価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
米卸大手の木徳神糧は6月11日、「弊社が市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ない」「安定供給の維持と流通の正常化に努めております」とする鎌田慶彦社長名の声明を公表した。2025年第1四半期の増益は「限定的な事象」とした。
小泉農相が〝やり玉〟
木徳神糧が異例の声明を発した前段には、小泉農相の異例な発言があった。
小泉農相は、6月5日の衆議院農水委員会で「社名は言わないが、ある大手米卸は、営業利益が前年比500%だ」とし、翌日の記者会見でも「500%の利益って、どういうことなのだろうなと、普通は思う」と述べた。農相発言は木徳神糧の決算を念頭に置いたものとされる。
長い「薄利多売」構造、米不足で一変
木徳神糧の2025年第1四半期決算では、米穀事業セグメントで売上高が311億62百万円(前年同期比127.1%)、営業利益19億29百万円(同487.4%)だった。
声明は「増益の主因」に、仕入価格を販売価格に反映できた、スーパー等での値引き販売の減少、工場の集約化による製造コスト減をあげた。「増益の背景」としては、「長年にわたる『米余り』環境下での薄利多売という米穀卸売事業の構造的な低収益体質において、供給不足という市況の急変が勃発した結果の反動であり、限定的な事象である」と説明した。
米の安定供給で農水省とも協力
木徳神糧は「大臣発言の前からお問い合わせは多く、事実関係や考え方をていねいに伝えようという経営判断でリリースした。苦情もあるが、同業他社からはご心配もいただいた。大臣発言やその受け止めの背景には、米卸、米流通をめぐる全体状況が十分伝わっていないことがある。B to B のビジネスということもあって、われわれも発信が弱かった。これからも農水省と協力し、政府備蓄米を含む米の安定供給に努力していきたい」(社長室)と話す。
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