合員の参加・参画を促進する施策を、あれこれ講じている農協が多い。さらには、定款を変更し、准組合員総代を選出する仕組みを編み出した農協もある。
しかし、農水省の意向は、准組合員に対する施策は「勝手にどうぞ」であり、真に意見を聞く先は認定農業者や農業法人だとしている。
☆ ☆ ☆
農協が、常日頃、意見を聞いている正組合員農家の代表としての総代や生産者部会などの代表と農水省が意見を聞くべしとする認定農業者層が、必ずしも一致していない現実も素直に認めざるを得ない。
この点では、全ての認定農業者を役職員が手分けして意見を聞く機会をもった農協があるかと思えば、認定農業者がわが農協管内に何人いるのか、誰なのかも最近になるまで把握していなかった農協もあると聞く。
この様相は、全国の農協が右往左往していると見てとれるが、認定農業者を始めとした担い手農家層と准組合員層にしっかりと目を向け、進み始めたことは間違いない。
☆ ☆ ☆
これからは、「地域農業を正組合員農家と准組合員が支える」社会や「地元の農畜産物を准組合員が買い支える」関係づくりを、農協という「器」使って実現していくことが一つの「理想的な方向」であろう。「産消混合型協同組合」モデルとも言えるが、これも農水省は認知する気はない。
しかし、今、現実にそこにある農協は、「総合農協」とこれらが構成する「連合組織」である。半ば強制され「職能組合的」自己改革路線に傾斜するとしても、総合農協とその連合組織としての「創造的自己改革」は、自発的・内発的な発露として、もっと大きな「あるべき姿」を追求すべきなのではないだろうか。
重要な記事
最新の記事
-
プロの農業サービス事業者の育成を 農サ協が設立式典2025年10月21日
-
集落営農「くまけん」逝く 農協協会副会長・熊谷健一氏を偲んで2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(1)2025年10月21日
-
【サステナ防除のすすめ】水稲除草剤 草種、生態を見極め防除を(2)2025年10月21日
-
随契米放出は「苦渋の決断」 新米収穫増 生産者に「ただ感謝」 小泉農相退任会見2025年10月21日
-
コメ先物市場で10枚を売りヘッジしたコメ生産者【熊野孝文・米マーケット情報】2025年10月21日
-
【JA組織基盤強化フォーラム】②よろず相談で頼れるJAを発信 JA秋田やまもと2025年10月21日
-
【中酪ナチュラルチーズコンテスト】出場過去最多、最優秀に滋賀・山田牧場2025年10月21日
-
11月29日はノウフクの日「もっともっとノウフク2025」全国で農福連携イベント開催 農水省2025年10月21日
-
東京と大阪で"多収米"セミナー&交流会「業務用米推進プロジェクト」 グレイン・エス・ピー2025年10月21日
-
福井のお米「いちほまれ」など約80商品 11月末まで送料負担なし JAタウン2025年10月21日
-
上品な香りの福島県産シャインマスカット 100箱限定で販売 JAタウン2025年10月21日
-
「土のあるところ」都市農業シンポジウム 府中市で開催 JAマインズ2025年10月21日
-
コンセプト農機、コンセプトフォイリングセイルボートが「Red Dot Design Award 2025」を受賞 ヤンマー2025年10月21日
-
地域と未来をさつまいもでつなぐフェス「imo mamo FES 2025」福岡で開催2025年10月21日
-
茨城大学、HYKと産学連携 干し芋残渣で「米粉のまどれーぬ」共同開発 クラダシ2025年10月21日
-
まるまるひがしにほん 福井県「まるごと!敦賀若狭フェア」開催 さいたま市2025年10月21日
-
北〜東日本は暖冬傾向 西日本は平年並の寒さ「秋冬の小売需要傾向」ウェザーニューズ2025年10月21日
-
平田牧場の豚肉に丹精国鶏を加え肉感アップ 冷凍餃子がリニューアル 生活クラブ2025年10月21日
-
誰もが「つながり」持てる地域へ 新潟市でひきこもり理解広める全国キャラバン実施2025年10月21日